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2006/03/31

対決!

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「可愛い衣服も持ってるんじゃねぇか」
 女の子らしい花柄のカットソーとパンツスタイル。可愛いポシェットを下げている。
「悪かったわね」
 約束通り、〔月の光〕に花梨を連れて来ている。絹さん、妙には事前に何が起こっても慌てるなと言っておいたが何かか起こる気配はない。
「稲作、ほんとに家庭教師なの?」
 いつもの4人掛けの席に妙、ジル、花梨と座っている。
「誰が?」
「俺」
「ウソ、勉強教えてもらったこと無い」
「教えてるだろ、社会勉強」
「前途ある若者に、変なこと教えないでよ」
「お待ち遠様でした」
「あっ、来た来た。花梨ちゃん、これが妙ちゃんお勧めのイチゴパフェだよ。とっても美味しいんだ。お代わりはチョコレートパフェにしようね」
「腹壊させるなよ。……大丈夫そうだな、ジルちょっとお守りを頼むぜ」

 大丈夫。
 半次の調べでも、園田夫婦の関係は良好で、なさぬ仲でも親子関係も良好だった。
「お民ちゃん、花梨の部屋に入るぜ、あいつは了解済みだ。……俺が良いと言うまでドアを開けるなよ」
 母親が付けた盗聴器は外してある。
「大丈夫かい?」
「わかんねぇ」
 
「さあ、1対1で話を付けに来た!」
「――」
「あんた、一体誰なんだ!言いたい事があるんなら、はっきりわかるように言え!」
 部屋がガタガタいいだした。
「ガルルルルルゥーッ!」
 なんだ!?
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 珍しく主婦っぽいことを書いてみましょう。
 「丹波しめじ」という商品名で売られている「ハタケシメジ」を食べたことがありますか。
 野生のハタケシメジは、素人の私たちには同定が難しく自分で採って食べたことがありません。図鑑にはこうあります。「株立ちのハタケシメジの幼菌は、初心者がホンシメジやシャカシメジと見間違えるほど似ており、風味も決して引けを取らない」
 香り松茸味占地の占地はホンシメジのことですが、なかなか食べられないから、皆さんもスーパーで見かけたら、風味も決して引けを取らない、ハタケシメジを試してみて下さい。
 今日はハタケシメジで炊き込みご飯です。
 丹波しめじで炊き込みご飯っていう方が美味しそうかな。 

 今日の写真は「コスミレ」(2006.03.21埼玉県で撮影)
 小菫と書きますが、それほど小さくありません。生える場所によって変異が多く、同定に頭を悩ますスミレです。公園などの平地で華やかに咲いていることが多いスミレです。

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2006/03/30

ご想像に

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 お姫様のご機嫌を治すのは、あまり急に事を運ばない方がいいだろう。
 明日は〔月の光〕に連れて行く約束をしてアパートに戻った。
 ジルは、早速天ぷらを揚げている。
「……さあ、出来ました♪民さんに‘さくらしお’という岩塩を分けていただきました。それを付けて召し上がってください」
「美味い!」
 それに淡い緑の美しいこと。この季節、フキノトウの天ぷらを食べる機会は時々あるけれど、ジルの揚げた天ぷらは見た目も食感も最高だ。

