« 照れ隠し | トップページ | 下僕? »

2006/10/25

不意打ち

Imgp30671
 しばらく寝たのか。部屋は暗くなっていた。
 カタン。
 小さな物音。
 ジルが帰って来たのか。
 音の主は、静に部屋に近付いてきた。ジルではない。
 カチャリ、カチャリ。
 また、部屋の鍵をピッキングする音。
 今度は半次ではないだろう。
 こう暗いと、相手が見えない。そっとベッドから出てドアの脇に立つ。
「な~んだ。可愛い娘ちゃんはいないのか」
 この声。
「――なんで、隠れてるのかなぁ~」
 この間の抜けた声。
 と、いきなり胸元を掴まれ、ひざ蹴りがまともに入った。今、一番の弱点の場所に。
「ウウゥッ!」声になんねぇ!稲作は股間を押さえてしゃがみ込む。
「なんだ、コソコソ隠れるんだもん、あいつの仲間になっちゃったのかと思った。大丈夫?」
 こいつ、何でこんなに夜目が利くんだ?
「何の真似だ!!忠宣!――大丈夫な訳ねぇだろ!!お前みたいな妖しいヤツが入ってくれば誰だって隠れるに決まってる!!」
「呼び捨てはないだろ?兄弟子に向かって。……そんなに痛かった?トントンって飛び跳ねた方がいいかも?」
 電気を点けると、黒革の上下に身を包んだ沼田忠宣がいた。稲作の拳法の師匠、沼田のじいさんの息子で兄弟子、昔の俺だったら絶対に信じられない職業に就いている巫山戯た男だ。
「寝るには早い時間だからあいつが眠ってるのかと思ったんだ。お前病気?」
「うるさい!ちゃんと確認しろ!」
「お前が仲間になっていたら、こっちが危ないからね」
「これはなんの真似なんだ」
「あいつはどこにいる?」
 忠信は稲作の問いに答えずに言った。
「何をする気だ?」
「今まで通り暮らしているなら問題はないよ」
「ジルはずっと俺の傍にいてくれてる。ここんとこずっとだ」
「本当だな?――じゃ、別のヤツか……」
 と、呟いた忠宣は珍しく深刻な顔をしている。彼の仕事は吸血鬼ハンター。

*最初から読みたい方はこちらをクリックしてください。HPにまとめてあります*


 今日の写真は「フッキソウ」(2006.10.22東京都で撮影)
 富貴草と書きます。常緑の葉が茂る様子を繁栄に例えたものだそうです。白い実を付けていました。

|

« 照れ隠し | トップページ | 下僕? »

コメント

Guten Abend es ist schön, dass es noch Leute gibt die auch wirklich intressante Blogposts schreiben und sich mühe geben alle Informationen rechachieren ! Echt ein super Blog, den man gerne wieder besucht !

投稿: Addison | 2014/01/24 05:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/76837/12429995

この記事へのトラックバック一覧です: 不意打ち:

« 照れ隠し | トップページ | 下僕? »