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2006/08/31

バードウォッチング

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 こんな風に泳ぐのは何年ぶりだろう。けっこう体が覚えているものだ。
 浜辺が遥か遠くになってしまった。
 戻ろうか。
 波が強くて、なかなか前に進まない。
 おかしいな。
「ピーヒョロロ、ピーヒョロロ」
「?」
 頭の上をトビが、大きな獲物を掴んで飛んでいる。
 いたずらなヤツだ。
「よこせよ!それ食えねーぞ!」
 派手な浮き輪を持ったトビは、稲作をからかうように頭をかすめるように飛び回った。
「ピーヒョロロ」
「人馬鹿にして!」
 しばらく追い掛けて泳いで、ふと気付くと波が弱まっている。
 離岸流に巻き込まれたら、そのまま岸を目指さないで岸と平行に泳ぎ、速い流れから脱出することだ。……が、稲作がそんなことを知っているはずはなく、ジルの意志が働いているとび太に誘導されたのだ。
 ボチャリと浮き輪を落としたトビは上空高く舞い上がっていった。
「ピーヒョロロ」
 とび太か。
 せっかくだから、浮き輪を使ってのんびり戻ろう。

「麗華さん、泳ぎませんか?」
「あらぁ、ごめんなさい、絹さん。私、塩水嫌いなの」
 何しに海に来たんだろう。
「うふふ、これよ」
 麗華は、大きなバッグから双眼鏡を取りだした。
「それは――」
「私の好きなクリスタルグラスのメーカーなの」
 スワロフスキーの新製品。僕には手が出せない高級品だ。
「何を見るんです?」
「鳥よ。トンビとか、カモメとか」
 確かにトビはいたけれど、こんなに人で混んでいては野鳥はやってこないだろう。それに、どう見ても砂浜を見ている。千鳥足の酔っぱらい(?)はいるけれど、シギ・チドリがいるはずがない。
「目の保養よ」
 どうせ見ているのは男性なのだから、いいと思うしかない、のかなぁ。
「あら!?」
 麗華は、笑顔のまま、身を乗り出して一点に集中している。
「マダム、どうかしましたか」
 麗華の見る方を見たジルは、再び呼んだ。
「とび太!」


 今日の写真は「ハマベンケイソウ」(2006.08.09北海道で撮影)
 浜弁慶草。ベンケイソウの名が付いていますが、北海道と本州の北部で見られる、ムラサキ科の植物です。

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 今日2枚目の写真は「ハマニガナ」(2006.08.12北海道で撮影)
 浜苦菜。こちらは日本全土で見られる、海岸性のニガナです。別名のハマイチョウは、葉の形から付けられたそうですが、銀杏っぽいですか?
 今日は浜辺の話にちなんで、海岸性の植物を紹介してみました。

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2006/08/30

離岸流

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「ちょっとだけ、カッコイイと思い始めたんだけどな」
「?」
「あの人」
 沙織があごでしゃくった方を見ると、稲作がクロールで沖に向かって泳いでいくのが見える。凄い勢いだ。
「格好悪いとは思わないな。見た目じゃなくて、生き方。他人に迷惑かけずに食べていければ上等なんだって。あんな仕事してるのに楽しそうだし。あの人見てて気が楽になった。……オレは嫌いじゃない」
 浩一は、〔月の光〕&〔Madam☆Rose〕の面々を見ていて、人の生き方の色々を知った。
「ワタシだって嫌いじゃないけど、あの見た目でお姉さん達と同じなんて。――あっ、ごめんなさい」
 傍で聞いていたお姉さんに謝る沙織。
「いいのよ。彼はノーマル、残念だけど」
「何であんな風に恥ずかしがったりしたんだろ」
「笑いをとるつもりがすべったからじゃないかしら?」

「あの子、泳ぎも速いのねぇ」
 稲作のことを‘あの子’と呼ぶのは麗華だけ。
「流されてんじゃないのか?あいつ」
 と、黒服の青田。
 海になど入る気のない3人だ。
「離岸流が発生しているのかも知れません」
「なんだ?それ」
「海岸の波打ち際から沖合に向かってできる強い引き潮のことです。時々事故が起こります」
 暢気そうに答えるジル。
「ニュースなんか見ないからな」
「大丈夫かしら」
「溺れるようなことはないでしょう。……マダム、それをお借りしてよろしいですか」
「どうぞ」
「とび太!!」
 ジルは空に向かって呼びかけた。


 今日の写真は「ウメバチソウ」(2006.08.09北海道で撮影)
 梅鉢草。この花は北海道以外でも見られます。
 可愛く咲いていたので、モデルになってもらいました。

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 今日2枚目の写真は「ホロムイイチゴ」(2006.08.10北海道で撮影)
 幌向苺。名前が示すように、北海道の幌向が最初の発見地でした。
 北海道と東北地方の高層湿原や泥炭地で見ることが出来ます。

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2006/08/28

隙あり

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「稲作、泳ごうよ」
 と、弁当を食べ終えて、一休みした妙。
「後で行く」
「も~ぅ、せっかく来たのに~ぃ。それに、なんでタンクトップ脱がないワケ?」
 稲作は、赤い海パンにはき替えても、黒いタンクトップを脱がずに寝転がっている。
「悪いか?」
「気になりますねぇ。ダンナ、背中に模様でもあるんですかい?」
「模様?」
「私はあるわよ、こ・こ・に」
 と、麗華。彼女の内股には深紅の薔薇の花が描かれている。
 目をやった半次は、ゴクリとツバを飲み込んだ。
「そんな痛てぇこと出来るか」
 麗華とジルは全く泳ぐ気が無いようで、紫外線対策のつば広の帽子、サングラス、レースの日よけを羽織っている。青田は一番目立つ黒服を着て、二人の傍に立っている。
 麗華達は突っ込みどころ満載のはずなのに、半次は(恐くて)声を掛けられないらしい。
「だったら、脱ぎなさい。……私たちがなんのためにここに来たと思っているの、ねえ、みんな」
 麗華は、〔Madam☆Rose〕のホステス達にウインク。
「な、なんのためって?」
 起き上がって訊く稲作。
「みんなあなたの身体が見たいのよ、私は見たことあるけれど」
「私もあります」
 ぼそりと言うジル。
 全員の視線が稲作の上半身に集中した。
「み、見せもんじゃねぇぞ!!」
「減るもんじゃないし」
「海パンぬげって言うんじゃねぇんですから」
「脱いじゃえば?白黒パンダかどうか確かめてあげる!」 
 妙は面白がっている。
「胸毛がすごいとか?」
「隙あり!!」
 黒服の青田が上から、稲作のタンクトップをはぎ取った。
「イヤ~ン」
 両腕で胸元を押さえる稲作。
 ものすご~く白けた空気が辺りに漂う。
 稲作は、そっと腕を降ろす。
「な~んだぁ。別に普通じゃない」
「過大な期待をもたせねぇで下せえよ、ダンナ」
 全員が大きな反応は示さなかった。目を青く輝かせているジル以外は。
「泳いでくらぁ」
 走り去る稲作。

「なんなのよ――絹さんボク達も行こう」
 妙も、絹さんの手を引っ張って海の方へ走っていった。
「私たちも行きましょうか、半次さん。浩一君、沙織ちゃんも一緒に泳ぎに行きましょうよ」
 二人は顔を見合わせてうなずき会うと、綺麗なお姉さんにしか見えない〔Madam☆Rose〕のホステス達に付いていった。


