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2007/05/13

母の日

Akebonosumire3
「おい!大丈夫か!!」
「はい」
「しっかりつかまってろ!」
「はい。――あの、そんなに大きな声を出さなくてもわかりますが――」
「あ?」
 そうか。声に出さなくてもわかるんだっけ。でも、バイクに二人乗りしている時は叫ばなきゃ、格好がつかねぇだろ。
「あなたの気分が良いのでしたら構いません」
 こんな天気がいい日に、高速を突っ走るのは確かに気分が良い。


「ただいま。誰か居るか?」
 恐る恐る玄関の戸を開けると、前掛けで手を拭きながらお袋が出てきた。昔から変わらない。
「なんだい、お前、来るんなら電話ぐらいよこしな」
「こんにちは」
「あら、いらっしゃい。ジルちゃんが一緒なら尚更だ。何にも用意してないじゃないか」
「おかあさん、これをどうぞ。稲作は恥ずかしいのですって」
 といいながら、ジルは、途中で買った赤いカーネーションの鉢植えを渡した。
 誰が恥ずかしい!母の日なんて照れくさくて、今まで何もしたことがなかった。
「嬉しいねぇ。ありがとう、ジルちゃん」
(稲作、思っているだけでは伝わらないこともあるのですよ)
 ジルは俺に伝えてきた。
 わかっているけど……。
(お母さんは、あなたの元気な姿を見られたことが嬉しいのです)
「何もご馳走がないけど、ゆっくりしていってね」
 お袋は、漬け物か煮物の残りでも出してこようと、台所に行く。
「近くにいるのですから、たまには帰らないと」
 バイクで2時間。そんなに遠くはないのにあまり帰ってこない。
「ジルちゃん、日本にいる時はここを家と思って良いんだから、遠慮無く遊びにおいで。温泉好きなんだろう?稲なんか一緒じゃなくても良いから。……稲と一緒に住んでくれてるんだもの、日本のお父さんお母さんだと思って良いんだよ」
 思った通り、漬け物や煮物や駄菓子を盆に一杯のせて戻ってきたお袋が言った。
「本当ですか」
 嬉しそうなジル。


 今日の写真は「アケボノスミレ」(2007.04.21長野県で撮影)
 今日はスミレにしましょう。
 葉が開く前に咲き出すアケボノスミレです。花びらの厚い質感と、独特のピンク色が美しいスミレです。

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コメント

Thanks-a-mundo for the post.Thanks Again. Much obliged.

投稿: Ella | 2014/01/23 04:24

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