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2006/12/29

仕事納め

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「いらっしゃいませ、稲さん」
 12月29日夜の喫茶店〔月の光〕。
 いつもの席に、ジル、妙ちゃん、半次がそろっている。
「遅いよ、稲作」
 クリスマスの焼き肉パーティーですっかり機嫌を直した妙ちゃんは、今までと変わらない様子で手を振る。
「すまん。お千代ちゃん家の大掃除に手間取っちまった」
「今日で仕事納めですかい、ダンナ」
 と、いつもお気楽な半次。
「ああ、なんとかな」
「お疲れさまでした」
 と、言ったのはジル。
「じゃ、始めようか」
 ビールと簡単なつまみを並べながら、僕。
 店の看板は‘準備中’にしてある。今日は、ささやかな忘年会なのだ。
「みんな、1年間お疲れさまでした」
「後半失速したけどな」
 と、稲作。
「なに?」
「誤魔化すなよ。ブログの更新、3日か4日に1度しかしてねぇじゃないか」
「うわっ、ごめん。なかなか思い浮かばなくて――」
「呆けるにはまだ早いと思うが」
「ごめんよ、来年は心を入れ替えて努力するから」

*今回のお話、最初から読みたい方はこちらをクリックしてください。HPにまとめてあります*

 今年はこれで喫茶店〔月の光〕はお休みになります。一年間お世話になりました。年末は、本当にだらだらしてしまって、美羽ちゃんのお話は来年に持ち越しになってしまいました。ごめんなさい。
 心を入れ替えた(?)来年は、2日から営業再開の予定です。
 来年も喫茶店〔月の光〕をよろしくお願いします。
 それでは皆さん、よいお年をお迎え下さい。


 小田和正さんもうすぐ還暦かぁ、と、自分も一緒に歳をとっていることを忘れて「クリスマスの約束」を見ながら書いていました。KAT-TUNに曲を提供出来る若さがうらやましいですね。私なんか何人いるグループなのかもわかりません(ちょっとずれてる?)。
 なぜか毎年見ている「クリスマスの約束」。小田さんが好きだといって紹介してくれる曲は、知っている曲も知らなかった曲も馴染めるものが多くて、彼が歌ってくれたおかげで好きになったアーティストもいます。
 今年はやはりレミオロメンの「粉雪」を歌ってくれましたね。小田さんの琴線に触れそうな曲ですね。

 今日の写真は「キクザキイチゲ」(2006.04.23群馬県で撮影)
 野草観察をする私たちにとって、この花が咲く頃が一番忙しく楽しい季節です。毎週どこに出掛けようか迷ってしまいます。
 どこかで見付けたら、香りを嗅いでみて下さい。甘く優しい香りがしますよ。

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2006/12/26

それぞれのイブ

――美羽――
「うわぁ!うれしい!ありがとう、パパ、ママ」
 欲しかったゲームソフトをもらった美羽は、とびっきりの笑顔で喜んでみせた。
 イチゴのケーキにフライドチキン。久しぶりに全員が揃った食卓には、クリスマス・イブらしいご馳走が並んでいる。
 今日が日曜日でよかった。欲しいオモチャはお祖父ちゃんやお祖母ちゃんにお願いすれば何でも買ってもらえるけれど、家族3人で一緒にご飯がなにより嬉しい。

――半次――
「寒いなぁ」
 今夜は憑いてない。パチンコ屋を出てきた半次は、冷たい風に首を縮めた。
 街に出てお姉ちゃんたちと一杯やるか。
 ずっとこのまま気楽に生きていけると思っていた。ジルや稲作と出会うまでは。
 来年からは、真面目に働いてみようか。

――昌子と和哉――
「出入り禁止になったんじゃないのかい?」
 近付いてきた和哉に昌子は言った。彼がジルを前に、このレストランでワイングラスを握りつぶして、流血騒ぎを起こしたのは、ついこの間のことだ。
「あれはただの事故だから、そんなことにはならない。……同席してもいいか」
「嫌だね。あたしは一人を楽しむためにここに来ているんだ」
 毎年一人で過ごすクリスマス・イブ。美味しい物を食べて、贅沢な時間を過ごす。年に1日くらいそういう日があっていい。寂しい女だと言いたいやつは言えばいい。
 