 今日の写真は「ミズオオバコ」(2006.08.27群馬県で撮影)
 今日は北海道の植物を一旦中断して、昨日確認してきたミズオオバコです。
 葉がオオバコに似ている、水大葉子というトチカガミ科の植物です。
 直径2~3センチの薄いピンク色の花が水面から顔を出している姿は、大変目立ちます。

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 今日2枚目の写真は「ミズワラビ」(2006.08.27群馬県で撮影)
 田んぼや側溝に生えるシダの仲間。
 農薬などの理由で、ミズオオバコと共に会いにくくなった田んぼの植物です。

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2006/08/25

トンビがくるりと

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「キャー!!」
 背後で女性の叫び声。
 振り返ってみると、そこには悲惨な光景が。
 水着の女の子がお弁当を持ったままの形で固まっている。辺りにはおかずとご飯が散乱していた。
 黒い陰がスーッと急上昇していく。
「なんです!?」
「トンビに唐揚げさらわれた…ようだな」
 我に返った女の子は、呆然としながらおかずを拾い集めている。

 再びトビが急降下。しかも、こっちに向かってくる。
「うわ~ぁ!」
 半次が首をすくめた。
 が、トビは、伸ばしたジルの腕に止まった。
 ジルとトビは見つめ合っている。
「ジルさん、腕、痛くないんで?」
「大丈夫です。この子は‘とび太’。今、友達になりました。……これで、私たちのお弁当は安全です」
「ピィーヒョロロー」
 一声鳴くと、とび太は上空高く舞い上がっていった。

「お弁当、食べようか。たくさん作ってきたから皆さんもご一緒に」
 絹さんが重箱を広げ始める。
「まぁ、ありがとう。私も作ってきたのよ」
 と、マダム麗華。彼女の料理の腕はプロ級だ。
 絹さんの、おにぎり、唐揚げ、卵焼き、サンドイッチなどの定番メニューに加え、麗華のパーティーのオードブルのような豪華な料理。
「美味しい!」
 満足そうな妙。
 〔Madam☆Rose〕と〔月の光〕の一行は、周りの目も忘れて、輪になってわきあいあいのお弁当タイム。

「さあ、若い二人も遠慮せずにたくさん食べて」 
 今まで小さくなっていた沙織が、浩一に耳元で囁く。
「なんか、伏魔殿に紛れ込んじゃった感じ?」
「同感」
 上空では、とび太がぐるりと輪を描いている。
 ほーいのほい。 


 今日の写真は「コウリンタンポポ」(2006.08.10北海道で撮影)
 紅輪蒲公英、別名・エフデギク。
 ヨーロッパ原産の帰化植物ですが、一度見てみたいと思っていました。
 図鑑によると、北海道に多く帰化しているそうです。

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 今日2枚目の写真は「シマリス」(2006.08.10群馬県で撮影)
 文句なく可愛いですね。つがいで走り回っていました。
  

 今日はここで終わりません。
 お馬鹿な〔月の光〕の面々のお話の後で恐縮ですが、ここより下は作品紹介です。
 
 この作品には、moon princesssさんのブログで出会いました。
 非営利目的でしたら、転記可ということで、こちらでも紹介させていただきます。
 一人でも多くの方に、考えていただきたくて……。

*****************************
ワンの物語
『How Could You...』
by Jim Wills, 2001


私がまだ子犬だった頃、私はあなたが喜ぶような仕草をして、あなたを笑わせました。
When I was a puppy, I entertained you with my antics and made you laugh.

あなたは私のことを「うちの子」と呼び、私がどんなに靴やクッションを破壊しても、
You called me your child, and despite a number of chewed shoes

私たちは最良の友となりました。
and a couple of murdered throw pillows, I became your best friend.

私が悪さをすると、あなたは私を指差し、その指を振りながら、
Whenever I was "bad", you'd shake your finger at me

「どうして・・・?」と問いました。
and ask "How could you?"

しかしすぐに、あなたは微笑み、私を転がしておなかを撫でてくれました。
But then you'd relent, and roll me over for a belly rub.

あなたがとても忙しかったので、私の破壊癖は思ったより長く続きましたが、
My housebreaking took a little longer than expected,

それはお互い時間をかけて解決しましたね。
because you were terribly busy, but we worked on that together.

あなたに寄り添い、あなたの信念や、誰にも秘密にしている将来の夢に聞き入った夜のことを
I remember those nights of nuzzling you in bed

私は今でも覚えています。
and listening to your confidences and secret dreams,

あのとき私は、これ以上幸せな人生はないと、固く信じていました。
and I believed that life could not be anymore perfect.

私たちはたくさん散歩をし、公園で走り、ドライブし、途中でソフトクリームを食べました。
We went for long walks and runs in the park, car rides, stops for ice cream

(あなたは「アイスクリームは犬の体に悪いから」と言って、私にはコーンしかくれませんでしたが・・・)
(I only got the cone because "ice cream is bad for dogs," you said),

私はいつも陽だまりでうたた寝をしながら、
and I took long naps in the sun

あなたが一日の仕事を終えて家に帰ってくるのを待ちました。
waiting for you to come home at the end of the day.

次第に、あなたは仕事や出世のために費やす時間が長くなり、
Gradually, you began spending more time at work and on your career,

やがて人間のパートナーを探すようになりました。
and more time searching for a human mate.

私は辛抱強く待ちました。あなたが傷付いた時や落ち込んだ時にはあなたを慰め、
I waited for you patiently, comforted you through heartbreaks and disappointments,

あなたの決断が間違っていても決して非難せず、
never chided you about bad decisions,

あなたが家に帰ってくると、おおはしゃぎして喜びました。
and romped with glee at your homecomings,

あなたが恋に落ちたときも、いっしょになって歓喜しました。
and when you fell in love.

彼女-今はあなたの奥さんですが-は、「イヌ好き」な人ではありませんでしたが、
She, now your wife, is not a "dog person" still I welcomed her into our home,

それでも私は彼女を受け入れ、愛情を示し、彼女の言うことを聞きました。
tried to show her affection, and obeyed her.

あなたが幸せだったから、私も幸せだったのです・・・
I was happy because you were happy.

やがて人間の赤ちゃんが産まれてきて、私も一緒に、その興奮を味わいました。
Then the human babies came along and I shared your excitement.

赤ちゃんたちの、そのピンク色の肌に、またその香りに、私は魅了されました。
I was fascinated by their pinkness, how they smelled,

私も、赤ちゃんたちを可愛がりたかったのです。
and I wanted to mother them too.

しかしあなたたちは、私が赤ちゃんを傷つけるのではないかと心配し、
Only she and you worried that I might hurt them,

私は一日の大半を他の部屋やケージに閉じ込められて過しました。
and I spent most of my time banished to another room, or to a dog crate.

私がどれほど赤ちゃんたちを愛したいと思ったことか。でも私は「愛の囚人」でした。
Oh, how I wanted to love them, but I became a "prisoner of love".

赤ちゃんたちが成長するにつれて、私は彼らの友達になりました。
As they began to grow, I became their friend.

