« 2006年5月 | トップページ | 2006年7月 »

2006/06/30

秘密の依頼

Imgp18071
「!?」
 う~っ!!
 妙は力の限り暴れた。
「妙ちゃん」
 冷たい手のひら、暗闇に青く輝く瞳。
 ジル!
「妙ちゃん、静に出来ますか」
 力が強くて振り解くことが出来ないけれど、痛くはない。
 妙は必死にうなずいた。
「どうしたの?仕事は?」
「今日はお休みしました」
「どういう事よ」
「ここでは気付かれてしまいます。アパートに戻りましょう。亜弥ちゃんが待っています」

「どういう事よ!」
 アパートに戻ると、亜弥ちゃんが尻尾を振って出迎えてくれた。
「その前に――」
 ジルが妙の手を取って口付けをした――のではなく、血が滲んだ傷を舐めてくれたのだ。
「(ご馳走様でした)可哀想に、暴れた時に擦ったのですね。……救急箱を持ってきます」
 消毒をして、絆創膏を貼りながら言う。
「妙ちゃん、あれは仕事なのですよ」
「うそ~、ボク知らないよ」
「稲作らしくないことに、あなたに気を遣って黙っていたのです」
「?」
「知っていたら、今日のような行動をとるでしょう。夜に女の子の一人歩きは危険です」
「あれが仕事なの?」
「みたいです」
「ボディーガード?依頼人は誰かに命を狙われているとか?」
「さあ、詳しいことは教えてくれないのです」

 だらだら書いているうちにずいぶん長くなってしまいました。
最初から読みたい方はこちらをクリックしてください

☆お知らせ―明日・明後日 喫茶店〔月の光〕はお休みさせていただきます☆


 今日の写真は「シソバタツナミ」(2006.06.25群馬県で撮影)
 紫蘇葉立浪。薄暗い林の下で、群生して咲く小さな青い花の波は幻想的に見えます。

Imgp18501
 今日2枚目の写真は「葉陰」(2006.06.30群馬県で撮影)
 暑い日はそれぞれお気に入りの場所で眠っています。
 この子はドクダミの下。匂わないかしら。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/06/29

妄想

Imgp16691
 今夜、ジルはバイトで東京。
 アパートには稲作しかいないはずだ。
 もしも、稲作が変なサイトを見ていたらチャンスかも。
 妙は大胆な行動に出ようとしていた。
 誕生日だって、クリスマスだって、バレンタインデーだって、いつも子供扱いしかしてもらえない。
 知らない訳じゃない。情報はたくさん頭の中に入っているのだ。
 実践が伴わないだけ。
 稲作にだったら――。

 チョコレートとポテトチップ、ジュース。ビールは眠くなっちゃうからダメ。
 コンビニの袋を下げてアパートの近くまで行くと、玄関から出てくる稲作を見た。
 思わず物陰に隠れてしまう。
 午後10時50分。
 どこに行くんだろう。
 家でネットやビデオじゃないって事は、外で綺麗なお姉ちゃんのいるお店。
 にゃう~!!
 そっと付いていくと、街とは逆方向に歩いていく。
 まさか、素人の綺麗なお姉ちゃん?
 だったら勝ち目が無いじゃない。

 稲作は、新興住宅地に入っていき、一軒の家の前で立ち止まった。
 電柱に手を掛け、まだ灯りが点いている窓を見上げている。

 なに!?
 今度はロミオとジュリエット?
 走り寄ろうとした時、肩をつかまれ、口を手のひらで押さえられた。


 今日の写真は「ヒメシャガ」(2006.06.17群馬県で撮影)
 姫射干と書きます。山地の岩石地に生えます。
 登山道の斜面に一面に咲いている様子は美しいものでした。1週間後に、もう一度同じ場所に行くと、人が入った跡があり、あちらこちらに盗掘された跡が……。
 何とも悲しい光景でした。
 山の花は、自生する環境に咲いていてこそ美しいのに。

Imgp17481
 今日2枚目の写真は「ちゃとら」(2006.06.23群馬県で撮影)
 子供達のお父さんです。彼は完全な飼い猫で、身体をすり寄せてくるほど人に懐いています。
 彼がやってくると、母も子も全員が甘えた鳴き声を出して出迎え、すり寄ります。他のオスが危害を加えないように縄張りを守っているのでしょうか。
 父親似が1匹もいないのですが……。

| | コメント (153) | トラックバック (0)

2006/06/28

お仕置き

Imgp17871
「ふぁ~あ。まだ2時間あるな」
 大盛りのカレーライスを食べ終わった稲作が、大きなあくびをしながら言った。
「?」
「次の仕事まで」
「なんか、眠そうだね」
「ふぁ~あ、そうなんだ」
「そこで寝てても構わないけど、奥の部屋を使っていいよ」
「わりいな、そうさせてもらわぁ」
 素直に奥の部屋に行ってしまった稲作。
「なによ」
 ひとり残された妙ちゃんは、ぷっとふくれた。
「仕事、忙しいんじゃない?」
「そんなことないよ。ボクがスケジュール管理してるんだもん」
「夜更かししてネットサーフィンでもしてるのかな」
 パソコンを手に入れたばかりの時、ソリティアにはまって夜更かししていると、ジルが言っていたっけ。
「きっと変なサイト見てるんだ。も~う」
「まあまあ、すぐに飽きるよ」
「今夜現場をつかんでお仕置きしてやる!」
「お仕置き!?」


 今日の写真は「コアジサイ」(2006.06.25群馬県で撮影)
 名前の通り小さな紫陽花です。花びらのような装飾花が無いので、目でわかります。小さな花ですが、群生していると美しく、甘い香りがします。