「ジル、どう思う」
 晩飯を終えて、珍しく酒など飲みながら聞いてみる。ジルの好きな赤ワインだ。
「どちらを答えればいいのですか」
「?」
「花梨のこと、私のこと」
「お前のこと?」
「花梨は健康な女の子です。念動を使うようには思えません」
「そういうヤツに会ったことがあるのか?」
「はい」
「ジル――」
 ジルのこととは、さっき花梨に言われた事か。家賃を折半して男2人で住むのは不自然なことではないと思っていたが。
 顎をつかんで顔を見る。綺麗な顔、青い瞳……これはほんの冗談だ。もし機嫌を損ねたら虫のように捻り潰されるだろう……これは冗談ではない。
「キスしてくれるのですか」
「いや、冗談だ。……お前にその先はあるのか?」
「稲作、あなたがそれを望んでいるとは感じられませんが」
「当たり前だ」
 智紘にそっくりなジルに、そんな気持ちを持てるはずがない。
「……私もこれまでに恋愛感情を持たれたこともありました」
「その時はどうしたんだ?」
「ご想像にお任せします」
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 昨日はブログ(ココログ)のメンテナンスでUPが出来ませんでした。
 どうも最近調子が悪いようですね。4月3日にもメンテナンスをするそうなので、不具合が起きるかも知れません。 
 それでは、一昨日の続きです。
 後半は群馬に戻ってカタクリの自生地へ。こちらではちょうど見頃になっていました。曇り空で、アズマイチゲは半開き、アマナは閉じてしまっていました。
 最後に、レンジャクが現れるという市内の公園に。2羽ですが見ることが出来ました。それも、ヤドリギの実を食べた後の落とし物もバッチリと。お尻から、ぶらーんと下がっていて、なかなか落ちないのです。それを下げたまま飛んで近くの木にくっつけ、ヤドリギが増えるのですね。 

 今日の写真は「ハシリドコロ」(2006.03.26埼玉県で撮影)
 走野老と書きます。根がヤマイモ科のオニドコロに似ていますが、ハシリドコロの根は猛毒。食べると幻覚症状を起こし、苦しんで走り回るところから名前が付けられたそうです。
 写真は茎が伸びきらないうちに花が咲いています。葉牡丹のように可愛いので撮してみました。

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2006/03/28

名コンビ

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 摘んだ野草を持って館に戻った。
「こいつは妖しい者じゃねぇ。家の事務所のジルだ」
 ‘私はあなたの部下ではありません’なんて言い出すかと思ったらジルは何も言わなかった。ほんとは妖しすぎるのに、妖しい者じゃないと言ってやったのが嬉しかったのか。
「悪かったですね、私だって空気くらいは読めるのです」
「日本語上手なのね」
「はい」
 お民ちゃんも他の女たちと同じく、ポーッとしてジルを見ている。
「お湯、沸かしといてくれたか?」
 さっき携帯で頼んでおいたのだ。
「上新粉も黄粉もあるわよ。……珍しいわねぇ、こんなの茹でるの久しぶりよ」
「珍しかねぇ、毎年生えてるぜ。みんなが食わねぇから幾らでも採れる」
「そうね、私たちが食べなくなっただけだわね」
 お民ちゃんはヨモギ、ヤブカンゾウの新芽、フキノトウを分けて洗いながら言った。
「民さん、食べたことあるの?」
「あらまぁ、お嬢さん」
 お民ちゃんは、花梨が口を利いたことに驚いている。余程嬉しかったのだろう、目が潤んでいる。花梨もお民ちゃんにだけでも心を開いていれば、こんな事にはならなかっただろう。
「今までは、ちょっとヘソ曲げてただけだもんな」

 ヤブカンゾウは軽く茹で、ヨモギは上新粉でよもぎ団子黄粉付きを作ってもらった。
 花梨は、マヨネーズをかけたヤブカンゾウを恐る恐る口に入れる。
 どうだ?と、稲作。
「美味しい!あんな草なのに」
「お団子も美味しいですね」
 ジルは、手作りの日本食が好きなのだ。
「腕がいいからね」
 お民ちゃんは嬉しそうだ。
 母親も呼んでやりたい所だが、今日は遠慮してもらおう。
「こういう物を食っていると、俺みたいに丈夫でいられるんだぜ」
「風邪もひかなそうだものねぇ」
 と、お民ちゃん。
「いいえ、この前、稲作は、風邪より強力なインフルエンザに罹りました」
「余計なこと言うんじゃねぇ」
「ふふっ、何だか二人って売れない漫才コンビみたいね」
 花梨が笑った。
「フキノトウは晩ご飯に天ぷらにしてあげましょう」
 お民ちゃんが言う。
「いいなぁ、子供にフキノトウの美味さが解るかな」
 花梨は‘子供じゃないもん’という顔をして睨む。
「稲作には私が作ってあげます。お民さん、後で調理法を教えて下さい」
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 一昨日は、埼玉県の「あしがくぼ山の花道」を歩いてきました。散策にはちょうど良い広さでしたが、先週の小川町より標高が高いため、たくさんのカタクリは1輪も咲いた姿を見ることが出来ませんでした。もう少し、だったので今日当たり開き始めているかも知れません。他には、終わりかけのセツブンソウ、少しのアズマイチゲを見られました。
 野草は寂しかったのですが、見上げると木の花は花盛り。ダンコウバイ、アブラチャン、キブシ、フサザクラ、ツノハジバミの花が咲いていました。
 後半は明日。

