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2007/06/18

ミノムシ

Birodomouzuika1
「ガキみたいな顔しやがって」
 寝顔は、幼く可愛く見える。これまでに、何があってここに流れ着いてきたのだろう。青いミノムシになっている半次の顔を眺めていると、彼は片目だけ開けて言った。
「旦那、駄目っすよ。あっしはそっちの気はねえんですから」
 俺にだってない。
「そんな寝返りも打てねぇような格好で、よく寝られるもんだと思って見てただけだ」
「……旦那だってバイク乗りでしょ?持ってねぇんですかい、寝袋」
「新聞紙と段ボールで間に合わせた」
「さすが、ワイルドっすねぇ。……あっしのことは気にしねぇで、旦那も休んでおくんなせぇ――」
 眠ってしまった。
 この若者と妙だけは、俺たちのことに巻き込みたくない。

 
「あなた、ご飯よ」
 女の声。
 朝か。
「――」
「あ・な・た」
 耳元で。
「!?――変な声出すんじゃねえ!」
 寝床はいつものソファベッド。半次が、ジルのエプロンを掛けて立っていた。夕べ泊めたんだっけ。
「どうです?ちょっとしたもんでしょ?あっしの声色(こわいろ)」
「ビックリするじゃねえか」
「目が覚めたでしょ、あ・な・た」
「お前なぁ――」
「まさか、旦那」
 途中で止めるな。
「なんだよ」
「おネエちゃんに、こんな風に言ってもらったことがねえなんて、こたぁありやせんよね」
「知るか」
「何です、赤くなっちまって。顔のわりに以外と可愛いんですね、ダ・ン・ナ」
「悪かったな」


【つぶやき】
♪緑が見たいと 誰もが車走らせ ゆくから 緑が消えそう♪
 植物観察に出掛ける時、花たちに会える嬉しい気持ちの片隅で、この歌が頭を流れます。

(ある山小屋の主)
 盗掘が多くて年々稀少植物が減ってしまっている。なかなか現場を押さえることが出来ない。
(出会ったアマチュア写真家)
 盗掘をする人なんかほとんどいない。踏みつけの方が問題なのではないか。見付けた穴場はどんどん人に教えることにしている。
(友人)
 目立つところに咲いている美しい宿根草は花を摘み取ってしまう。そうすれば盗掘を免れるから。
(気にしない人)
 綺麗だから摘んじゃった。庭に植えてみようかな。

 みなさんは、どう思われますか?

 私は……長くなりそうなので次回に続けます。

*冒頭の歌は「憂き世に」。初期のオフコースのアルバム「ワインの匂い(1975年)」の中の1曲です(作詞は鈴木康博さん)。


Birodomouzuika2
 今日の写真は「ビロードモウズイカ」(2007.06.18群馬県で撮影)
 全体が白い毛におおわれている、不気味にも見えるこの巨大な姿を見かけることが多くなりました。ヨーロッパ原産で観賞用に栽培されていたものが逃げ出した帰化植物です。
 生えている場所をご覧下さい。アスファルトとコンクリートの隙間です。たくまし過ぎて「ど根性」と言ってもらえそうもありませんね。
 でも、よく見ると花は可愛いのです。

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コメント

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投稿: Audrey | 2014/01/23 06:21

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