Imgp17851
 今日2枚目の写真は「アカシジミ」(2006.06.25群馬県で撮影)
 金属光沢を持つゼフィルス(ミドリシジミ族)の仲間です。詳しい人に教えていただかないとわからないものですね。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2006/06/27

子別れ

Imgp16491
「大きくなったね」
 と、妙。
「ああ、もうすぐ子別れだな」
 ここは、昼の喫茶店〔月の光〕。
 大盛りのカレーライスを注文して窓の外を眺めると、あの仔猫たちが暴れ回っている。
「子別れ?猫もするの?」
「しらねぇのか」
「飼ったことない」
「俺の実家には猫がいなかったことがねぇからなぁ。猫は厳しい子別れをするぜ。別れた後、ちょっとでも側に近付いたらぶっ飛ばしたり追い回したりするんだ。さっきまでオッパイ吸わせてもらってたのが、突然の猫パンチで訳わからないんだろうな、寂しそうに、怒られない所まで行って親を見てる。何日かするとあきらめるけど、可哀想だと思ったモンだぜ」
「そうなんだ。この子達もそうなるのかなぁ。今のところは凄く愛情注いでる。遊んでやるし、ネズミやトカゲ捕ってきて狩りの仕方教えてるし。……そのうち連れて来なくなるのかな」
「寂しいけれど、それが自然の姿なんだね」
 稲作の大盛りカレーと妙のチョコレートパフェを持って来た絹さんが言った。
「人間も同じ動物として、そうあるべきなんだけどな」
 浩一母子の顔が浮かんだ。


 今日の写真は「オノエラン」(2006.06.17群馬県で撮影)
 尾上蘭、山の上に生える蘭の意味です。小さくて目立ちませんが、登山道に生えていたため、気が付きました。

Imgp17341
 今日2枚目の写真は「甘える」(2006.06.23群馬県で撮影)
 我が家にやってくる、猫たちも子別れの時は近いようです。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/06/26

嘘でも嬉しい

Imgp17971
「亜弥ちゃんは、お行儀がいいですね」
 事務所に戻ると、朝飯の支度をしていたジルが言った。いつものように卵を焼いた良い匂いがしている。
「浩一のヤツ、犬のしつけは出来るようだな」
 トイレも決まった場所にするし、言われたことにはきちんと従う。出会った頃のチョビとは大違いだ。
「亜弥、こっちに来い。そう遠くねぇうちに家へ帰れるかも知れねぇよ」
 亜弥は、呼ばれるままに稲作の隣に座り、首を傾げるような仕草で話を聞いた後、
「ワン!」と鳴いた。
 俺の言っていることなんかわからないだろうに。
「寂しがらないで、浩一と、稲作と、ジルと、チョビと、みんなで散歩をすればいいのです……だそうです」
「ほんとかよ?」
 ジルの嘘でもちょっと嬉しい。

‘亜弥はどうしてる?’
 こんな風にメールが来る。
 あれから1週間。浩一とのやり取りは続いている。身の回りの小さな出来事などを、ポツポツと書き始めた。
‘ここにいる あやはいいこだな きいてなかった おすなのに なぜあやだ’
‘好きなアイドルの名前’
‘おまえも ふつうのおとこだな’
‘悪かったな’
‘すきな くいものなんか あるのか’
‘笑うなよ。シュークリーム’
‘わらうぜ こんどもってってやる あえないか’
‘考えておく’


 昨日の行動の疲れが取れません。体中痛くてだるくて、なかなか動きがとれません。シーズンオフの体力作りを怠った結果です。こんな時は、少し運動しなくっちゃ、と思うのですが、体調が戻ると忘れてしまうんですよねぇ。 

 今日の写真は「ヒトツボクロ」(2006.06.25群馬県で撮影)
 一黒子と書きます。花が咲いていても、見付けるつもりで見ていないと気付かないかも知れません。とても地味ですが、名前が可愛いですね。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006/06/23

早朝メール

Imgp16651
「何してるの?」
「見りゃわかるだろ」
 ここは朝6時の喫茶店〔月の光〕の前。
 いつものように、マスターの絹さんが出迎えてくれる。
 いつものように、散歩を終えて、チョビのミルクタイムだ。今日からは亜弥ちゃんも一緒。稲作は、犬たちを休ませながら、メールを打った。
‘きょうは いいてんきだ あやもげんき まいにちおなじじかんにさんぽしてる’
「彼女って事はないよね」
「あるか。浩一、亜弥の飼い主」
「なぁんだ」
「まずは、信頼関係を築く」
「慎重なんだね」
「乗り込んでいって、ドアをぶち壊して殴り飛ばすとでも思ったのか?」
「少しだけ」
「それは最終手段だ。失敗したら終わりだからな」
 ポケットの中の携帯が震えた。起きてるのか。
 返信は、‘亜弥を返せ’
‘むかえにこい’と、返す。
「ちゃんと反応してるって事は、まあまあだな。……ふぁ~あ」
「珍しいじゃない、あくびなんかして。コーヒー淹れようか」
「ありがとう、頼む」
 今回は時間を掛ける。若いやつらには、時間がたっぷりあるのだ。

☆お知らせ―明日・明後日 喫茶店〔月の光〕はお休みさせていただきます☆


 サッカー残念でしたね。私もタグふれではユニフォームを着て応援したのですが、勝負は時の運、仕方ありません。
 
 猫たちは遊びに来たり来なかったりです。うちには犬がいないので、子供を遊ばせるのにちょうどいいのかも知れません。
 困るのは、獲物を連れてきてそのまま放置することです。 
 この間のハトは食べてしまったようですが、今朝のネズミは無傷のまま庭に置いてあります。子供達は、ネズミより、集まっているキンバエが捕りたくて小さな声を出しながら追い掛けています。ネズミは、ハツカネズミよりはずっと大きく、ドブネズミよりは小さく見えます。後でどこかに埋めてしまいましょう。
 
