新潟の花たち
忘れそうな正体
午後2時の喫茶店〔月の光〕。
ジルが一人で稲作の帰りを待っている。テーブルの上には、彼の好きな真っ赤な色のハイビスカスティー。
「絹さん、心配しなくても大丈夫です。妙ちゃんは心が安定しています。今の彼女はあなたが心配しているような行為はしていません。味覚障害の方もきちんと通院しています」
「え?どうして?」
「顔に書いてあります」
思わず顔をつるりと撫でる。僕は、ジルが人の心を読める事を知らない。
「ちわ~す。カレーライス大盛り」
「お帰りなさい、稲作」
ジルは、嬉しそうに出迎える。
「お疲れさま。一緒に食べてこなかったの?手料理失敗しちゃったとか?」
「あの家でみんなで仲良く食えると思うか。失敗はしなかった。そのために俺がついてったんだぜ」
「妙ちゃんと半次君は?」
「半次がどこかに連れてった。あいつ、真っ青になって乱入してきたぜ。……どうしちまったんだか」
「ごめん、半次君に話したの。妙ちゃんの病気の事」
「そっか」
「妙ちゃんに甘すぎるってあまりの剣幕で、取り返しがつかなくなるような事を言ったら大変だから、半次君にも知っておいてもらった方がいいと思って」
「あんたがそう思ったんなら、正しい選択なんだろう」
稲作は、厨房に戻りかけた絹さんに言った。
「不思議です」
「?」
「人はなぜ、妙ちゃんのような行為に走る事があるのでしょうか」
「わかんねぇ。わかんねぇから、恐かった。……時間が経てば、ここにいて俺たちと過ごしている時間の方が長くなれば、その生活の方が当たり前になるだろう」
「そうですね(私も時が経ったから、身近に乙女がいても、その白い首筋に牙を突き立てたい欲望を押さえる事が出来ています)」
後半、心の声で囁いたジルは、一瞬、鋭い犬歯をのぞかせた。
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コメント
みけはちさん、ペンさん
新潟は行きたかったのですが、先約があり、行けませんでした。
来年に期待です。
皆、良い花ですね。
前に行った時,カメラが不調になり,ポジで撮った、アズカシロカネソウ他イソスミレも全部だめでした。
もう一度,撮りたいんです。
投稿 やまそだち | 2008/04/25 20:31
いらっしゃいませ、やまそだちさん。
花は、ちょっと早いくらいの良い状態のものが多かったです。
震災後、初めていつものコースを通りました。地形がずいぶん変わっていましたが、綺麗に復興されていました。
一面に咲いてたはずのオオバキスミレがほとんど見られず、酷い災害だった事を見せつけられました。
投稿 みけはち | 2008/04/26 10:58