彼らは私の毛にしがみついて、よちよち足でつかまり立ちをしたり、
They clung to my fur and pulled themselves up on wobbly legs,

私の目を指で突付いたり、耳をめくって中を覗いたり、私の鼻にキスをしました。
poked fingers in my eyes, investigated my ears, andgave me kisses on my nose.

私は彼らの全てを愛し、彼らが私を撫でるたびに喜びました。
I loved everything about them and their touch--

何故なら、あなたはもう、めったに私を触らなかったから・・・
because your touch was now so infrequent--

必要があれば私は命を投げ出しても、子供たちを守ったでしょう。
and I would have defended them with my life if need be.

私は彼らのベッドにもぐりこみ、彼らの悩み事や、
I would sneak into their beds and listen to

誰にも秘密にしている将来の夢に聞き入りました。
their worries and secret dreams,

そして一緒に、あなたを乗せて帰ってくる車の音を待ちました。
and together we waited for the sound of your car in the driveway.

以前あなたは、誰かに犬を飼っているかと聞かれると、私の写真を財布から取り出し、
There had been a time, when others asked you if you had a dog, that you produced

私の話を聞かせていたこともありました。
a photo of me from your wallet and told them stories about me.

ここ数年、あなたは「ええ」とだけ答え、すぐに話題を変えました。
These past few years, you just answered "yes" and changed the subject.

私は「あなたの犬」から「ただの犬」になり、
I had gone from being "your dog" to "just a dog," and

私にかかる全ての出費を惜しむようになりました。
you resented every expenditure on my behalf.

そして、あなたは別の街で新しい仕事を見つけ、
Now, you have a new career opportunity in another city,

みんなでペット不可のマンションに引越しをすることになりました。
and you and they will be moving to an apartment that does not allow pets.

あなたは「自分の家族」のために正しい決断をしましたが、
You've made the right decision for your "family,"

かつて、私があなたのたった一人の家族だった時もあったのです。
but there was a time when I was your only family.

私は久々のドライブで、とても嬉しかった・・・保健所に着くまでは-。
I was excited about the car ride until we arrived at the animal shelter.

そこには犬や猫たちの、恐怖と絶望の臭いが漂っていました。
It smelled of dogs and cats, of fear, of hopelessness.

あなたは書類に記入を済ませて、係員に「この子によい里親を探してくれ」と言いました。
You filled out the paperwork and said "I know you will find a good home for her".

保健所の人は肩をすくめて、眉をひそめました。彼らは知っていたのです、
They shrugged and gave you a pained look. They understood the realities

歳を取った成犬たちが-たとえ「血統書」付きでも-直面する現実を・・・
facing a middle-aged dog, even one with "papers."

あなたは、「パパやめて、ボクの犬を連れて行かせないで!」と叫ぶ息子の指を
You had to prise your son's fingers loose from my collar as he screamed

一本一本、私の首輪から引き離さなければなりませんでした。
"No Daddy! Please don't let them take my dog!"

私はあなたの子供のことを心配しました。何故なら、あなたはたった今、このことを通して
And I worried for him, and what lessons you had just taught him about friendship

友情、誠実さ、愛、責任、そしてすべての生命への尊重の意味を、彼に教えたのです。
and loyalty, about love and responsibility, and about respect for all life.

あなたは私の頭を軽くたたき「さよなら」と言いました。あなたは私から目をそらし、
You gave me a good-bye pat on the head, avoided my eyes, and

首輪とリードを持ち帰ることさえ、丁重に断りました。
politely refused to take my collar and leash with you.

あなたにとって守るべき期日があったように、今度は私にも期日がやってきました。
You had a deadline to meet and now I have one, too.

あなたが去った後、やさしい女性係員が二人やってきて言いました。
After you left, the two nice ladies said

「何ヶ月も前からこの引越しのことを知っていたはずなのに、
you probably knew about your upcoming move months ago and

里親を探す努力もしなかったのね・・・」と。
made no attempt to find me another good home.

彼女たちは首を振りながらつぶやきました。「どうして・・・?」
They shook their heads and asked "How could you?"

保健所の人たちは、忙しさの合間に、とても親切にしてくれました。
They are as attentive to us here in the shelter as their busy schedules allow.

もちろんゴハンはくれました。でも、私の食欲はもう何日も前からなくなっていました。
They feed us, of course, but I lost my appetite days ago.

最初は誰かが私のケージの前を通るたびに、走り寄りました。
At first, whenever anyone passed my pen, I rushed to the front,

あなたが考えを変えて私を迎えに来てくれたのだと願いました。
hoping it was you that you had changed your mind,

今回のことが全部、悪夢であってほしいと願いました。
-- that this was all a bad dream...

そうでなければ、せめて私を気に留め、ここから助け出してくれる誰かが来てくれればと・・・
or I hoped it would at least be someone who cared, anyone who might save me.

しかし、幼い子犬たちの愛情を求める可愛らしい仕草には敵わないと悟った年老いた私は、
When I realised I could not compete with the frolicking for attention of

子犬たちの明るい運命を脇目に、ケージの隅に引っ込み、ひたすら待ちました。
happy puppies, oblivious to their own fate. I retreated to a far corner and waited.

ある日の夜、係員の女性の足音が近づいてきました。
I heard her footsteps as she came for me at the end of the day,

私は彼女の後に続いて通路をとぼとぼ歩き、別の部屋に行きました。
and I padded along the aisle after her to a seperate room.

しんと静まり返った部屋でした。
A blissfully quiet room.

彼女は私を台の上に乗せ、私の耳を撫で、心配しないで、と言いました。
she placed me on the table and rubbed my ears, and told me not to worry.

私の心臓が、今まさに起きようとしている事実を予期し、ドキドキと鼓動しました。
My heart pounded in anticipation of what was to come,

しかし同時に、安心感のようなものも感じました。
but there was also a sense of relief.

かつての愛の囚人には、もう時は残されていませんでした。
The prisoner of love had run out of days.

生まれついての性格からか、私は自分のことより、係員の彼女のことを心配しました。
As is my nature, I was more concerned about her.

彼女が今果たそうとしている責務が、彼女に耐え難い重荷となってのしかかっていることを、
The burden which she bears weighs heavily on her,

私は知っていたからです・・・かつて私があなたの気持ちをすべて感じ取ったように-。
and I know that, the same way I knew your every mood.

彼女は頬に涙を流しながら、私の前肢に止血帯を巻きました。
She gently placed a tourniquet around my foreleg as a tear ran down her cheek.

私は、何年も前に私があなたを慰めたときと同じように、彼女の手を舐めました。
I licked her hand in the same way I used to comfort you so many years ago.

彼女は私の静脈に注射の針を挿入しました。
She expertly slid the hypodermic needle into my vein.

私は針の傷みと、体に流れ入る冷たい液体を感じ、横たわりました。
As I felt the sting and the cool liquid coursing through my body, I lay down

私は眠気に襲われながら彼女の目を見つめ、「どうして・・・?」と呟きました。
sleepily, looked into her kind eyes and murmured "How could you?"

おそらく彼女は私の犬の言葉が分かったのでしょう、
Perhaps because she understood my dogspeak,

「本当にごめんなさい・・・」と言いました。
she said "I'm so sorry."