――妙と僕――
「妙ちゃん、大丈夫?」
 午後6時の喫茶店〔月の光〕。
「ここに来られなくなるなんて、考えられなかったから」
「稲さんはそんなこと言わないよ」
「言われなくたって、顔合わせ辛くなっちゃうじゃない。――それにね」
「?」
「妹から彼女に昇格出来るかも知れないし。ボクたち、血が繋がってないしね♪」
「今夜はみんな仕事だけれど、明日はみんなでケーキ食べようね。また一番大きいの注文しておいたから」
「あの店のケーキ、美味しいよね」
 心配する必要がないほど、妙ちゃんはたくましくなったみたい。

――稲作とジル――
 店も一段落つき、ビルの屋上で一息ついている。
「大丈夫か?」
 映画かコントでしか見たことがないような王子さまの格好をした、輝く金髪と青い瞳のジル。今夜の彼ははしゃぎ過ぎている。
「誰かが居なくなるのは嫌でした」
「?」
「妙ちゃんに、今まで通り会うことが出来ます」
「その事か」
 先延ばしにしただけのような気もする。
「しばらくは、あなたにせまらないでしょう」
「しばらくねぇ。去年はここで、時間ギリギリでプレゼント渡したな」
「そうでしたね。今年は?」
「明日、何か食わせてやろうと思う。兄妹だからな」
「クリスマス・イブ」
 ジルは、電飾でいつもより明るい繁華街を見下ろしてつぶやく。
「俺たちには、あんまり関係ねぇけどな」
 ジルにとっては敵だろうし、俺は死ねば寺の墓に入るから仏教徒だ。
「うふふ。キリストは敵ではありません。あなたはお墓に入りたいのですか」
「いや、お前と一緒に旅をする。――飲むか?」
「いいのですか」
 差し出した左腕にジルは優しく噛み付いた。
 お前が喜ぶプレゼントなんて、このくらいしかねぇもんな。

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 すみません、26日になってしまいましたが、お話はまだクリスマス・イブです。

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2006/12/24

言い出せない

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 これから二人の間にどんな話し合いがされるのか、わかりやすい。
 いつもに増して稲作の顔が恐いのだ。気持ちをきちんと話す覚悟がついたのだろう。
 後のなぐさめ役は、僕の仕事になりそうだ。
 午前10時の喫茶店〔月の光〕。

「何よ、こんな早い時間に」
 妙ちゃんは、気配を感じて不機嫌を装っている。
「今夜はマダムの店の助っ人なんだ」
 これから新宿の麗華の店に行くのだろう。
「ジルも?」
「ああ。……なぁ妙、話したいことがある」
「聞きたくない」
「頼むから」
「だって、私たち付き合ってなんか無いもん。キスだってエッチだってして無いじゃない。好きだったら、とっくにしてるよ」
 稲作が無理して付き合う振りをしてくれていたことは、妙ちゃんにもわかっていたはずだ。それを認めたくない彼女の気持ちも解る。 
「大切なお前に、そんなこと出来ねぇよ」
「――今までのままでいいもん」
 今にも泣き出しそうだ。
「?」
「――恋人になってくれなくてもいい」
「?」
「妹でいいから、傍にいさせて」
「二度と会わないとか、北海道に帰れとか言ってるんじゃねぇんだ。お前がそれでいいんなら、俺はかまわねえんだぜ」
 自分から何も言い出せなかった稲作。困った顔の彼を見た妙ちゃんが、一瞬カウンターの方を見て、イタズラっぽく舌をのぞかせたのを僕は見逃さなかった。

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 今日の写真は「イワウチワ」(2006.04.15福島県で撮影)
 いよいよ写真がネタ切れになってしまいました。
 と、いうことで、しばらくの間は、今シーズン出会った忘れられない花たちの写真を紹介していこうと思います。
 1枚目は、いわき市で出会ったイワウチワ(岩団扇)です。花と葉が、これほど美しいモデルには、なかなか巡り会えません。