 今日の写真は「ベニバナノツクバネウツギ」(2006.06.17群馬県で撮影)
 紅花衝羽根空木と書きます。別名ベニコツクバネ。ツクバネウツギの変種で、本州の関東地方から中部地方に分布し、標高1000~2000㍍の所で見られます。
 花が小さく色もくすんでいるので、あまり目立ちません。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006/06/22

亜弥ちゃんの夢

Imgp16551
 浩一に犬の散歩をさせる。亜弥ちゃんのために稲作が、浩一の母親から請け負った仕事だ。ただし無理はしない。深刻な状態だったら通院を勧めるつもりだ。
「浩一の部屋、嫌な匂いがしてた。あんな所に1時間だっていられねぇぜ」
 犬のトイレと腐った食べ物が混じったような匂い。あんな所に閉じ籠もっていたら、誰だっておかしくなってしまう。彼のどんよりとした目を思い出す。

「ジル、亜弥に聞いてみてくれ。今朝のこと気にしたかどうか」
 大好きなご主人に渡さずに戻ってきてしまった。その上、目の前で売り買いの話を聞かせてしまった。
 ここは、稲作の事務所兼住居の応接間。座っているソファは、夜は稲作の寝床に変わる。
「答えは、亜弥ちゃんが逃げ出してきたことにあると思いませんか。……気にしていません。彼は、浩一君とお散歩をすることを夢見ています。生まれて初めての今朝の散歩は楽しかったそうです」
 亜弥ちゃんは、うっとりとした表情でジルに狭い額を撫でられている。飼い犬にとって当たり前の権利が夢だなんて。叶えてやりたい。
「そうか。……こっちへおいで、亜弥」
 亜弥ちゃんは、ちょこちょこと走って来て稲作の隣に座った。
「そうしている方が、亜弥ちゃんには幸せかも知れませんが――」
「散歩もしてやらねぇような飼い主じゃぁな。それに、オスなのに亜弥ちゃんてのもなぁ。……うちの子になったらコロ吉に改名だぞ、コロコロ肥ってるから」
「稲作、亜弥ちゃんの夢は――」
「わかってる」
「情が移ったのですか。……うらやましい。私も行っていいですか」
 男3匹でソファに並んで座って楽しいのか?


 今日の写真は「ヒロハヘビノボラズ」(2006.06.17群馬県で撮影)
 広葉蛇上らずです。面白い名前ですね。茎に長い棘があるから蛇が上らないということのようです。
 こうして見ると、棘のない木香薔薇(モッコウバラ)のように見えますが、花はずっと小さく目立ちません。薔薇より長いとげが生えているメギ科の植物です。

Imgp17241_1
 今日2枚目の写真は「固まる」(2006.06.21群馬県で撮影)
 カメラを向けて、逃げ遅れた子をさわったら固まってしまいました。片方の耳を伏せ、どうしたらいいのかわからない表情をしていますね。ずいぶん大人っぽくもなりました。
 子供を虐める意地悪なオバサンですねぇ。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2006/06/21

貝のように

Imgp16581
「入るぜ」
「い、嫌だ!来るな!!」
「じゃ、出てこい」
「……嫌」
「お互いの顔と目を見合って話さなきゃ、話し合えねぇだんべ」
「顔!?」
 油断した途端、浩一は貝のようにドアを閉じ無反応になった。

「なんなんだ、あいつ。何年だ」
 亜弥を抱いたまま居間に通された。
「どうもすみません。行っていれば高校2年です」
 母親は、お茶を出しながら言った。
「って、いつからああなんだ」
「入学して3か月で行かなくなりました」
「仕事は?」
 母親は力無く首を横に振る。
「あんたのこと、あの女なんて言ってたぞ、知ってるのか」
 今度は首を縦に振る。
「言わせておくのか?しんじらんねえ。なんで殴り飛ばさない?」
「そんな……」
「出来なきゃ旦那にさせればいいんだ」
 二人とも、弱腰だからなめられるんだ。
「無理です、あの人には。あの子、暴れ出すと手が付けられなくなるのです」
「なんだと?――身体は丈夫だと言ったよな」
「はい」
「殴っていいか?」
「止めて下さい」
「場合によってはだよ。……ずっとあのままにしておきてぇんなら、こいつは俺がもらってそれで終わりにするが――」
 亜弥ちゃんの頭を撫でながら言う。
「あんた達、浩一より長生きする自信があるのか?」


 今日の写真は「レンゲツツジ」(2006.06.17群馬県で撮影)
 蓮華躑躅。つぼみの様子を蓮華に見立てたために付いた名前です。別名の鬼躑躅は山躑躅と比べると、大きくて花の色がきついから。
 群馬県の県花です。

| | コメント (6) | トラックバック (1)