彼女は私を腕に抱きました。そして、「あなたはもっと良い場所へ行くのよ。」
She hugged me, and hurriedly explained that it was her job to make sure I went to

「ないがしろにされたり、虐待されたり、捨てられたり、
a better place, where I wouldn't be ignored or abused or abandoned,

自力で生きていかなけらばならないようなところではなく、
or have to fend for myself

愛と光に満ちた、この世界とは全く違う場所に、
-- a place of love and light

あなたが行くのを見届けるのが私の仕事なの・・・。」と、急ぐように説明しました。
so very different from this earthly place.

私は最後の力を振り絞り、尻尾を一振りすることで、彼女に伝えようとしました。
And with my last bit of energy, I tried to convey to her with a thump of my tail that

さっきの「どうして・・・?」は彼女に対する言葉ではなく、
my "How could you?" was not directed at her.

あなた、私の最愛なる主人である、あなたへの言葉だったのだと・・・。
It was you, My Beloved Master,

私はいつもあなたのことを想っていました。これからもあなたのことを想うでしょう・・・
I was thinking of. I will think of you

そして私は永遠に、あなたを待ち続けます。
and wait for you forever.

あなたの人生に関わる人すべてが、これからもずっと、私と同じくらい誠実でありますように・・・
May everyone in your life continue to show you so much loyalty.

終わり・・・
THE END.

ワンの物語
『How Could You...』 by Jim Wills, 2001

原文TUNAMARA KENNELSさんより
訳byナチュラハウンド店長(あーにゃママ)
*****************************


 品格がまるで違いますが、以前私が書いた「間違われた男〔平成編Ⅰ〕」と同じテーマなので、反応せずにはいられませんでした。
 以下は、間違われた男の【あとがき】に載せた新聞記事です。

―殺処分数についての新聞記事抜粋―
厚生省・総理府のまとめでは、九八年度に「不用動物」として保健所や動物管理事務所に引き取られたり、捕獲された犬・猫は約六十六万匹。この内、元飼い主や新しい飼い主の手に渡ったのは、二万八千匹に過ぎず、残りは「処分」されたり、実験用に譲渡されている。

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2006/08/24

アダムの林檎

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「ダンナ、どこでこんな美女達と知り合ったんで?」
「まあな」
 稲作が苦笑いしながら受け流すと、
「半次さん、ぜひお店に遊びにいらしてね。ジルちゃんが出ている時もあるのよ」
 麗華が誘惑の眼差しで半次を見詰めながら言った。
「ジルさん、マダムのお店で働いているんで?」
「うふふ、そうよ」
「ホールか何かで?」
「彼だけはホスト役なのよ」
「??」
「マダム、独り占めはずるいわ。この方、とっても私こ・の・み。ご趣味は?」
 若い美人が半次にすり寄って来た。
 が……。
「あの、つかぬ事をおたずね致しヤスが――」
「ステキな話し方」
「あの、ネエさんもしかして……男?」
 半次は、彼女の声の低さとアダムの林檎に気が付いたようだ。
「嫌だわぁ、そんな言い方。心はお・ん・な。あなたのものよ」
 彼女は半分からかっているようだ。
「ヒィ。……まさか、皆さん全員?」
「うふふ」
 麗華は妖しく微笑んだ。

「あービックリした。ダンナ、だましたんですね」
 逃げてきた半次。
「俺は何も言ってねぇぜ」
「まさか、ダンナもそっち系で?だからジルさんと一緒に住んでいなさるんで?」
「ご想像にお任せします」
「おい!ジル!」
「うふふ」
 ジルの青い瞳が輝いた。

 Adam's apple(アダムの林檎)は喉仏のことです。
 すみませんねぇ、ノロノロしている間に海水浴シーズンが終わってしまいそうですが、喫茶店〔月の光〕はもうしばらく海で遊びます。


 昨日の耕田巡りで、やっとタマちゃん(タマシギ)のカップルを見ることが出来ました。常連さんが見えないと、環境が悪化したのかと心配になってしまうのです。
 毎年同じ解説をしていますが、今年も。
 一妻多夫のタマシギは、メスが派手な羽根の模様を持つ野鳥です。夕暮れにメスが「ポゥ、ポゥ、ポゥ」と鳴き、オスを誘います。カップルになると卵を産んだメスは子育てをオスに任せて新しい相手探しに行ってしまいます。
 もうすぐ、お父さんタマシギが子供達を連れて歩く姿が見られるようになるでしょう。

 今日2枚目の写真は「エゾオオヤマハコベ」(2006.08.12北海道で撮影)
 蝦夷大山繁縷。ハコベという名ですが、花が大きく目立ちます。見た気がするハコベの花です。

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 今日2枚目の写真は「逃げ遅れた‘みみげ’」(2006.08.22群馬県で撮影)
 仔猫たちは毎日元気にやって来ます。もう仔猫とは言えない大きさになりましたね。
 相変わらず‘みみげ’は動きが鈍いので、写真が撮りやすいのです。

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2006/08/21

赤パンツ

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「どうしたんだ?みんな揃って」
「広木ぃ、見付けてくれると思ったわ」
 嬉しそうなマダム麗華。
 この集団、目に入らない方が難しい。
「まぁ、こちらの方々は、ニューフェイスね」
 半次、浩一、沙織までも赤くなっている。
 麗華は、半次には店の名前が入った名刺を渡し、浩一にはスカウト出来るかどうか全身を眺め回している。
「私の友達の半次と、事務所のお客様の浩一君と沙織さんです」
 と、ジル。
 半次は美女達に囲まれてふにゃふにゃ状態。

「どうしたの?その格好」
 稲作は、ジーンズの短パンと黒のタンクトップを着ていた。
「泳ぐ気ねぇから」
「そんなことだろうと思って。……どれがいいかしらねぇ。全部似合うと思うのよ」
 麗華は大きなボストンバッグから、海パンを取りだし始めた。
 稲作は、海パンを買ってこなかったことを後悔した。
 恥ずかしくてはけないようなぴちぴちの黒いパンツ、真っ赤な海パン、白いのは――。
「クラシックパンツよ。みんなが似合うに違いないって言うから」
「ふんどしですねぇ、ダンナ。確かに似合いそうですが」
 と、半次。
「あれは、尻がスースーして駄目だ」
「はいたことがあるんですかい?」
「まあな」
 サイズが大きくてぶかぶかだけど、真っ赤な海パンしか選択の余地がない。 
「広木、似合うわ。私の目に狂いはないわね」
「キャーッ、ステキ!」
「‘もこみち’みたいだわ!」
 姉さん達は店の外でも誉めまくる、一種の職業病だろう。おまけに身体を触りまくる。
 減るモンじゃないけど触るな!