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2006/12/23

イブ前夜

「ビールの方が良かったですか」
 ジルがコーヒーを淹れてきた。
「いや、ありがとう」
「どうするつもりですか」
 彼は人の心を読むことが出来る。
「読んだのか?」
「あなたが、ずっと黙り込んでいたから」
 明日のことを考えていた。
「このままじゃ、あいつのためになんねぇよな」
 妙に恋愛感情を持っていないことを解っているはずなのだ。ただ、言葉に出して言ってしまっていいのかどうか、取り返しがつかないことにならないかどうか――。
「気持ちは決まっているのでしょう。別れ話をされて傷付かない人はいません」

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2006/12/20

あっけらかん

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 こういう掲示板があるということは聞いている。が、目にしたのは初めてだ。知らないところで自分が話題にされている。しかも事実無根の内容だ。
 美羽のことは、○羽と書かれている。
 大男、長髪、黒ずくめの親父――俺のことは見た目で書かれていた。
 〔月の光〕で夕飯を食べた美羽を何度か塾まで送った事がある。それを見た彼女の友達が書いたものだろう。
 内容は、短い罵倒の言葉がほとんどで、その中に混ざって美羽が俺と援助交際をしていると書いてある。話はどんどんエスカレートしていき、大人の俺でさえ読むのが辛くなってくる。
「ジル、どうしてここ――」
「美羽ちゃんがメールで教えてくれました」
「こんな事書かれてるの知ってるのか。大丈夫なのか、あいつ」
「自分は書かないけれど、よくあることだと書いてありました。面白いからあなたに教えると」
「面白いだと?こいつらみんな小学生だろ?なんでこんな事知ってんだ?」
「今の子供はあなたの時代より知識が豊富です。それに、書き込んでいる人がみんな子供とは限りません。大人が面白がってあおっている可能性もあります。……ダウンロードを済ませたら、掲示板の管理人に消してもらいます。Noを指定すれば応じてもらえるそうです」
「そうなのか?よろしく頼む」
 インターネットのことは全く解らない。ジルが居てくれて助かった。

「電話してみようかな」
「どうぞ」

 美羽の携帯に電話した。
「おじちゃん?」
「大丈夫か?美羽」
「見た?ありえなくない?」
「なんだ、そりゃ」
「ホントのことじゃないから気にしないよ。……でも、おじちゃんだったらホントでもいいかも」
 美羽はあっけらかんとして言った。心配は必要無かったようだ。 
「バカ言ってんな」

 電話を置くと、ジルがすかさず突っ込んだ。
「稲作、顔が赤いですよ」

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 日曜日は、嬬恋、草津方面に鳥見に行ってきました。
 見られた種類はトビ・ノスリ・キジバト・セグロセキレイ・ヒガラ・シジュウカラ・ゴジュウカラ・カシラダカ・カワラヒワ・ベニマシコ。期待していたクマタカ、ハギマシコには会うことが出来ませんでした。
 猿の群に遭遇しました。冬毛でフサフサ丸々と肥った猿たちは、道路ののり面に生える長い草を食べていました。車を止めて見ると、口の両脇から草を垂らしたまま「何見てんのよ~」と全員が振り返ってこちらを見ました。なんだか可愛かったなぁ。

 今日の写真は「くま」(2006.12.19群馬県で撮影)
 ‘くま’という名前の実家の仔猫です。名付けのセンスの無さは遺伝のようですね。
 半分寝ているところじゃないと、撮せないほど暴れ者です。