2006/06/20

対面

Imgp16871
 お袋さんはぐだぐだ言って会わせたがらなかったが、大事な情報だけを手に入れた稲作は、強引に彼の部屋の前に立った。亜弥ちゃんも一緒だ。大事な情報とは、彼=浩一が肉体的な病気ではないということ。心の病気は判らないけれど。
「おい、俺だ!亜弥ちゃんも一緒だ。開けろ!」
 ドアを叩いても反応がない。
「おい!返事しねぇんなら、ドアを叩っ壊すぞ!」
 カチリ、と音がして、3センチくらい開いた。
 ドアの隙間からよどんだ空気と臭気が流れ出してきて、どんよりとした片目が覗いた。
「閉めるな!……どうだ、お前の亜弥ちゃんか?」
 隙間から見せる。犬が無邪気に喜ぶ様子から、間違いないことがわかる。
「亜弥!こっちにおいで。……間違いない。礼金は後で振り込んでおく」
「そうはいかねぇ。お袋さんは違うと言うんでねぇ」
 稲作は、犬を渡さずに言った。
「あの女は関係ない。間違いなく、僕の亜弥だ」
「何ぃ?あの女だと?誰のことを言っている」
「……」
「お母さんだろ?」
「……」
「お前を生んでくれた母親だろが」
「生んでくれなくてよかった……」
 なんなんだ?こいつ。
「帰る」
「なんで!?僕の亜弥」
「お前の亜弥じゃねぇ。お袋さんがお前に買い与えた犬だ。あの人が違うと言うんだ、どっちに従うかといえば、金を出してくれる方だろうが」
「僕が払う」
「お前が働いて作った金じゃねぇだろ。出所は親だ」
「亜弥をどうする」
「さあな」


 山の尾根で一休みしていると、腕のあちこちがチクチクします。なんだろうと良く見てみると、蚊よりずっと小さい虫が何匹も止まっていました。人によっては気付かないというチクチク感の正体は、梅雨時期や湿地に多いヌカカ(糠蚊)だったようです。
 以前、尾瀬に行った時の事を思い出しました。夕暮れ時、景色でも眺めながら外でコーヒーを飲もうと、宿泊先の山小屋から、いい気分で外に出ました。少しすると、よく見えないのに手足がチクチクしてたまらなくなって建物の中に駆け戻りました。翌朝、食卓の上に小さな虫の死骸がうっすらと積もっていましたっけ。
 あの時は刺された時のチクチク感しか覚えていなかったのですが、今回は腫れて、とても痒いです。刺されたのは土曜日なのに、まだ治まりません。ブユのように腫れませんが藪蚊よりずっと痒いです。あんなに小さい虫のわりにはタチが悪いですね。
 みなさん今の季節は、ヌカカにご用心。

 今日の写真は「クサタチバナ」(2006.06.17群馬県で撮影)
 草橘と書きます。花がミカン科の橘に似ている事から付けられた名前です。科はガガイモ科で全く違う仲間です。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006/06/18

メール問答

Imgp16731
「何をしていますか」
「ノミ捕りじゃねえよ」
「見れば判ります」
「ヤツにメール打ってる。これから亜弥ちゃんを連れて行くって」
 すぐに返信が来た。
‘来ないで!お願いします’
‘なぜだ おまえのだいじなあやちゃんだろ’
‘誰にも会いたくない’
‘あやちゃんはどうする ははおやはちがうといってる’
‘会えない’
‘すてていいのか’
‘嫌です。お願いします’
‘どうする’
‘顔を見せなくていいですか’
‘かってにしろ’
 携帯メールでのやり取りをのぞき込んでいたジルが言った。
「なぜ、稲作はひらがなですか」
「変換がめんどくさいからだ。……引きこもりなのか?」
「わかりません。が、何か問題を抱えているようです」
「とりあえず、行ってみる」

 すみません、先が考えつかなくて書けませんでした。


 今日の写真は「カモメラン」(2006.06.17群馬県で撮影)
 ランには、サギソウ・トキソウ・ニョホウチドリなど鳥の名前が付けられているものが多いのです。この花もカモメの名前が付いています。が、バードウォッチャーてきには「どこが?」という感じがします。高さ10センチほどで小さくて目立ちませんが、良く見ると美しい模様をしていますね。

| | コメント (5) | トラックバック (0)

2006/06/15

ノミ捕り

Imgp15191
「だからか……」
「どうしたの?」
「ここの河原を散歩してるから、依頼人自身に‘お前の大事な亜弥ちゃんかどうか見に来い’ってメール打ったんだけど来なかった」
「そう」
 見捨てられたか。
 稲作は、弟みたいといわれたパグ犬を見た。心細そうな顔をしてこちらを見返している。
「心配すんな、お前の一匹や2匹なんとかなるから」
「一緒に寝たから情が移ったのでしょう」
「情だけじゃねぇ。ノミも移ったみてえだ」
 朝から、腹のまわりがかゆい。
「どれどれ、僕がノミを捕ってやろう」
「やめてくれ」
「誰が君のを捕ると言った。気色悪い。亜弥ちゃんのに決まってるでしょう」
「ズボンを降ろせといわれるのかと思ったぜ」
「もーう」
 冗談の言い合いが解らないジルが真顔で言った。
「稲作、私が捕ってあげましょうか」


 今日の写真は「小麦畑」(2006.06.10群馬県で撮影)
 6月10日の大麦畑との色の違いが判りますか。小麦の方が色が濃いのです。

Imgp15771
 今日2枚目の写真は「ゴロピカリ」(2006.06.10群馬県で撮影)
 麦の収穫が終わると、二毛作の稲の植え付けが始まります。
 写真は、群馬のお米「ゴロピカリ」のパッケージです。
「月の光」を母に、「コシヒカリ」を父として人工交配して作られた品種です。名前の由来は群馬地方に多い雷から。
 今回の我が家のお米は「ゴロピカリ」にしました。「月の光」と「稲」他人とは思えない(?)ので。美味しくないという噂なのですが、幸せなことに、お米の味の善し悪しがわかりません。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006/06/14

三兄弟

Imgp15581
「うわぁ、な、何だ?」
 目を開けると、目に前にジルの顔。
「また見てたのか」
「あなた達があまり可愛かったものですから、つい」
 頼むから……。
 俺は赤ん坊の頃から可愛いなんて言われたことがないのだ。しかも、よだれを垂らして寝ているパグ犬と同等だなんて。
「チョビがいれば、三兄弟みたいでもっと可愛いのに♪……今日はみんなで散歩に行きましょう」