 今日の写真は「アズマイチゲ」(2006.03.26群馬県で撮影)
 東一華と書きます。カタクリより少し花期が早めでしょうか。カタクリの群生地で出会った1輪です。日が差していないと花が開かないので、恥ずかしそうに少しうつむき加減で写っていますね。本当は上を向いてパッと開きます。

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2006/03/27

プラトニックな関係

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「二人は友達なの?」
 初めて花梨の声を聞いた。年相応の可愛らしい声だ。
「やっと、しゃべったな。……そうだぜ、一緒に住んでるんだ」
「同性愛なんだ」
「おいっ、どこでそんな言葉覚えてくるんだっ。違うに決まってるだろ!」
「私を幾つだと思ってるの?中2よ。……慌てるところが妖しいね」
 会話が出来たのは嬉しいけれど、何ていうことを言うんだ。
「私たちはプラトニックな関係なのです」
「ジル、誤解を招くようなことを言うんじゃねぇ」
「わかりやすいなぁ。ジルさんは稲作のこういうところが好きなのね」
「そうです。あなたもですか」
 なんで俺は呼び捨てなんだ。
「私は別に好きじゃない」
 勝手に言ってろ。でも、これって凄い進歩なのだろう。
 ジルのおかげか。
「いいか、野草は根こそぎ摘んじゃだめなんだぞ。毎年食べさせてもらうためにはまばらに摘んで、草木に負担を掛けないようにしなければダメなんだ」
 登山道脇のタラノキなどは全ての芽を摘まれてしまっていることが多い。彼らの「どうやって生きればいいのだ!」という叫び声が聞こえてきそうだ。
「エーッ、これ食べるの?」
「そうだぜ」
「美味しいのですよ」
「お民ちゃんに頼んで茹でてもらおう。上新粉とかあるかな」
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 緑が見たいと誰もが車走らせ、行くから、緑が消えそう
 この詩にメロディーをつけて歌える人は古くからの「オフコース」ファンでしょうか。
 「憂き世に」という題の鈴木さんがメインボーカルの歌です。
 自然観察に自動車で向かうたびにこのフレーズを思い浮かべてしまう、30年も前の歌。空気を汚してまで出掛けていって見せていただくのだから、他のことで自然を傷つけないようにと心がけようと思うのです。

 今日の写真は「シュンラン」(2006.03.26群馬県で撮影)
 春蘭です。カタクリの自生地でひっそりと咲いていました。園芸品として売っていますが、やはり本来の環境で咲く姿は美しいですね。
 人が通らない時を見計らってカメラを向けました。こんなに地味なシュンランでさえ、盗掘の対象になってしまうからです。

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2006/03/25

イナバウアーカモ?