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2006/12/15

掲示板

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 灯りが点いていないということは、ジルは麗華の店に行ったか。
 ん!鍵が開いている。
 事務所兼リビングのデスクの上、ノートパソコンの画面が青く光っている。画面の前には、光を受けて青く浮かぶ人影。
 !?
 慣れているつもりでもドキドキしてしまう俺は、やはり小心なのか。
「いつも言ってるだろ、暗くなったら電気を点けろ」
 冷静を装って灯りを点けると、ジルがパソコンの画面に見入っている。夜目が利きすぎる彼には灯りは必要ないのだ。
「すみません、暗くなっていましたか。お帰りなさい」
「気付かずに見入ってるなんて、どんなエロサイトだ。高額請求はご免だぜ」
「あなたとは違います。――隠さない方が、いいですね、どうぞ」
「?」
 稲作は、勧められるまま席を替わり、パソコン画面を見る。
 文字の羅列。
 掲示板か。
 しばらく字を追っていると、さっきとは違う動悸と嫌な汗が――。
「大丈夫ですか」
「これって、美羽と俺のことか?」
「そのようです」

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 悲しいニュースを知りました。
 今日のテレビ東京「ペット大集合!ポチたま」で訃報の報告があるでしょう。
 ラブラドールレトリバーの旅犬、まさお君が12月9日に亡くなりました。まだ7歳でした。
 旅犬を引退して、のんびりとした余生を送ってくれるものとばかり思っていたので、残念で仕方ありません。
 あなたの、どんな人にも、犬にも、動物にも見せる大らかさと優しさが好きでした。ちょっとお行儀が悪いところ、美味しいものに目がないところ、好きになったら速攻アタックするところ、一緒に旅した松本君との信頼関係を見せてもらうのが好きでした。
 どうぞ、安らかに眠ってください。

〔月の光〕登場犬チョビは、まさお君がモデルでした。

 今日の写真は「ハキダメギク」(2006.12.15群馬県で撮影)
 掃き溜め菊だなんて、初めて聞いた人には冗談のようですが、図鑑に載っている名前です。こんなに寒くなってもまだ花を咲かせている丈夫な北アメリカ原産の帰化植物です。

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2006/12/11

普通の家庭

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 枯れ葉が舞い落ちる公園のベンチ。
 さすがにこの季節には、こんな所で弁当を食べているOLもいない。
 温かいお茶のプルトップを開けると、白い湯気が立ち上る。このあったかさが、有り難い。
 ハンバーグ弁当のフタを開けて、一番最初に付け合わせのスパゲッティーを食べてみた。
 どこが同じなんだ。絹さんが作るナポリタンの方がずっと美味い。
 そんなことを確かめるために、スーパーでハンバーグ弁当を買ったのではない。レジのパートをしている美羽の母‘川嶋美貴’を見に行ったのだ。美羽に面立ちが似た30代後半のおばさんだった。自分に構う気がないのか、体型や服装のせいか、実年齢より老けて見えた。独身時代の彼女は、けっこう有名な私立の女子大を卒業して、大手企業の受付をしていた。父親‘川嶋敏夫’は、格下の大学を出た中小企業の営業。収入も安定している、普通過ぎるくらい普通の家庭だ。
 二人にどんな出会いがあったのかはわからないが、今は、‘おじちゃん達やパパみたいな人と結婚しないように’と娘が教え込まれている。
 調べてどうなるものでもないが、調べずにはいられなかった。

 肩を叩かれた。
「ダンナ、こんな所でしょぼくれて。懐が寂しいんですかい?」
 半次だ。
「俺の懐はいつも寂しいさ」
「なんか温かいもんでも食いに行きましょうよ。おごりますから」
「今度でいいよ、これ、もったいねぇから」
 美羽には、こんな夕飯を一人で食べる夜がある。

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 ‘コメント’と‘トラックバック’は、余程の内容でない限り削除していません(余程の内容とはエッチ系)。昨日の日記に2件のトラックバックを付けていただきました。彼氏に付けて欲しいブルガリの香水No.1と香水の歴史です。‘香水’という文字で検索をかけたのでしょう。日記は、田舎の香水の匂いの話だったのですけどねぇ。それもまた面白いですね。今日の日記にも香水のトラックバックが付くかしら。