「で、みんなで来たんだ。チョビは亜弥ちゃんを虐めないんだね」
 喫茶店〔月の光〕の外。2匹は仲良く頭を並べてミルクを飲んでいる。
「チビ犬過ぎて相手になんねぇんだろ」
 ミルクを飲み終えた亜弥ちゃんは、稲作に飛びついて親愛の情を示している。
「すっかり仲良しだね」
「散歩をしたのは初めてですって」
「え?させてもらったことねぇのか。どんな飼われ方してたんだ」


 今日の写真は「ミズタビラコ」(2006.06.11新潟県で撮影)
 水田平子と書きます。以前に紹介したコオニタビラコと名前が似ていますが、種類が全く違います。コオニタビラコはキク科ですが、ミズタビラコはムラサキ科。葉が大きなキュウリグサのように見えます。

Imgp15921
 今日2枚目の写真は「ぎゅうぎゅう」(2006.06.14群馬県で撮影)
 仔猫たちは日に日に大きく育っています。全員で寝るにはきつくなってきたようです。

| | コメント (178) | トラックバック (0)

2006/06/13

ふたりといっぴき

Imgp15421
「どういうことだ?」
 事務所兼住居に戻った稲作が訊いた。
「彼女は犬嫌いのようです」
 ジルは亜弥ちゃんの頭を撫でながら言った。
「あなたに見付けられると思わなかったようです」
「何だよ、それ。依頼人は息子の方だろが」
「見つからなければ、あきらめさせようと考えたのでしょう」
「どうするんだよ、その犬」
「まずはお風呂に入れて――」
「ちょっと待て、風呂って?」
「ノミに刺されるのは嫌でしょう」
「わいてるのか?」
「彼女に移されたそうです」
 それで、ペットショップでエサだけじゃなくシャンプーとシーツみたいのを買ったのか。
「彼女だと?俺が必死に探してる間にそんな事してたのか」
「初体験だったそうです」
 亜弥ちゃんが恥じらっているように見えるのは、気のせいだろう。
「そりゃ、よかったな。――なんて、言ってる場合か」
「あなた、言ったじゃないですか、多生の縁と。亜弥ちゃんにとって一番いい方法を考えましょう」

 その夜。
「やっぱりこういう事になったぜ……」
 亜弥ちゃんは稲作の隣で大の字になって寝ている。しかも凄い往復イビキ。
 大好きなご主人様と、こうして寝られる日が来るのだろうか。


 今日の写真は「タニウツギ」(2006.06.11新潟県で撮影)
 谷空木と書きます。群馬県でも谷川岳の辺りで見られますが、山のあちこちでこの華やかなピンク色のタニウツギを見ると、日本海側に来たな、という感じがします。

Imgp15451
 今日2枚目の写真は「棚田」(2006.06.11新潟県で撮影)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006/06/12

犬違い

Imgp15501
「捕まえてきたぜ。こいつ、パグでいいのか?」
「間違いない、パグだよ。誰かに飼われてたんじゃ?」
「小さい犬だから、そこいらで愛嬌を振りまいてエサもらってたみてぇだ。写真と比べると、痩せてねぇだろ?」
 喫茶店〔月の光〕。
 チョビのミルクをもらって亜弥ちゃんに飲ませている。とても亜弥ちゃんとは思えない見た目だ。
「よく、一人で見付けられましたね」
 ジルは亜弥ちゃんの頭を撫でながら言った。
「稲さん、亜弥ちゃんの性別聞いてる?」
「亜弥ちゃんって言うんだからメスだろ?」
「この子は男の子だけど――」
「ごめん下さい」
 待ち合わせしていた、依頼人の母親がやってきた。

「せっかく見付けていただいたのですが、この犬はうちの亜弥ではありません」
「え?」
 違う犬を連れてきてしまった。
 ジルは犬を抱いたまま帰っていく彼女を見送った。

「参ったなぁ。この犬、どうしよう」
 間違って連れてきたパグは、不安そうに稲作とジルの顔を交互に見た。
「しばらく私たちで預かりましょう」
「ぴょん太に頼んで、飼い主探してもらおうかなぁ」
 ちょっと弱気な俺。
「その必要はありません。この子は間違いなく亜弥ちゃんです」


 昨日は新潟県に行って来ました。ブッポウソウに会うためです。
 ブッポウソウはハトより少し小さく、全体に黒っぽく見えますが、胸は青、腹はエメラルドグリーン、くちばしと足はオレンジ色の美しい鳥です。
 頭が大きく感じるのはブッポウソウ目の特徴でしょうか(カワセミやアカショウビン、ヤツガシラもブッポウソウ目)。
 ブッポウソウ、漢字にすると「仏法僧」。鳴き声の「ブッ・ポウ・ソウ」から付けられたはずだったのですが、本当の彼らの鳴き声は「ゲッ、ゲゲッ」。
 「ブッ・ポウ・ソウ」と鳴く鳥がコノハズクだと判ったのは、昭和10年のことだそうです。
 午前中、しばらく粘っても会うことが出来ず、代わりにサンショウクイ、キビタキ、ノスリが見られました。
 午後になってつがいと思われる2羽が現れ、しばらくの間美しい姿を見ていることが出来ました。去る時には特徴的な羽根の白い斑紋もしっかりと見せてもらいました。

 今日の写真は「オオバキスミレ」(2006.06.11新潟県で撮影)
 6月11日、こんな季節に出会えるとは思えませんでした。この冬は雪が多かったため、まだ雪が残っていました。溶けたばかりの所だけ季節は早春。フキノトウ、ツクシ、アオイスミレなども咲いていました。

Imgp15741
 今日2枚目の写真「寝心地は?」(2006.06.12群馬県で撮影)
 仔猫たち、昨日の夜2日ぶりに遊びに来ました。あまりお家に帰らないので外出禁止にでもされていたのかも知れません。掴んで持ち上げても、暴れて引っ掻いたりしないので、可愛がられて飼われているのではないかと思います。
 彼らが寝ているクッションは、最初はおじいちゃん猫にゃうじろう、次は野良猫にゃうたろう、次は仔猫たちのお父さんちゃとらのお気に入りの寝床です。
 先輩たちの匂いが染みついたクッションの寝心地は? 

