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2006/04/18

モリーユ再び

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「さすがは妖怪、呼ぶ前に匂いを嗅ぎ付けてきたな」
「まあ!」
 麗華さんの目は、稲作が下げてきた汚れたレジ袋をに釘付だ。
 ‘妖怪’と呼ばれた事に何の反応も示さないのは、稲作の戯れ言に慣れているのか、本当の事だから気にならないのか。後者だったら恐すぎる。僕はジルが吸血鬼だという事を知らないが、彼が存在するのなら、妖怪だっているかも知れない。
「素敵!やっぱりモリーユだわ!もう出てるのね、上物ばかり」
 彼女はレジ袋を開いて中の確認をしながら言った。
 モリーユはアミガサタケのフランス名。
「当たり前だ。それにしても凄い嗅覚だな」
「たまたまよ。……さあ、広木、絹さん私たちのために美味しくお料理して頂戴ね。ジルちゃんは材料調達をお願い」
 私たちという時、彼女の手がS君の肩に置かれた。
 助かった。
「はい」と、僕とジル。
「俺が採ってきたのに……」と、稲作。
「さあ、S君、美味しいお料理が出来るまで、どこかへ連れて行って下さるわよね」
 もらわれていく子犬のように悲しげな表情を残し、S君は麗華さんに連れて行かれた。

 暫しの脱力の後。
「……さあ、始めようか」
 スケープゴートに選ばれなかった僕らは、哀れなS君のために心の中でお祈りをしながら作業に取りかかった。
【登場人物紹介】はこちらへ。
 去年のブログ「モリーユ」はこちらへ。


 今日の写真は「トガリアミガサタケ」(2006.04.15福島県で撮影)
 写真を撮すからまだ採らないで!と念を押してから、撮した1枚です。
 何でもない道ばたに生えている編み笠茸は、日本でも少し認識されだしましたね。
 ヨーロッパでは高級食材なのですって。

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コメント

えらい見事なブラック・モレルですねぇ。
私が見る黒系とは、印象が違います。

頭部がしっかり黒くて、コントラストがきれいです。

投稿: mido | 2006/04/18 22:15

いらっしゃいませ、midoさん。

状態が良いキノコだったのですね。みんなが興奮状態だった理由が良くわかりました。

ブラック・モレルと呼ぶとより高級感が増しますね。

投稿: | 2006/04/19 14:56

キノコ系も覚えたいんだけど、そこまで出が回らなくて…
アミガサダケなら見たことあったけど、黒で高級食材だったなんて
知りませんでした~

投稿: 翡翠 | 2006/04/21 11:47

いらっしゃいませ、翡翠さん。

アミガサタケのような覚えやすいものから覚えていくといいですよ。という私も、写真を撮しても、ほとんど判断が付かない物が多いのです。
野生のキノコは、もしもって言うことがあるから、食べるまでに勇気がいりますよね。

投稿: | 2006/04/21 18:25

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投稿: Savannah | 2014/04/04 10:14

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