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「今日は天気がいいから外に出よう」
 花梨は首を激しく横に振った。一緒に本棚の本もカタカタいい出す。
「いつまでもここに閉じ籠もっててもしょうがねぇだんべ。勇気を出せ、ちょっと外に出てみるだけだから」
 今日も花梨はトレーナーとパンツ姿。このまま外に連れ出しても問題ないだろう。
 稲作は、彼女を脇に抱えて部屋を飛び出した。閉まったドアに本がぶつかる音がする。
 ルームシューズのまま館を飛び出す。
 庭を抜け、林に出た所で走るのを止めた。脇に抱えられたままの花梨は足をバタバタさせていた。姫をさらった誘拐犯みたいだ。
「乱暴して悪かった。お前を外に出してやりたかったんだ」
 風で木々は揺れているが、何かが飛んでくる様子はない。
「寒いかな?」
 革ジャンを脱いで着せ掛ける。いつも着ている物だから男臭いか。風邪をひくよりマシだろう。……ジルだったら消臭スプレーをかけるだろう。
「もちろんです」
 突然現れたジルに、稲作は飛び上がった。
「初めまして、ジルベールと申します。ジルと呼んで下さい」
 飛び上がっている間に、花梨に握手を求めている。
 彼女の反応は、他の女たちと同じだ。ポーッとしてジルを見詰めている。
「何しに来た」
「お勉強のお手伝いに。私の方が役立ちます」
 暇だから、見物に来たくせに。
「今日は課外授業なんだ」
「課外?今まで勉強を教えていたのですか」
「初めての勉強だ。ちょうど良い、おまえも手伝え。それを摘め」
「おお、これは」
 ジルの瞳が嬉しそうに輝いた。去年の今頃彼にも手伝わせたことがある。
 屋敷を訪れる道すがら気になっていたのだ。日当たりの良い林の斜面に上手そうな春の恵みが生えている。
「花梨、お前も摘め」
 柔らかいヨモギ、ヤブカンゾウの新芽、所々にフキノトウが顔を覗かせている。
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 夜王を見ていました。北村一輝さんの聖也を見るためと、もう一つ小さな訳がありました。
 始まった頃は‘あり得な~い’と思いましたが、見ているうちに違和感を感じなくなり、最終回の昨日、聖也のいなくなったロミオはやっていけるのだろうかと思わせる存在感を残してくれました。不思議な人ですねぇ。男優さんも女優さんも不思議系な人に惹かれるのです。
 もう一つの小さな訳とは、数年前、稲作にホストをさせたことがあるからです。当時の知識は、夕方のニュースの一枠で、ホストが店を持つまでの短いドキュメンタリーを放映したのを見ただけでした。その時、トイレや洗面所の掃除のことや接客態度にとてもしっかりした印象を持ったのです。で、ドラマも見てみたかったと言う訳です。
 稲作のホスト姿は、短編「Indian summer」をご覧下さい。


 ニュースを見ていたら、荒川でイナバウアーというタイトルが。
 埼玉県を流れる荒川のハクチョウの飛来地で、一緒にエサをもらっているたくさんのカモの中にイナバウアーをするカモがいるというのです。
 見ていたら、ここで紹介したことがある「ホオジロガモ」の求愛行動のことでした。
 その時の日記はこんな内容でした。
『ホオジロガモのディスプレー(求愛行動)を見る事が出来ました。これが可愛いのです。ホオジロガモの雄は身体が白く、頭は黒で三角のおむすびのような形をしていて、くちばしの付け根の頬の部分の真っ白な丸い模様が特徴的なカモです。その三角おむすび頭の雄が、雌をとり囲んで頭を背中にぶつけるほど、カクン、と後ろに反らせて上を向きます。
 それぞれが、
「どうか僕を選んで下さい」カクン
「いえいえ私を」カクン
 というダンスをみんなで踊るのです。
 その中からカップルが誕生するのですが、雌の選考基準はどういうものなんでしょうね。』
 これが、イナバウアーねぇ。
 私的には、厳寒、一面の銀世界で翼を広げ、喉を反らして白い息を吐きながらディスプレーをする美しいタンチョウヅルが、荒川さんのイナバウアーのイメージかなぁ。

(*イナバウアーは、一方のヒザは曲げ、もう一方の足は後ろに引いて伸ばした姿勢で、両足のつま先を外側に大きく開いて横に滑る技。背中を反らすポーズのことではないそうです)

 今日の写真は「カテンソウ」(2006.03.21埼玉県で撮影)
 花点草と書きます。小さな花なので、咲いていることに気付かないかも知れません。でも、よく見ると星のように開いた雄花は可愛らしい形をしていますね。