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006/06/10

きつねの気持ち

Imgp15231_1
「麦秋ですね」
「覚えていてくれたんだ」
 麦刈りが始まってる。季節は春なのに黄金色になった麦は収穫の時。
 去年もこうしてジルと二人で麦畑を眺めたっけ。1年は早い。
「色が濃いのが小麦畑。色が薄い方が大麦畑だ。――君の髪の色は大麦の色だね」
「はい。きつね、ですか?」
 ジルの青い瞳が、僕の目ではなく、額の辺りを見詰めている。スピリチュアル・カウンセリングでも受けているような気分だ。
 去年もこの風景を見ながら話しただろうか。星の王子さまの飼い慣らされたきつねの話を。
「私は王子さまではありませんから、あなたの前からいなくなったりしません。まして、自殺などしません」
「いつまでも、ここにいる訳にはいかないよ。どこにいても、元気でいてくれればいいんだから」
「この麦畑を見て、私を思いだしてくれますか」
「うん」


 去年も書いた麦秋のお話でした。
 今日も仔猫たちは現れませんでした。やって来て暴れていないかと、何回も庭を見てしまいました。彼らは飼い猫で、もらわれていって幸せに暮らしていると思うことにしましょう。
☆お知らせ―明日 喫茶店〔月の光〕はお休みさせていただきます☆

 今日の写真は「大麦畑」(2006.06.10群馬県で撮影)
 二条大麦はビールの原料に、六条大麦は食用や麦茶として使われます。
 麦の刈り取りが終わると、畑は水を引き入れられて田んぼに変わります。

Imgp15261_1
 今日2枚目の写真は「二条大麦」(2006.06.10群馬県で撮影)
 二条大麦は、潰したように平べったい形をしています。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006/06/09

のび太

Imgp14711
「――それで、亜弥ちゃんは見つかったのですか?」
 と、ジル。
「まだだ。保健所には捕まってなかったし、近所をうろついているのも、轢かれて潰れてるのも見あたらなかった。飼い犬で、似た犬は何匹かいたんだが、色付きだったりするんだな、これが」
「稲作、それはボストンテリアです。パグではありません。……そんな区別も付かないようでは心配です。手伝いましょうか?」
 頭に浮かんだ絵を見たな。頼んでしまえば簡単に済むのかも知れない。でも……。
「もう少し自分で頑張りますか」
「ああ」
「ほんとうに二人は仲が良いんだね。話さなくても気持ちが通じ合っているみたい。……さあ、食後のコーヒーをどうぞ。ジルちゃんはお代わりをどうぞ」
 と、絹さん。
 通じ合っているというか、読まれているというか。
「困ったときは、いつでも言って下さい。力になります」
 いちいち力を借りていたんじゃ、俺は、のび太になっちまうぜ。
「誰ですか?のび太さんて」
 稲作は、ジャイアンにいじめられて、ドラえもんに助けてもらうのび太の情けないシーンを幾つも思い浮かべて見せた。
 ジルは、目を輝かせて記憶を読んでいる。
「面白ぇか?後で妙にマンガ借りてやるよ」
「あなたはのび太には似ていません。どちらかというとジャイアンです」


 今日の写真は「ドクダミ」(2006.06.05群馬県で撮影)
 今、どこ家の庭でも見かけます。庭中に生えてしまっていますが、花盛りの時は綺麗なので抜けません。
 
Imgp14641
 今日2枚目の写真は「母と仔猫」(2006.06.05群馬県で撮影)
 梅雨入りした今日は半日強い雨でした。そのせいか、猫たちが遊びに来ません。夕方、母猫だけが現れました。何だか寂しそうです。仔猫たちはどうしたのでしょう。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006/06/08

あなたのブログは大丈夫?

Imgp14861
 *今日はいつもと順番を変えました。

◇メンテナンス日時
2006年6月8日(木)02:00-16:00の約14時間
◇メンテナンス目的
データベース性能改善のため。
 ――だったはずが、18:24まで延長になりました。それは仕方ないことです。が、1:32~1:35までの間に迷惑トラックバックが7件も付けられていました。確信犯です。

 どなたにでも気持ちよくトラックバックを付けていただきたいと、すぐに反映するように設定してあったのですが、
【コメントとトラックバックの公開・選択すると、すべてのコメントとトラックバックの公開は、公開ボタンを押すまで保留となります。】この設定を有効にしました。
 私が一旦目を通してからの公開になりますので、反映まで時間をいただきます。
 ブログを開設している方でしたら、ご理解いただけるでしょう。
 ‘タグふれんず’を付けてから、小学生のブログに訪問をすることも多くなり、このブログに来てくれる子供達もいるのです。

 色々な方のブログを回っていて感じることがあります。
 ブログは自分の机の引き出しにしまっている日記帳ではないのです。純真な子供達の目に触れるかも知れないことを忘れてはいけません。
 私のブログは大丈夫?
 気を付けているつもりです。が、それは自分の物差しで測ってのこと。
 ジルの存在に、稲作の品の無さに、不快な思いをされた方もいるでしょう。その方々には申し訳なく思います。
 
 誰が見るかわからないブログです。

 あなたのブログは大丈夫?
 