「ワタシのもこみち君を汚さないで欲しい……」
 疎外感を感じた沙織が言った。麗華達が男だと知ったら腰を抜かすだろう。
「そうかな?背の高さと足の長さは良い線いってると思うな。オヤジだけど」
 麗華達の正体を知っている妙は、3人の反応を楽しみにしているようで、沙織のようにむくれていない。
「‘もこみち’ってどんな外人だ?」
 と、赤パンツの稲作。
 妙は、ね、やっぱりオヤジでしょうと沙織にウインクした。


 早稲田実業の皆さん、優勝おめでとうございます。
 駒大苫小牧の皆さん、よく頑張りました。
 試合の最後が両エースの対決なんて、涙が出そうになりました。
 皆さん、後に残らないようにしっかり身体を労って下さい。

 大人達の欲が絡まない高校野球の試合は爽やかでした。
 感動をありがとう。

 今日の写真は「レブントウヒレン」(2006.08.09北海道で撮影)
 礼文唐飛簾。礼文・利尻で見られるトウヒレンの仲間です。まだ咲き始めたばかりでした。
 
 北海道4日目は利尻島を後にして稚内に戻り、サロベツ原野で湿地の植物と野鳥を見ました。
 群馬では冬に見られるベニマシコや秋の渡のシーズンに見られるノビタキ、黄色が美しいツメナガセキレイが見られました。数が減っているというシマアオジを見ることは出来ませんでしたが今まで見たことがなかったアカエリカイツブリを見ました。

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 今日2枚目の写真は「間宮林蔵の立像」(2006.08.12北海道で撮影)
 日本最北端の地・稚内。林蔵が渡樺の決意を秘め、はるか樺太を望見している立像です。 世界地図にただひとつ日本人の名を残した探検家・間宮林蔵。像は、林蔵の生誕200年にあたる昭和55年7月に、彼の偉業を顕彰し、時代を担う青少年に、世界へ羽ばたく夢と勇気を培ってもらおうとの願いから建立されたものだそうです(稚内市のHPより抜粋)。
 すぐ傍にある「日本最北端の地・稚内」と書かれた碑の前では、自転車やオートバイで旅をしている若者達がひっきりなしに記念撮影をしていました。若いって良いですね。

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2006/08/19

合流!?

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「さて」
「スゲーなぁ、こりゃ。イモ洗ってるみてぇだ」
 有名な海水浴場にやって来た。ちょっと外れた場所に行けばこれほど混んでいないだろうが、若い者の提案でここにしたのだ。
「だから良いんじゃない。ステキな出会いがあるかも知れないし」
 辺りをキョロキョロしながら言う妙。
「場所、どこにしようか?……あれ?半次君は?」
 半次は荷物を背負ったまま、後ろの方で綺麗なおネエちゃんに声を掛けている。
 先祖と同じ行動をとる。
「半次さんったら」

 見たくないモノと異様なオーラを、視界の端に感じた。
「どうしたの?稲さん」
「いいか、絹さん、深呼吸をして心の準備をしろ。脳溢血を起こすなよ」
「?」
 俺が指さす方を見た絹さんの笑顔が固まった。
 女王様のようにパラソルの下の椅子に座り、派手なサングラスを掛けた美女。
 彼女を守るように傍らに立つ黒服の男(暑くないのか)。
 二人の周りには、ド派手な水着を着飾ったモデルのような美女たち。
 妖怪軍団・クラブ〔Madam☆Rose〕ご一行様が派手に手を振っている。

「ダンナ、あの美女軍団はダンナのお知り合いですかい!?」
 追い付いてきた半次が荷物を取り落として言った。鼻の下も延びている。
「ああ、そうだ。やつらはお前のことも可愛がってくれるぜ、きっと」
 彼女たちは、手を振り返す半次にキャーキャー言いながら激しく反応している。
 他人の振りをしたい。

「ジル、誘ったのか?」
「誘っていません。紫外線の予防法をうかがう時にここに来るといいましたが」
 誘ったのと同じ事だ。


 夕べ猫たちに牛乳をやっていた時のことです。
 猫たちのすぐ傍にアレがいました。黒光りして平たい楕円形の昆虫です。
 私はたいがいの昆虫は平気なのですが、飛んできても無害なことを知っていても恐いのです。山で頭の周りを飛ばれるオオスズメバチより、ゴキさんがこちらを目掛けて飛んでくる方に恐怖を感じてしまうのです。
 戸を小さく開けて牛乳をやり終え、慌てて閉め、牛乳を冷蔵庫に戻していると、
「ウウゥ~ッ!!」
という威嚇の声。自分の獲物に手を出すなという唸り声が聞こえました。
 恐いモノ見たさにそっと見てみると、やっぱり。
 兄弟を威嚇する‘くろ’の口の端から黒いアレが半分のぞいていました。


 今日の写真は「エゾノコギリソウ」(2006.08.09北海道で撮影)
 礼文島で撮した蝦夷鋸草です。特徴は、花が大きいことと、葉の切れ込みが浅いことです。
 北海道3日目は利尻島。こちらはバードウォッチングを主に、クマゲラ探しをしました。
 残念ながらクマゲラは、声を聞くことも出来ませんでしたが、探していた森林公園でイスカを見ることが出来ました。
 群馬県の森林で何年も探し歩いたのですが、会うことが出来ないでいました。
 松ぼっくりをこじ開けて、中の実を食べるためにくちばしが互い違いに延びている、変わったくちばしを持った小鳥です。
 1本の木に8羽のイスカ。感動でした。
 礼文、利尻は昆布とウニが有名です。ウニが苦手な私でしたが、思い切って食べてみると、甘くて臭みを感じませんでした。新鮮な物は美味しいのですね。

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 今日2枚目の写真は「キタノコギリソウ」(2006.08.10北海道で撮影)
 こちらは利尻島で出会った北鋸草です。花の色が濃かったので撮しました。

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2006/08/18

出発!

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 早朝。チョビの散歩を終えて、喫茶店〔月の光〕の駐車場に行くと、見慣れない「わ」ナンバーのワゴンが駐車してある。
 絹さんの四駆で乗り切らないのか?
 〔月の光〕のドアを開けると、みんな集まっていた。
 浩一とアマデラス!?
 二人は軽く会釈してきた。
「いらっしゃいませ、稲さん準備は出来ているよ」
「ああ、わかった」
「遅いよ!稲作」
「待ちかねましたぜ、ダンナ」
 妙は、持っていく物のリストを読み上げて半次にチェックさせている。なかなか良いコンビネーションだ。
 稲作はジルの側により、
「お前が誘ったのか?」と、浩一達の方を見た。
「はい。せっかく仲良くなれたのですから」
 みんなで初めての海水浴は、波乱の予感がする。
 
「さて、出掛けようか」
 上機嫌な絹さんの呼びかけで、全員ワゴンに乗り込む。
「運転は俺だぜ」
 遠出をしない絹さんは、はっきり言って運転が下手だ。
「ダンナが疲れたら、あっしが運転を代わりやす」
 半次は絹さんよりは運転が上手い。
「わるいねぇ」
「絹さんは着くまで寝てていいぜ、歳なんだから」
「ひどいなぁ」
「俺たちより、ってことだよ」

 車中。
 運転席=稲作、助手席=ジル、半次と妙、浩一とアマデラス、絹さん、の席順で座っている。
「皆さん、飲み物も御菓子もたくさんあるからね。絹さんビール飲む?」
と、妙。半次は彼女に指示を受けて、かいがいしく働いている。

「あのぅ、どうして参加したの?」
「ジルさんに誘われたら、断り切れなかったって言うか、こういうことになってました」
「ワタシと同じ。ジルって不思議だよね。……ワタシ、沙織。あなたは?」
「浩一」
 アマデラスの本名は沙織ちゃん。

