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2006/03/03

お内裏様

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「いらっしゃいませ、ジルちゃん。今日は稲さん遅くなるって言っていなかった?」
「はい。聞いています」
 それでも、誰かを待っている様子だ。
「こんにちは、絹さん」
「いらっしゃいませ、お梅さん」
 ジルの顔がパッと輝く。彼が待っていたのはお梅さん?
「ジルちゃん居たね。ちょうど良かった。……絹さん、これはあんたと沼田さんと稲作の分だよ」
 彼女は、大きな風呂敷包みをカウンターに置いた。
 今日はひな祭り。
 店にも妙ちゃんのために、2月の後半に小さなお雛様を飾っている。
「さあ、ジルちゃん一緒においで。女の子だけも良いんだけど、ことしはジルちゃんがお内裏様だよ」

「で、ジルだけ良い思いをしてるのか。あの子だけお内裏様なんて納得できんな」
 お梅さんに頂いた重箱の太巻き寿司をつまみながら、沼田さんは言った。
 お梅さん手作りの太巻き寿司は年季が入った芸術品だ。紅ショウガの赤、炊いたニンジンの橙、でんぷの桃色、卵焼きの黄色、三つ葉の緑、炊いたかんぴょうとシイタケの茶色の具が入った断面が美しい。
「何でわしじゃないんだ」
 沼田さんは拗ねているのだ。お内裏様に選んでもらえなかったことが納得いかない様子。
「たまには良いじゃないですか」
 いつも、お千代さんお梅さんと一緒なのだから。去年も開かれた‘女の子だけのひな祭り’は、二人に妙ちゃんが混ざっただけなのだ。
 呼ばないお詫びだと、僕らはこうしてひな祭りのおこぼれを頂いている。

「今日はご招待ありがとうございます」
「ジル、何堅苦しいこと言ってるの。早く食べようよ!」
「はい」
「さあ、白酒をお飲み」
「美しいですね」
「え?私?」
 と、3人。
「このお料理は本当に美しい」
 ジルが待っていたのは、1年ぶりの太巻き寿司との対面。
   

 今日の写真は「ウメ」(2006.02.28群馬県で撮影)
 2月28日は、1本の木に1,2輪の開花状態でした。今日当たりは満開に近い状態になっているかも知れませんね。
 桃の開花はまだまだなので、今日の写真は桃色の八重咲きの梅です。

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