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2006/03/24

誰が

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「まいったなぁ」
 稲作は、総合病院の個室にいる。
 妖しすぎる稲作がすんなりと通してもらえたのは、園田家の家政婦‘お民ちゃん’が来ていたからだ。
「その御菓子食べていいよ、そのどらやきが美味しいよ。今お茶を入れるからね」
 お民ちゃんは、午前中はここにいて、午後は園田家に戻るのだという。
「誰も来ないし、話も出来ないから暇でねぇ」
 話し相手がやって来た彼女は、嬉しそうにもてなしてくれる。
 静に眠る花梨の兄を見ながら言ってみる。
「お前がしっかりしなきゃダメじゃないか。誰が花梨を護るんだ」
「ほんとにねぇ」
 検査の結果は異常がない。怪我は治っているのに目を覚まさないのだ。
「花梨は見舞いに来たことがあるのか?」
「一度だけ。その後あんな事になっちゃったから本人も怖がって部屋から出てこないのよ」
 確かに、病院であんな騒ぎを起こしたら大変だ。 
「お民ちゃんは物が飛ぶ所、見たことあるのか?」
「あるわよ。あんな恐い目にあったのは初めてだった。本や筆箱や何かが奥様目掛けて飛んでいて、必死で部屋から連れ出したんだから。後で片付けに行くのが恐かったけれど、私には飛んでこないのよ。不思議なことがあるもんだわ」
 お民ちゃんは自分で入れたお茶を美味しそうにズズズッとすすった。
「わかんなくなっちまったな」
「なにが?」
「物を飛ばす犯人。……花梨か、死んだ親父か、この兄貴か、あるいは家付きの霊か」
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 昨日の続きです。
 北本自然観察公園の次は八丁湖、小川町を訪れました。こちらでは春の花たちにずいぶん会えました。久しぶりに列挙してみましょう。
【出会えた花たち】
タチツボスミレ・マルバスミレ・ヒメスミレ・ノジスミレ・コスミレ・アオイスミレ・オオイヌノフグリ・ホトケノザ・ナズナ・ヒメオドリコソウ・セイヨウタンポポ・キュウリグサ・ハコベ・ヒメカンスゲ?・ヒサカキ・カタクリ・キバナノアマナ・アズマイチゲ・ニリンソウ・マルバコンロンソウ・セントウソウ・カテンソウ・ヤマネコノメソウ・ヤマエンゴサク

 今日の写真は「キバナノアマナ」(2006.03.21埼玉県で撮影)
 黄花の甘菜と書きます。日当たりの良い草地や林のふちなどに生える多年草。
 カタクリが保護されている里山の斜面にひっそりと咲いていました。カタクリ、ニリンソウは有名で観光客を呼べますが、同じ場所に誰からも見られることもなく咲いている春の花もたくさんあるのです。花たちの名前は上記で。

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2006/03/23

信用

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「わざわざ出て来てもらって悪かった」
 〔月の光〕の奥の席で稲作が対面しているのは花梨の母親。お互い黒服、葬式帰りに喫茶店に寄ったみたいだ。
「――」
「どうやら俺たちは嫌われているようだからな。……最後の確認だ。あんた、花梨や親戚連中が疑っているようなことはしてねぇよな」
「当たり前です!」
「俺は、あんたと、あんたに俺を引き合わせた昌子の親父を信じる」
 目の前の彼女のことは、この短い付き合いでは判断出来ない。だが、昌子の父親、赤木勇作は信用出来る人間だ。その勇作が信用して、力を貸してやって欲しいというのだ。だから彼女を信じる所から始めることにした。
「こんな事になるのなら、あの時私が運転していけばよかったのです。頭痛なんていつものことだったのに」
 あの3か月前の交通事故は、彼女に疑いなしと警察も判断したのだ。
 3か月前、いつものように家族揃って食事に出掛けるはずだった。たまたま彼女は体調を崩し、家に残っていて事故を間逃れたのだ。運転していた旦那は即死、助手席にいた長男は重傷を負って今も入院中。軽傷で済んだ花梨はあの通りだ。
「私はお金なんていらないのです。あの人はいなくなってしまったけれど、あの子たちが好きなのです」
「だったらなぜ、花梨の部屋に盗聴器なんか仕掛けた?」
「あの娘の気持ちが知りたかった……」
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 すみません。昨日UP出来なかったのは、どうしても先が浮かばなかったからです。
 素人のしていることとして、お許し下さい。