 夕べ、ラスト・サムライを見ました。
 フジヤマ、ゲイシャ、ニンジャ、ハラキリ、サクラ、好きなんですねぇやっぱり。異世界ファンタジーとして楽しませていただきました。
 異国的な森や村のロケ地はニュージーランドなのだそうです。植物好きとして、森の巨大シダのような木が気になって、ネット検索してしまいました。
 穏やかで礼儀正しく勤勉。私達の先祖はそういう人たちだったと、アメリカ映画で見せられるなんて、なんだか恥ずかしいですね。
 嬉しかったのは、寡黙なサムライ役で時代劇ファンなら誰でも知っている名切られ役、福本清三さんが出演されていたことです。時代劇では、アイシャドーとノーズシャドーがやけに濃くて、ラスト近くにカメラ目線で目立ちながら切られる人なので、皆さんも見たことがあるのでは?子供の頃から、彼を‘化粧’と呼んで時代劇を楽しませていただいていたのです。

 今日の写真は「オナガガモ」(2006.11.26宮城県で撮影)
 伊豆沼のオナガガモはエサをもらえるため、人を恐れません。コンパクトカメラでこんなに接近して撮れてしまいます。

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 今日2枚目の写真は「母猫」(2006.12.09群馬県で撮影)
 久しぶりに顔を見せた仔猫たちの母親です。まん丸に肥っていますね。目つきの悪さは相変わらずでした。

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2006/12/10

上機嫌の理由

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 夜更け。
 風呂から上がったジルは、鼻歌を歌いながら赤ワインを開けている。
「今夜は機嫌がいいんだな」
「あなたも飲みますか」
「珍しいな。……味、わかんねんだろ?」
「そういう気分なのです。味や香りの区別は付きます。忘れることもありません。……無駄だから飲まないだけです」
「そうなのか?‘このワインは農村を吹き抜ける田舎の香水の香りがする’とか出来そうだな」
「なんですか、それ」
「ソムリエって、気取ってそういうこと言ってねぇか?」
「そんな香りのワインは飲んだことがありません」
「どんな香りかわかってるのか?」
「あなたの実家の周辺」
 確かに、俺の実家の隣家では牛を飼っている。

「さあ、どうぞ」
 ジルはワインを注ぎ分けるとグラスを手に取り、うっとりとした表情で見とれている。からかったことに腹を立てていないようだ。
「乾杯でもしましょうか」
「何に?」
「私達の友情に」
 ジルの上機嫌の理由は、俺たちが親友だと言ったことだったようだ。
 二人の仲は、そんな言葉では表せない。

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 今日の写真は「ボケ」(2006.12.08群馬県で撮影)
 狂い咲いていた木瓜の花です。
 
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 今日2枚目の写真は「近況」(2006.11.28群馬県で撮影)
 彼らが初めてやって来たのは5月下旬、掌に乗るほどの仔猫でした。
 このカゴの中に兄弟4匹と母猫で寝ていたのです。今では2匹でもはみ出すくらいに大きくなりました。
 ‘でか’と‘ちび’は全く姿を見せなくなりましたが、‘くろ’と‘みみげ’は仲良く行動しています。

 ブロック塀の上に‘くろ’がいました。
「ビ、ビ、ビ、ビ」と、下あごを震わせておかしな声で鳴いています。彼の視線の先には、ピラカンサスの赤い実を食べに来たジョウビタキの雄。
 ジョウビタキは屋根の上で、捕まらない余裕を見せています(ように見えました)。
 飛び掛かる暇もなく逃げられてしまいましたが、鳴いてしまったら逃げられるに決まってますよねぇ。

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2006/12/08

お袋の味

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「ったく、意味わかって言ってんのか。俺たちは仲が良い・と・も・だ・ち!親友ってやつだよ」
 稲作は、全くかなわないといった表情で言った。
「うっそぉ、今どき重いんじゃない?親友なんて」
「美羽ちゃんには、いないのですか、そういう友達」
 面白そうに聞くジル。
「友達は大勢いるよ、おじちゃん達も」
「俺ら程度のは、ただの知り合いって言うんだぜ」
「メル友でも?」
「俺はお前のこと何にも知らねえし、お前も俺のことを知らねえだろ」
「知ってるよ、探偵さんでしょ」
「俺の友達は、誰もそう思ってねぇよ。……絹さん、いつものナポリタン」
「なあに、いつものって?メニューにないよ」
 メニューを確認して言う美羽ちゃん。
「美羽も食うか?」
「味見させてもらうだけにして、別のものを注文した方がいいですよ」
「何で?」
「稲作の特別メニューは、他の人には評判が良くありません」
「じゃ、今日はカルボナーラにします」