「ビールは着いてからでいいよ」
と、絹さん。

「何か、お前、嬉しそうだな」
と、稲作。
「うふふ、そうですか。あなたの傍にずっといられるからです」


 なかなか更新が出来なくてすみません。
 全然らしくありませんが、一応主婦なので旦那様がお休みの時は行動を共にしているのです。
 出掛けるのが好きな私たちは、北海道から帰った後、長野県へ、昨日は谷川岳の下の方を歩いてきました。時間があると、休耕田を巡ってシギ・チドリ観察もします。

 留守にしている間、猫たちがどうしているか心配でしたが、帰った途端に4匹の仔猫たちみんなでお出迎えしてくれました。忘れずにいてくれたようです。
 1つ変わったところは、母猫が守っていません。子別れをしたのかと思ったら、一緒に来ることもあります。徐々に離れていくようです。
 チャトラは毎晩「んがががぁ、んがががぁ」と鳴きながら縄張りパトロールにやって来ます。

 今日の写真は「アサギリソウ」(2006.08.09北海道で撮影)
 朝霧草と書きます。朝霧ではありませんが、霧に濡れるアサギリソウです。
 礼文島2日目は桃岩歩道、礼文林道から礼文滝を歩きました。ずっと霧で景色を見ることが出来ませんでしたが、夏の草花には出会えました。関東では高い山に行かないとみられない植物が、北海道では道ばたに咲いているのです。

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 今日2枚目の写真は「餌台の上」(2006.08.16群馬県で撮影)
 猫が眠る場所は、涼しい所や温かくて気持ちいい所。そういう所を見つけ出す天才ですね。‘ちび’が眠っている場所は、餌台の上。りんごや蜜柑を置くために、ベニヤ板をヒモで吊して作ったのです。今の季節はエサが豊富なので何も置いていないのでご安心を。

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2006/08/15

妖しい関係

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「隣に行っても良いですか」
「いいぜ」
 向かい側のソファに座っていたジルが稲作の隣に来る。他のヤツだったら暑苦しくなるからまっぴらご免だがジルは特別だ。彼には体温も匂いもない。
 ジルが耳元で囁く。
「下さい」
「腹減ってるのか?」
 反射的に左腕を差し出す。……俺にとって当たり前の行動だ。
 ジルは稲作の手を取って小指を噛む。痛くはない。
「?」手首じゃないのか?
「……こうして、時々チェックします。あなたが栄養を摂っているかどうか」
 健康チェックなんかして。 
「バランスを考えてちゃんと食っている」
「そのようですね。……妙ちゃんに本を借りたのですが、お弁当を作ったら持っていってくれますか」
 美味そうな写真満載のレシピ本。所々に貼ってある付せんは、妙が付けたのか。
 !?
「遠慮しとくよ」
  寂しそうな顔をするジル。
 人間の食べ物の味がわからないジルは、本のレシピ通り完璧に作る。こんなのを完全再現されたら恥ずかしくて弁当箱の蓋を開けられないじゃないか。
 付せんのページの写真には、白いご飯の上に桜でんぷで大きなハートが描いてある。

「それでは、他の頼みを聞いてくれますか」
「内容による」
 安請け合いは酷い目に遭う。  
「海水浴に、行ってみたいのです」
 妙に洗脳されたのか。
「海岸は紫外線強いぞ」
「マダムに防止の方法を教えていただきます」
「どうしても、行きたいのか?」
「はい」
「しょうがねぇなぁ」
 俺は、海に行かされるという、ジルの策略にはまったことに気付かなかった。

 ホームページを始めて間もない頃書いた「みちくさ 桃の味」の中の子供達の様子は、父から聞いた戦時中の思い出話が元になっています。良かったらご覧になってみて下さい。
 若い皆さんも、身近なご両親やお祖父ちゃんお祖母ちゃんの貴重な体験談を聞いてみてはいかがでしょう。

 今日は終戦記念日です。
 世間は、小泉総理靖国神社参拝で騒がしいですが、神社で奉られている方だけでなく、戦争で亡くなった全ての人たちに安らかに眠っていただけるように祈りたいと思います。
 今の私たちが犠牲になった皆さんに恥ずかしくない生き方をしているか、反省をしましょう。

 今日の写真は「エゾウスユキソウ」(2006.08.09北海道で撮影)
 蝦夷薄雪草。別名・レブンウスユキソウ。
 今回は礼文島、利尻島と本島のサロベツ原野を旅してきました。
 毎日少しずつ、花の写真と一緒に旅の様子を紹介していきたいと思います。
 8月8日朝6時に出発して東京に出て、飛行機、フェリーを乗り継いで、夕方5時過ぎに礼文島に着きました。行動してみれば、アッという間の移動時間でした。
 2時間弱のフェリーの上では海鳥観察です。トウゾクカモメが見られないかと期待していましたが、今回は会えませんでした。カモメ類とウトウ、アカエリヒレアシシギを見られました。ウトウは泳いでいる姿、鼻の突起までよく見えました。

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 今日2枚目の写真は「レブンソウ」(2006.08.09北海道で撮影)
 礼文草という名を持つ礼文島特産のマメ科の植物です。ほとんど終わりかけでしたが、モデルを見付けてパチリ。

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2006/08/07

終わり良ければ

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「私をここから連れだして」
「どういうことだ」
「部屋からでれない」
「かんきんでも されているのか」
「恐いの」
「なにが」
「外の世界」
「なんで」
「みんな大嫌い」
「おれは どうすればいい」
「私に勇気を下さい」
「どうすれば」
「私を裏切らないと約束して」
「おれは おまえのことをしらない」
「私をずっと見ていて」
「ばかいうな しごとがある」
「夜だけで良いから」
 こんな風にメールのやり取りをして、受けた依頼だった。
 醜形恐怖の浩一と同じなのだろうか。だから、俺は‘アマデラス’と名乗った彼女の顔を見ていなかった。
 それが今、こうして対面している。
 色白、長い黒髪の美少女だった。
「あのぅ、そのお団子食べていいですか?わたしわぁ、いらないんですけどぉ、この子がどうしても食べたいって言うんですぅ」
「どの子?」
 彼女が下を向くと、頭のてっぺんがムクムクと動き出した。
 頭のてっぺんは横一文字に赤く裂け、開いた口から出た赤く長い舌がべろりとくちびるを舐め回した。髪の毛はザワザワと動き出し手の形になり、器用に机の上のみたらし団子の串をつまみ上げ、頭に割れた口に運ぶ――。

「うわーっ!!」
「稲作、起きてください」
「――んが?」
 ジルの言うことを聞いておとなしく病院に戻っていた。
「うなされていました」
 うなされもする。寝過ぎると眠りが浅くなるから夢ばかり見る。

「おはよう。稲作!夕べ抜け出したんだって?どうしてそうなのよ、心配かけることばっかして」
「そうですよダンナ。もういい歳なんだから、あんまり無理はいけやせん」
 妙と半次も昨日の事故を知っていた。
「昨日、全然目を覚まさないから心配したんだから」
 2人も来ていたのか。
「稲さん、昨日の検査結果聞いた?」
 今度は絹さん。
「聞いたよ」
「どうだった」
「別に」
「恥ずかしくて言えないそうですから、私が代わりに」
「やめろよ、ジル」
「熱中症を起こしたのは過労と栄養失調も遠因だから、退院しても無理をせずに静養するようにとのことです」
「藪医者め、ただの交通事故だろうが」
「事故の原因です」
「いやだぁ恥ずかしい、栄養失調だなんて。ボクが美味しい物作ってあげるね」
「うらやましいですねぇ、ダンナ」
「じゃあ妙、半次に作ってやれよ」
「なんでよ!」
 妙の手料理じゃ高血圧になるか餓死だ。  