 一昨日、埼玉県北本市と小川町に行ってきました。私が住む群馬県前橋市の西部、と比べると春の訪れが早いようです。
 1月上旬に行った北本自然観察公園を再び訪ねました。
 ベニマシコ、紅猿子と書く赤い小鳥と見られそうで見られないクイナを見ることが出来ました。
 芦原を見渡せる遊歩道を歩いていると、湿地と歩道の間の笹の茂みの中からガサッ、ガサッ、と歩く生き物の気配。ネズミかコジュケイか?と思い、しばらくその場に留まりました。いくら待ってもガサッ、ガサッ、という音が聞こえるだけで正体が判りません。諦めかけた時現れたのは2羽の鳥、白い眉斑が目立つ帰化鳥、ガビチョウでした。

 今日の写真は「カタクリ」(2006.03.21埼玉県で撮影)
 時々話題にしているスプリング・エフェメラルの代表的な花。芽生えてから花が咲くまで、7~8年かかるそうです。カタクリが開花する季節になると他の花たちも一気に咲き始め、植物観察好きの私たちは大忙しになります。

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2006/03/21

騒霊?

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「こんにちは」
「いらっしゃいませ、ジルちゃん」
 ここは喫茶店〔月の光〕。
「絹さん、桜が咲き始めました。もうすぐお花見が出来ますね」
 ジルは、去年したお花見が気に入ったようだ。
「川津桜だね。今年は咲き出しが遅いね」
 梅の開花も遅かったし、川津桜は下手をすると染井吉野が咲き始めても咲き残っているかも知れない。

「ちわ~す」
「稲さん、どうしたの?」
「大したことはありません。邪なことを考えた結果です。あっ!」
 ジルの瞳が青く輝いた。自ら説明する前に言ってくれたが、ちゃんとした説明になっていない。
「ジル、俺、何か変じゃねえか?誰か後を付いて来てねえか?」
 稲作は、ついさっき体験してきたことをジルに話した。
 大きな地震が起こったと思った。
 まずは花梨の安全を考え、彼女の方を見た。
 揺れていない。
 こちらの異変に気付かずに音楽を聴いている。
 なのに、稲作と母親の所だけ激しく揺れているのだ。彼女は部屋に足を踏み入れない。
 部屋の小物全てが、誰かがOKを出せば彼女に向かって飛んでいく準備をしているように見えた。初めての体験ではなさそうだ。彼女は何も言わずに逃げ戻った。
 同時に揺れは収まり、稲作は尻餅を付いた。

「ポルターガイストでしょうか」
「なんだ、そりゃ?」
「騒がしい霊」
「やっぱり幽霊か」
「あるいは、花梨さんのサイコキネシス――念動のことです。あなたとお義母さんは嫌われているようです」
「あ?」
「頭の傷が開いています。病院に行きましょう♪」
 ジルが嬉しそうに言ったのは、言うまでもない。
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 今日は埼玉県に春の花に会いに行ってきました。
 遅くなってしまったので、報告は明日に。

 今日の写真は「カワヅザクラ」(2006.03.19群馬県で撮影)
 川津桜。図鑑には、カンヒザクラを片親とする品種。原木は野生の状態で発見されると、あります。赤が濃いカンヒザクラが片親とあってピンクが濃い華やかな桜ですね。
 平年だといつもの場所で3月10日には見頃を迎えているのに、今年は19日でやっと咲き始めた所でした。