「おいしい!」
 カルボナーラを一口食べた美羽ちゃんは言った。
「これも食ってみな」
 手を付ける前のナポリタンを差し出す稲作。
 いつも説明しているけれど、彼の特製ナポリタンは、タマネギ、ピーマン、ウインナーをバターで炒め、ケチャップで味付けしたものだ。
「どうだ?」
 恐る恐る口に入れてみる美羽ちゃんに聞いた。
「ビミョーな味ね。でも食べたことある」
「お袋さんが作ってくれたのか」
「スーパーのハンバーグ弁当の付け合わせ」

「さてと、もう塾に行かなくちゃ」
 食事を終えた美羽ちゃんが言った。
「送ってやろう」
「大丈夫。いつも通っている道だから」
「俺たち友達になるんだろ」

「稲さん、何か変じゃない?」
 と、出ていった二人を見送った絹さん。
 応えるジル。
「しょうがない人です。傷付くだけなのに」

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 今日の写真は「エノキタケ」(2006.12.05群馬県で撮影)
 ネット購入したエノキタケの栽培キット‘もりのえのきたけ農園’です。
 関越自動車道を沼田方面に向かって走っていると、目に飛び込んでくる巨大おじさん看板‘ドクターモリ’でお馴染みの森産業の製品です。
 大きく育ったエノキタケは、見た目は野生のものと似ています。歯ごたえが良く、ぬめりが強い、美味しいキノコでした。
 栽培キットの値段は¥1134。スーパーで買うことを考えると、元は取れないでしょうが、毎日霧吹きで湿らせ、育てたキノコの味は格別ですよ(担当はペンさんでした)。
 キノコが苦手なお子さんのいるご家庭にはお勧めです。きっと好きになりますよ。
 
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 今日2枚目の写真も「エノキタケ」(2006.11.27群馬県で撮影)
 生え始めたばかりの幼菌です。

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2006/12/07

今の子って

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“ちゃんとした にほんごで かけ”
“おじちゃんこそ、漢字が書けないじゃない”
“かけないんじゃない へんかんが できない”
“ダッサーイ。今日はあの店に行くね”
 こんな他愛もないやり取りを日に1,2度している。美羽にとって、俺は大勢いるメル友の中の一人なのだろう。


「こんばんは」
「いらっしゃいませ、美羽ちゃん」
「なんで?」
 名前を呼ばれた美羽ちゃんは驚いた顔をして言った。
 ここは、喫茶店〔月の光〕。
「稲さんに聞いたの。可愛いメル友が出来たって喜んでた」
「探偵のおじちゃん?」
「そう。また来てくれて、ありがとう」
「うん。なに食べようかなぁ」
 美羽ちゃんはメニューを見ながら言う。
「ちわ~す」
「こんばんは」
「いらっしゃいませ、稲さん、ジルちゃん」
「おじちゃん!」
 嬉しそうな美羽ちゃん。
「おじちゃんおじちゃん」
 美羽ちゃんの目は金髪碧眼の超美形、ジルに釘付だ。「紹介して」と、稲作の腕を掴んで揺すっている。
「初めまして、美羽ちゃん。私は稲作の友達のジルです」
 美羽ちゃんは頬を赤く染めて会釈をしている。
「ジル、子供を誘惑するなよ」
「いえ、私は――」
「子供じゃないもん」
 美羽ちゃんは、ジルをさえぎって応えた。子供でも、こういう時は女性。
「美羽、ジルは駄目だぞ。お前の手に負える相手じゃねぇから。俺で我慢しとけ」
「やだ!」
「美羽ちゃん、そんなことはありません。私は稲作が好きです」
「ショックだなぁ。おじちゃん達、ゲイなの?」
 美羽ちゃんを除いた、一同唖然。今の子って……。

