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2007/05/10

昼下がりの秘事

Kakkosou1
「マダムは、和哉さんがお気に入りのようです。夕べ、お店に招待していました」
「物好きだな」
「どちらがです」
「両方」
 稲作はアイスキャンディーをかじりながら言った。
 暑い。アイスキャンディーがどんどん溶ける。
 〔月の光〕近くの公園。
 毎年恒例のアミガサタケ生け贄イベントは、無事終わった。
「あなたは、親心を知らないようです」
「親心?」
「いえ、姉、兄、かしら。マダムは可愛いあなた達を仲良くさせたいのです」
「冗談だろ」
 どんなにひいき目に見ても、俺たちは可愛くはない。麗華とジルにしか言えないセリフだ。
「そうなれば、和哉さんはあなたの力になってくれるでしょう」
「俺はヤクザは嫌いだ」
「いい人なのに――」
 空を見上げたジルは、少しよろめいた。
「どした?」
「日差しが眩しくて」
「ここんとこ急に暑くなったからな。木陰で休もう」
 真夏ではないから木陰は涼しい。
 ジルが吸血鬼だということをつい忘れてしまう。映画のような吸血鬼だったら、俺はとっくに彼を灰にしているだろう。
「飲むか?」
「少しいただいても良いですか」
 ジルは差し出した左手首にそっと噛み付く。
 久しぶりだった。彼の普段の食餌は、麗華が手配した医療用の血液。それを麗華の所で済ませてくる。
 昼日中、公園の木陰で座る俺たちがしていることに、気付く者はいないだろう。


Kakkosou2
 今日の写真は「カッコソウ」(2007.05.06群馬県で撮影)
 関東地方北部の狭い地域でしか見ることが出来ないサクラソウの仲間です。写真は自生ではなく復元地で繁殖させたものだと思います。暗かったので写りが良くありませんが、花が大きく美しいため、盗掘される心配があります。

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コメント

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投稿: Audrey | 2014/01/23 06:23

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