「あのぅ、ちょっといいですかぁ」
 色白、長い黒髪の美少女。
「お前、アマデラス?」
 彼女は嬉しそうな顔をすると頭を下げた。
 頭のてっぺんに口は……ない。
「ごめんなさい。あんなにずっと見てくれるとは思わなかったの」
「受けた仕事だからな」 
「家の外に出るのが恐かったのは本当よ」
「出て来たじゃねぇか」
「夕べのことをあなたに謝りたくて」
「そうか。ま、取り敢えず良かったな」
「今日はお詫びとお見舞いに来ました。費用の方はまた改めて」
「払う気あるのか」
「はい」
「良かったじゃない、稲作」
「海に行けますぜ、ダンナ」
「君も良かったら一緒に行かない?」
 話はどんどん盛り上がっていく。
 終わり良ければ全て良し、か。
 彼女が持ってきた手みやげは、もちろんみたらし団子だった。

 話が長くなってしまったので、今回のお話「ネット依頼」を日々のエピソードに入れました。よかったらご覧になってみて下さい。

☆お知らせ―明日から約1週間、 喫茶店〔月の光〕は夏期休業させていただきます☆
 ちょっと旅行に行ってきます。
 お休み明けは、〔月の光〕一行の海水浴風景から始まる予定です。


 今日の写真は「ソクズ」(2006.08.07群馬県で撮影)
 別名・クサニワトコのスイカズラ科の植物です。白い花には蜜がなく、所々にある黄色い部分に蜜が詰まっているそうです。

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2006/08/06

刑事の勘

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「おまえ――」
 朝。警察署前。
 山田は自分の目を疑った。
 5年前に見た場面を再び見たからだ。
 だが、こちらに近付いてくる相手は、彼のように頼りなさそうでも不安げでもない。
「智紘を、知っているのですか」
 智紘にそっくりな顔で言う、青い瞳の青年。
「……」
「彼を、引き取りに来ました。拘束されている理由はないのでしょう」
「お前、何者だ」
「稲作の友達です」


「おっ!朝飯か!」
「釈放です」
「取り調べとかねぇのか?……山さんは?」
 出してもらって廊下に出ると、
「ここだよ。外に迎えも来てるぜ」
「警部だって?出世できたのか、山さん」
「悪かったな、昇進試験受けたんだよ。黙秘などせずに話せば泊まらずに済んだものを」
「快適だったぜ、‘臭い飯’ってのを食い損ねたけど」
 蚤やダニが湧いている小伝馬町の牢屋敷と比べたら天国だ。
「おまえ、冗談みたいな仕事をしてるんだな」
「あの娘、ちゃんと話したのか?」 
「ああ」
「様子はどうだった」
「伝言がある。言った通りに伝えるぞ。‘ばっかじゃないのぉ。ずっと見張ってるのもこっちが大変だから解放してあげるぅ。お金は必ず払うからぁ’だとさ」
「ぷっ」
 山田の話し方に思わず吹き出す。
「笑うな。今の娘はみんな同じ話し方をする。俺んちの娘と同じだ」
 ‘私をここから連れ出して’というメールを受け取ったのは5月31日。約2か月でお役ご免か。800円×5時間×約60日=約240,000円。
「そんな金、払えるのかなぁ」
「さあな。――広木」
 急に真顔になってこちらを見詰める山田。
「んが?」
「あいつは一体なんだ?」
「ジルが迎えに来てるのか。友達の外人だ」
「悪いことは言わない。あいつとは直ぐに離れろ」
「何で?」
「長年の刑事の勘だ」
 みんな同じ事を言う。

 話が長くなってしまったので、今回のお話「ネット依頼」を日々のエピソードに入れました。よかったらご覧になってみて下さい。
 小伝馬町の牢屋敷体験のお話は、本館「みけのみちくさ」の中の「間違われた男・享保編」にあります。よかったらご覧になってみて下さい。


 今日の写真は「イヌゴマ」(2006.07.27長野県で撮影)
 犬胡麻と書きます。別名・チョロギダマシ。
 果実が胡麻に、根がチョロギに似ているが、利用出来ないことから付けえられた名前だそうです。なぜか、役に立たないものに「犬」と付けられてしまうのです。「ダマシ」も可哀想ですね。
 寄り添って写り込んでいるナスの花みたいなのはオオマルバノホロシ。

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2006/08/05

留置

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「仕事」
「仕事ですか?どのような?」
 稲作より若い警官は、緊張で作り笑顔が張り付いている。
 恐いのだろう。誰がどう見たって俺は怪しすぎる。
「見た通りだ」
 彼女の部屋を見上げると、2階窓のカーテンの端がチラチラと動いている。このやり取りを見ているのか。
「ここでは、近所迷惑になりますので交番までご同行願えますか」
 警官は可哀想なほど丁寧だ。俺が暴れでもしたら直ぐに対応出来るように身構えている。
「そんなにうるせぇとは思えねぇけど。あんたのことなんか殴る気ねぇし」
 彼は、ちょっと身を寄せたら大袈裟に飛び退いた。
 
 ってことで連行されて、身元引受人に懐かしい人の名前を挙げたら、留置場に送られてしまった。
「どいうことだ!」
「山田警部殿のご指示だ」
 ここの担当者はさっきの巡査より年輩。
「ケーブドノ?誰が?」
 って山田のオヤジだよなぁ、出世したのか。
 山田は高校生の頃から厄介になっている顔なじみの刑事だ。絹さんに心配と迷惑を掛けるより良いと思って彼の名前を出したのだけれど。
「明日取り調べるそうだ」
 また、あの頃みたいに説教されるんだろう。
「あした?明日か。……腹へってんだけど、カツ丼とか食わせてくんないの?」
「今何時だと思ってるんだ。まだ何やったかもわからないヤツにカツ丼なんか食わせられるか。おとなしく寝ろ」
 確かに、カツ丼出してもらうのは殺人の自白の場面だ。


「絹さん、窓を開けても良いですか」
「どうぞ」
 夜気と共に店内に飛び込んできたのは僕(しもべ)のアブラコウモリ。
「わっ!そ、そのコウモリも君の――」
「友達のこう太です」
 こう太は、報告を済ませると、さっきから店内を飛び回っていたスズメ蛾を捕まえて再び窓の外に出て行った。
「凄い!さすがはコウモリだね。あの蛾、ずっと気になってたんだ」
「絹さん、お代わりをいただけますか」
 稲作はおとなしく連行されたのだ。何か考えがあるのだろう。
 それに、留置場ほど安全で安心な場所はない。彼は逃げることが出来ないのだから。

 話が長くなってしまったので、今回のお話「ネット依頼」を日々のエピソードに入れました。よかったらご覧になってみて下さい。


 昨日の群馬県伊勢崎市、館林市は最高気温38.6度を記録したそうです。
 私の住む町は伊勢崎寄りの前橋市なので最高気温に近い気温だったのでしょう。
 確かに暑かったです。