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 ココログの長いメンテナンスで、更新がお預けになっていました。
 
 日曜日は、春と初夏に行った桐生市の花見が原キャンプ場へ、冬のメッシュ調査に同行しました。片道4㎞の遊歩道をのんびり歩きましたが、期待していた野鳥たちには会うことが出来ませんでした。
 5年前の冬の調査では、オオマシコやベニマシコが見られたのですが、今年は駄目でした。アトリやマヒワの姿も見られませんでした。今年は山の実りが良くないのでしょうか。家の周りでは、今まで見たことがなかったコゲラを見ました。みんな平地に降りてきているのでしょうか。
 午後は、板倉町の田園地帯でミヤマガラス、コクマルガラス、タゲリ探し。
 ミヤマガラスは見られましたが、コクマルガラスには会えませんでした。可愛い淡色型が見たかったのですが……。去年は、数百のタゲリの群れを見ましたが、今年は見られませんでした。
 夕方は、渡良瀬遊水池。
 芦原で鷹を見ました。ノスリ、ミサゴ、コチョウゲンボウ、トビ、チュウヒ。ほとんど日が落ち、写真撮影が目的のウオッチャー達が帰った頃、ハイイロチュウヒのオスがねぐらに帰って来ました。見るだけでしたら十分堪能出来る明るさで、見られたことに大満足しました。

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 今日の写真は2枚とも「霜柱」(2006.12.03群馬県で撮影)
 一度、シモバシラ(植物名)に出来る霜柱を見たいと思っていました。これは、シモバシラではなく、カメバヒキオコシかヤマハッカに出来た霜柱です。
 不思議な自然の造形ですね。

 氷の花が咲くメカニズム(山渓ハンディ図鑑より抜粋)
 冬になって、外気が氷点下になり、地上部が枯れても、地中はまだ暖かく、根は生きている。そこで、水を吸い上げる力の強いものはまだまだ水を吸い上げる。茎の中の導管を上がってきた水は、茎の途中などからしみ出し、これが外気に触れて凍り始める。そして、茎がどんどん破れ広がると共に、氷の花も次第に大きくなる。

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2006/12/01

宇宙からのメッセージ

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 ジルはハイビスカスティーを飲み終え、形だけの朝食を済ませる。二人きりの時は、無理に食べる振りをしない。パソコンの電源を入れ、メールとホームページの掲示板のチェックをしてくれる。
 毎朝の風景だ。
「稲作、メールが来ていますよ」
「んが?珍しいな」
 俺は、彼が作ってくれたスクランブルエッグをかき込みながら訊いた。ジルに作ってもらってはみたものの「広木稲作探偵事務所」のホームページ閲覧者はほとんどいない(探偵事務所だなんて看板に偽り有りだからしょうがないが)。メールなんて尚更だ。
「美羽ちゃんからです」

“ぉぢ(C)、こωばωレ£
めぃιのホー£ページ見ナ=ょοゎりとぃぃセ冫スιτゑねο
・lt;Aドも書ぃτぁっナ=力ゝら、とりぁぇず×ー」レιτみまιナ=ο
私のァドレスゲッ├出来ゑナょωτ、ぉぢ(C)、ラッ‡ー!”

「おい、ジル、これは宇宙からのメッセージか?」
「知らないのですか?これはギャル文字です。変換します。
‘おじちゃん、こんばんは
めいしのホームページ見たよ。わりといいセンスしてるね。
メアドも書いてあったから、とりあえずメールしてみました。
私のアドレスゲット出来るなんて、おじちゃん、ラッキー!。’
と、書かれています」

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 皆さんのブログを回っていると、時々私のような年寄りには読めない日記があります。親切にも、変換ソフト付きのところがあったので遊ばせてもらいました。
 

 今日の写真は「オオハクチョウ」(2006.11.26宮城県で撮影)
 伊豆沼のオオハクチョウとオナガガモの皆さんです。

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