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2006/04/29

抑止力

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「マダム、今日は泊めていただけますか」
「もちろんいいわよ。嬉しいわ」
 ここは麗華の店〔Madam☆Rose〕。
 店内は中世ヨーロッパ貴族の館のような内装。ホステスは皆豪華なドレスで女装した美青年。ジルとガードマンだけが男装を許されている。
 集う客達は盛装したものから会社帰りのスーツ姿まで様々だ。ノーマルからアブノーマルまで、自分の居所を見付けてそれぞれの場所に落ち着いて夜の一時を楽しんでいる。
 ここでのジルの立場は別格で、可愛がられてもねたまれるようなことは決してない。長年生き抜いてきた彼の処世術によるものだが、誰もその事に気付いていない。だから来たい時にだけ来るという、気まま過ぎるアルバイトを許されているのだ。

「ジルちゃん、お腹空いているでしょう」
 食餌は麗華のマンションで摂る事に決まっていた。なぜだか稲作には食餌しているところを見られたくないのだ。
 手に入れるのも都会の喧噪に紛れて夜な夜な美女を襲う……のではなく、信頼出来る医師に輸血用の血液を安定供給してもらっている。だから、今のジルは渇くことはない。
 麗華はクリスタルグラスに食餌を用意してくれる。高価な品だがジル専用。彼女が、他の食器と一緒に洗うことはない。
「ありがとうございます」
「私は赤ワインを頂くわ」
 誰かに見られても、二人でワインを飲んでいるようにしか見えないだろう。
「マダム、忠宣さんと付き合うのですか」
「どうしたの?急に」
「私のためでしたら無理をしないで。……いつの時代も、誰かしらが必ず私を監視しているのです」
「あなたのためじゃなくってよ。彼は私の知らない世界をたくさん知っているの。ボーイフレンドとして魅力的だわ」
「心配しないで。彼らがいるから、私は安心して存在していられるのです」
【登場人物紹介】はこちらへ。
☆お知らせ―明日 喫茶店〔月の光〕はお休みさせていただきます☆
 ゴールデンウィークに入りました。出掛けることがあるので、更新が不定期になってしまう事があるかも知れません。
 左枠のリンク『〔月の光〕だより 日々のエピソード』に、最近までのブログで書いてきた続き物のお話を読みやすいように並べ直しました。良かったらご覧下さい。


 今日の写真は「コオニタビラコ」(2006.04.23群馬県で撮影)
 春の七草の1つホトケノザこと、小鬼田平子です。3月15日に七草セットで栽培したものを載せましたが、こちらは田んぼに生えている自然の姿です。
 一見タンポポですが、花の大きさは1㎝ほど。ミニチュアタンポポのような可愛い姿ですね。

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