 今日の写真は「シロバナヘビイチゴの実」(2006.07.27長野県で撮影)
 ある程度の標高がある山で見られます。普通のイチゴとそっくりな実は、身近に見かけるヘビイチゴの実と違って食べることが出来ます。とても酸っぱいですが。
 実の大きさは、幸せを呼ぶ園芸品のワイルドストロベリーくらいです。

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 今日2枚目の写真は「オヤジ?」(2006.08.04群馬県で撮影)
 昨日の‘みみげ’です。大人っぽくなったでしょう?
 撮そうとしてそばに寄るとみんな逃げてしまうので、なかなか写真をUP出来ませんが、みんな元気に遊びに来ています。

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2006/08/04

職質

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「いらっしゃいませ、ジルちゃん。……今日は疲れちゃったでしょう?東京に着いたと思ったら直ぐに呼び戻されちゃって。本当に、稲さんはしょうがないんだからねぇ」
「はい。でも、大したことことがなくてよかった」
「ここでお昼食べてた時は何ともなかったのに。鬼の霍乱とはよく言ったものだ」
「オニ?」
「元気な人が急に病気になることの例えだよ」
「やっぱり彼はクロオニ」
 ジルは嬉しそうな顔をして言った。
「何?」
「何でもありません」
「もう少し、器用に立ち回れれば良いんだけど。彼ももう若くはないんだから」
 自分のことは棚に上げ切っている僕。僕にはもう無理かも知れないけれど、稲作の年齢だったら普通の家庭を築くことが出来る。
「稲作は若くないですか」
「同じ年齢で奥さんや子供がいる人もいるからねぇ。……何か入れよう。温かいのと冷たいのどっちがいい?」
「温かい飲み物を」
 僕は、ハイビスカスティーの用意を始めた。


 ジルのおかげで間に合った。
 11時。少女の部屋、2階窓のカーテンの端がちらりとめくれ、こっちを見た。
 なるべく目立たないところ、彼女の部屋からはよく見える電信柱の陰に立っている。
 グルグルッー――腹が鳴った。
 そういえば夕飯食ってねぇよなぁ。
 コンビニ寄ってくればよかった。

 トントン、と肩を叩かれた。
「なんだよ!」
 こんな時間に俺の肩を叩くのはジルか妙か――。
「あのう、こんな時間に何してるんですか」
 警官。

 話が長くなってしまったので、今回のお話「ネット依頼」を日々のエピソードに入れました。よかったらご覧になってみて下さい。


 一昨日、世界タイトルマッチ直後のブログに書いた「次回は誰にも文句を言われないKO勝ちを見せて欲しいです」と、皆さん思ったようですね。ご本人も自覚しているようですから、次回は成長した姿を見せてくれるでしょう。
 日本を代表する先輩スポーツ選手、イチローさん、松井秀喜さん、荒川静香さんのように素敵な日本の顔に成長してくれることを願いたいと思います。

 今日の写真は「クロマメノキ」(2006.07.27長野県で撮影)
 黒豆の木と書きます。黒豆のような色に熟した実は浅間ブドウと呼ばれて珍重されています。前につまんだ時、とても酸っぱかったのですが、食べ頃に熟すと甘いのでしょうか。

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2006/08/02

協力

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「稲作、起きてください」
「――んが?――うわぁっ!」
 薄暗がりでジルの瞳が青く光っている。
 怒っているのだ。
 トイレのドアはちゃんと閉めたし、ゴミは分別したし、歯ブラシ間違えて使ったか?
「違います!――ここがどこだかわかりますか」
「どこって、俺んち……じゃねぇ。――そうだ!ばあさんは?まさか轢いたんじゃ――」
「彼女は無事です」
 そうだ、直前にブレーキが利かなくて側溝に落ちたんだ。
「田んぼは?」
「あなたが落ちたのは水が入った休耕田です。作物に被害はありませんでした」
「良かった、バイクは?」
「壊れませんでした」
「ブレーキが利かなかった」
「バイクは異常ありませんでした。あなたはおかしな人だ。なぜ、自分のことを気にしないのです」
「どこも何ともねぇからこうしてしゃべれてるんだろ?」
「壊れていたのはあなたの方です、自覚はありませんか」
「別に」
「熱中症だそうです。熱痙攣を起こしてブレーキ操作を誤ったのでしょう。連日の睡眠不足の疲れも出たのです。だからここに泊まらなければならなくなりました」
 まずい。こんな所で寝てる場合じゃない。
「今何時だ?」
「10時です。だから起こしたのです。行きますか?」
「助かった、恩に着るぜ」

 灯りを落とした6人部屋の病室を出て、ジルの案内で病院を抜け出した。
「ありがとう。お前がこんなに協力してくれるとは思わなかった」
「後悔するあなたを見たくないだけです」

 話が長くなってしまったので、今回のお話「ネット依頼」を日々のエピソードに入れました。よかったらご覧になってみて下さい。


 話題の亀田興毅さんの世界タイトルマッチが終わりました。
 勝ちましたね。おめでとうございます。
 次回は誰にも文句を言われないKO勝ちを見せて欲しいです。

 今日の写真は「ミヤマホツツジ」(2006.07.27長野県で撮影)
 深山穂躑躅です。去年も紹介しましたが今年もまた登場です。くるんと上を向いためしべが可愛い小さなツツジです。「ホツツジ」だとおしべが真っ直ぐです。見付けたら確かめてみて下さい。

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2006/08/01

かすり傷

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「あの子もうちで働いてくれればいいのだけれど。私には身寄りがないし、あの子が後継者だったら店の誰も不平を言わないわ」
「断られたのですか」
「ええ、自分には向いていないって。あの子ほどこの商売に向いている人に会ったことはないのに」
 麗華は、クラブ〔Madam☆Rose〕の他にも何軒もの店を経営している、誰もが一目置く顔役敵存在だ。 
「稲作は器用だから、やる気になればやれるでしょう」
 私のせいか。
「あの子は無欲だし、虚業は嫌なのよ」
「そのせいでいつも損ばかりしています」
「さあ、食事は済んだわね。早く帰って様子を知らせてちょうだい」


 やはり、そんなに心配することはなかった。
 ここに連れてくるまでは大変だっただろうが、かすり傷程度の稲作は、気持ちよさそうにベッドで寝息を立てている。
「ジルちゃん、一晩寝かせておいて明日何ともなかったら退院して良いって。ここって完全看護だから僕たちは帰らないと」

 話が長くなってしまったので、今回のお話「ネット依頼」を日々のエピソードに入れました。よかったらご覧になってみて下さい。


 韓国イケメン俳優、チャン・ドンゴンさんが出演する焼酎のCM。
 女性のセリフ、
「私ね、いつか竹炭になって世の中を綺麗にしたいの」

 我が家の会話。
「このCM、どうしても、竹炭がカケスって聞こえてしょうがないんだけど」
「カケスって聞こえるよ」
 これってバードウォッチャー病?……カケスは世の中を綺麗にする。

 久しぶりに本館「みけのみちくさ」を更新しました。こちらで紹介していない写真もありますので、よかったらご覧下さい。

 今日の写真は「リンネソウ」(2006.07.27長野県で撮影)
 別名・エゾアリドオシ、メオトバナ。林の下に生える小さな花です。
 1週間、見頃を逃しました。

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