「なに気取ってんだ?」
「気取ってなんかいないさ」
 ここは、喫茶店〔月の光〕。
「俺は、こいつの素性がどうであろうと、こいつのことが好きだから傍にいる。ただ、それだけのことだ」
 そう言われたジルの青い瞳が、一瞬輝いた。
「お待たせしました」
 稲作の前には大盛りのカレーライス。
「こないだテレビ見てたら、カレーライスは飲み物だって言ってるヤツがいたんだ。これ、どう飲むんだろう」
 彼がガツガツかき込んで食べる姿は、カレーを流し込んでいるだけのように見える。彼にとっても飲み物に近いような……。
 ジルの前にはハイビスカスティー。彼は真っ赤な色をしたお茶をうっとりとした表情で眺めながら、少しだけ稲作に寄り添った。


 今日の写真は「あなご?」(2006.06.06群馬県で撮影)
 プランターとプランターの間に隠れました。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2006/06/07

ぷーすけ?

Imgp14961
「依頼人はあんたか?男だと思ってた」
 連絡を取ったら、先方から、近くだからと〔月の光〕にやってきた。
「メールをしたのは息子です」
 そうだろう、‘ぼくの亜弥を助けて’という文だったのだから。
「何で本人が来ない?」
「申し訳ありません」
「ま、いいや。近くなら探しやすいし。写真と特徴は?」
 彼女に渡された写真を見ると、チョビが正拳突きされて潰れたような顔をした犬だった。なぜこの犬の名前が亜弥なんだろう。似合わねぇ。
「グレート・デーン?」
「そんな大きな犬ではありません。うちの亜弥はパグです」
「パグ?」
「ぷーすけくんと同じ種類ですね」
 コーヒーを持ってきた絹さんが言った。
「そうです、そうです」
 嬉しそうにうなずく依頼人の母親。
 なおわかんねぇ。
「映画、見に行きました。ムツゴロウさんの‘仔猫物語’。助演男優賞ものでしたね、ぷーすけくんは」
「あんまり見たことねぇ犬だから、うろついてればすぐわかるな」


 今日の写真は「ムラサキツユクサ」(2006.06.06群馬県で撮影)
 庭に咲いていました。帰化植物ですが、梅雨の季節にピッタリの花ですね。
 近付いてみると、おしべの綿毛が綺麗です。

Imgp14941
 今日2枚目の写真は「みないでよ」(2006.06.06群馬県で撮影)
 ‘家政婦は見た’か‘冬彦さん’か。ではなく、カメラを向けられて隠れたところをパチリ。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006/06/05

亜弥ちゃんの幸せ

Imgp11511
「稲作、メールの相手と話が付いたよ!」
 妙がやって来た。
「どっちのメールだ?」
「亜弥ちゃんの方。依頼人は誘拐だと言い張ってるんだけど、愛想を尽かされたんじゃないかな。お散歩にも連れて行ってなかったみたいだし」
「散歩?」
 嫌な予感がする。
「亜弥ちゃんは犬だから」
 やっぱりな。そんなことだろうと思ったぜ。
「保健所には連絡したのか?鑑札は付けてたのか?」
「何それ」
「まあいいや。これから依頼人に会いに行って聞いてみる。写真をもらって特徴も聞かないとな」
「なんだ、嫌がるかと思ったら、やる気満々じゃない」
 メールをもらったのも多生の縁、と、せっかく探してくれる飼い主がいるのなら、家に帰るのが亜弥ちゃんの幸せだ。世の中には、飼い主に保健所に連れて行かれる犬もいるのだから。
「あ~あ、のど渇いた。絹さん、フルーツパフェ1つね。稲作のおごりで」

 稲作が犬探しを引き受けたのは、あの体験(間違われた男・平成Ⅰ)があったからかも知れません。


 なぜ、こんな事ばかり起こるのでしょう。
 どんな言い訳も通用しません。
 心優しい少年は、お友だちだった女の子のお母さんをなぐさめようと、何の疑いもなく付いて行ったのでしょう。
 子供が近所のお家に遊びにも行けない。
 不審者だと思われてしまうから子供に声を掛けることも出来ない。
 声を掛けられた子供は身構えて相手を疑わなければいけない。
 ……。
 どうしてこんな世の中になってしまったのでしょう。
 

 今日の写真は「オトメスミレ」(2006.05.15長野県で撮影)
 今日からいつも通りの写真に戻しましょう。地味で目立ちませんが、野草には野草の良さがあります。散歩の途中で出会った時、名前を知っているだけでその花と近しくなったような気がしませんか?
 写真は、乙女菫。タチツボスミレの花が白い品種です。
 清らかな乙女のイメージで付けられた名前のようですが、箱根の乙女峠で発見されたことから付けられた名前だそうです。

Imgp14781
 今日2枚目の写真は「隠れる仔猫」(2006.06.05群馬県で撮影)
 1匹だけ大きく見えるのは、この子だけ毛が長いから。衣が厚い海老フライみたいに中身はやせっぽなのです。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2006/06/04

負け組

Imgp14251_1
「ギャーッ!、キャッキャッ!!」
「ギャーッ!、キャッキャッキャッ!!」
「カッ、カッコ!!」
「ギャーッ!、キャッキャッ!!」
「んが?喧嘩か?」
 洗った木イチゴをつまんでいると、さっきより、いっそうけたたましい鳴き声がしている。
「巣があったのかな」
「巣?」 
「ここ数年、今の季節の朝、高原の目覚めみたいな気分に浸れるんだ」
「何だそりゃ」
「カッコウがね、増えたような気がするの」
「?」
「カッコウの声で目覚めるのってなんか素敵じゃない?」
「その言い方、あんた女子高生か。そんなに鳥が好きなら俺の田舎に行って見ろ。カッコウにホトトギスにウグイスにニワトリに、うるさくって寝てらんねぇぜ」
「うらやましい、ツツドリやジュウイチもいるんだろうね」
「ところで、何でカッコウが増えたんだ?」
「最近、拓卵相手にオナガを選ぶんだって。大きさも丁度いいものねぇ。……要領が良い者が繁栄するのは世の常、人も鳥も同じだね」
「勝ち組負け組か」
「うん、鳥の勝ち組は放流したアユなんかをみんなエサにしちゃうカワウや、ドバトを捕るオオタカかな」
「負け組は?」
「山で広い縄張りが必要なイヌワシとかクマタカ」
「俺たちは?」
「考えようだよ、稲さん」

「稲作、メールの相手と話が付いたよ!」
 妙がやって来た。


 今日の写真は「バラ(ピンクパンサー)」(2006.05.30群馬県で撮影)
 ピンクパンサーというと、あの、手足が長い、ちょっと情けない顔をしたピンクの豹とおなじみのテーマ曲の映画「ピンク・パンサー」を思い出します。
 今、リメイク作品が上映されていますね。新クルーゾー警部はどんな感じでしょうか。
 私は、外見は上品でハンサムなのに壊れている、旧作ピーター・セラーズのクルーゾー警部が大好きでした。プールサイドに格好良く腰掛けていて、水着の女性が飛び込むのを目で追って、自分も背中からドボンと落ちちゃうような(お約束の原点?)。

Imgp14151
 今日2枚目の写真は「バラ(ジャルダンドゥフランス)」(2006.05.30群馬県で撮影)
 同じピンクでも、こちらは少し淡い色です。

| | コメント (1030) | トラックバック (0)

2006/06/03

争奪戦

Imgp14001
「ギャーッ、キャッキャッ!」
「ギャーッ、キャッキャッキャッ!」
 マスターの絹さんが窓の外を見て、溜め息をついている。最近溜め息が多い。
「どした?更年期か?」
 男にもあるらしい。
「違うよ、まだ早い、と思う。――見て」
 窓の外を黒いベレー帽をかぶった青灰色の尾が長い鳥が飛び交っている。オナガだ。
「ぴょん太とその仲間達か」
「そう、ジルちゃんの友達だから追い払うのも可哀想だし」
「?」
 よく見ると、庭木に留まって何かついばんでいる。熟したオレンジ色の実を旨そうに食っているのだ。
「木イチゴ……」
「そういえば、去年食わしてもらった覚えがある」
 カジイチゴだ。
「僕より目敏いの。明日は食べ頃かしらと思っていると、次の日もう無い」
 そりゃ、あんたより目敏くない生き物なんて、でんでん虫くらいだろう。 
「ちょっと待ってろ、少し採ってくる。食いたくなった」

 外に出た稲作は、意外にもオナガを追い払うのではなく、分けてもらっている様子だ。
 ぴょん太は彼の頭の上に留まっている。
「ウンコすんなよ」と、言う声が聞こえてくる。
 そういえば、ぴょん太にとって稲作は命の恩人だった。幾ら頭が良い鳥とはいえ、覚えているものだろうか。

「ほら、採ってきたぜ。葉の裏とか枝の陰に、ヤツらが気付かねぇ熟れた実が隠れてた」

 ぴょん太のお話は、リンク・日々のエピソード―ぴょん太―をご覧下さい。


 今日の写真は「バラ(プリンセスミチコ)」(2006.05.30群馬県で撮影)
 このバラも見頃になっていました。
 いよいよ、敷島公園ばら園は、明日で休園になります。しばらくの間寂しいですね。

Imgp14131
 今日2枚目の写真は「バラ(ジュビレデュプリンセスドゥモナコ)」
(2006.05.30群馬県で撮影)
 プリンセスつながりで載せてみました。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2006/06/01

多生の縁

Imgp14271
「写真付きメールは?」
「もう消した」
 妙は、頬を赤くして言った。
 どんな写真だったのだろう。
「それより、このメール読んで」
「なになに、‘ぼくの亜弥を助けて’と、‘私をここから連れ出して’と。何だこりゃ?誘拐と監禁か?……どこに行きゃいいんだ?」
 別々のメールが2件ある。稲作は上着を掴んで外出の体制に入った。
 ホームページには、依頼を受けるのは県内に限ると書いてある。依頼者は群馬県民のはずだ。
「待ってよ、題名しか見ないでどこ行くのよ。本文をよく読んでちゃんと確かめないと。ただの冷やかしかも知れないし」
「間に合わなかったらどうする」
「緊急だったら警察に通報してるって。……いい、返信して詳しい内容を聞いて、受けられそうだったら電話番号も聞いて、どこで待ち合わせるか話を詰めなくちゃ」
「面倒くせぇな。そんな悠長なこと言ってていいのか?」
「この事務所、そんなに期待されてると思う?」
 確かにそうだ。が、ここにメールをくれたのも多生の縁、貸せるものなら力を貸したい。


 今日の写真は「バラ(月光)」(2006.05.30群馬県で撮影)
 あれから1週間、もう一度バラ園に行ってみました。このバラ、先週はつぼみだったのですが、今週は開き過ぎていました。せっかくうちの店と同じ名前なので咲いた姿を見てみたかったのです。

Imgp14341
 今日2枚目の写真は「バラ(カレイドスコープ)」(2006.05.30群馬県で撮影)
 この色の変化、ぴったりな名前を付けてもらいましたね。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

« 2006年5月 | トップページ | 2006年7月 »