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2006/03/20

悪戯

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「花梨、入るぜ」
 今日の花梨はトレーナーとパンツ姿。多少は稲作が来ることを予想(期待?)していたのか。
「乱暴なマネはしねぇから物は投げるなよ」
 先に釘を差したけれど、そのつもりはないようだ。
「お袋さんにお目通りがかなった。正式に雇われたから毎日来るぜ」
 花梨は、頭の包帯ばかり見ている。
「大袈裟だけど大したことはねぇんだ」
 おかげで今日は上手く意思伝達が出来そうだ。
 稲作は、部屋の中を隅々まで見回した。
 OKだ。監視カメラは無いようだ。
「何か書く物はないか?」
 花梨は、素直にノートとシャープペンシルを差し出してきた。
 稲作は、綺麗とは言えない文字で書き殴った。
‘カメラは無い 次はマイクを探す’
 読んだ花梨の表情が動いた。
 素人が盗聴器を隠すような場所はすぐにわかる。俺は黙ったまま花梨に場所を指し示した。ざっと見ただけで3カ所。よく探せば、あと幾つか見つかるだろう。
‘知っていたのか?’
 首を横に振る花梨。それでも、多少は疑っていたのだろう。だから口を利かないのだ。
「ここはバイト代がいいんだ。クビになるまで適当にやるから、そっちで音楽でも聴いててくれ」
 机に上にあった流行の小さなデジタルオーディオプレーヤーを持たせて、花梨をベッドに追いやって、言った。   
「音を大きくして聴いてろ」

 稲作は、花梨の勉強机に座って蛍光灯に向かって話し始めた。裏側にマイクが隠してある。
「こんな事をして、娘の行動を探っても信頼関係が崩れるだけだぜ。――そんな寂しい奥様の心の隙間をお埋めしましょう。○◆◎■◇▲□●△○◆◎■◇▲□●△……」
 後半は、寂しい奥様のために淫らな言葉を並べ立てた。俺の低音は彼女の心をくすぐるはずだ――。
 と、喋っている間に走るような足音が聞こえてきた。
 わかりやすい。
「あなた、一体何を!!」
 ドアを開け放った黒いドレスを着た母親が見たのは、机に向かう稲作とベッドにうつ伏せになって音楽を聴く娘。
 ガタガタガタガタ……。
 その途端、部屋の中にあるもの全てが揺れて音を立て始めた。
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 昨日はまたも懲りずにレンジャクに会いに行ってきました。
 強風は、赤城山の中腹で吹雪き状態になり、野鳥観察には最悪。他のウオッチャーは誰も居ませんでした。が、ここ数年では一番の数と距離で、じっくりと見ることが出来ました。
 100羽くらい見られたでしょうか。肥った姿が愛らしいヒレンジャクでした。

 今日の写真は「オオアラセイトウ」(2006.03.19群馬県で撮影)
 別名、ハナダイコン、ショカッサイと言います。ハナダイコンという呼び名が一番一般的でしょうか。ショカッサイは漢名で諸葛菜、三国志の諸葛孔明と同じ諸葛です。ここでの表記は図鑑に従ってオオアラセイトウにしました。アラセイトウは、ストックの古い呼び名だそうです。
 日当たりの良い所ではやっと咲き始めました。

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2006/03/17

対面

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「まあ」
 家政婦のオバちゃんは稲作を見て驚いた顔をした。
「何だ」
「もう見えないと思っていました」
「悪かったな。俺はしつこいんだ。今日は依頼人に会わせてもらうぜ」
「どうぞ、お入り下さい」

 長い廊下を歩く。
「頭は大丈夫?」
 昨日の後始末をしてくれたのは彼女だ。
「中身の保証は出来ねぇが、外は大丈夫だ」
「中身?」
「ノウミソ。ところでオバちゃん、名前はなんて言うんだ?」
「合田です」
「下の名は?」
「なんで?」
「いいじゃんか」
「民」
「お民ちゃんか。合田さんよりいいぜ、可愛くって」
「もう、そんな脳天気だから引き受けようって気になるのね。……奥様は神経質な方だから粗相の無いようにね」
 
 ギギギギッ。
 軋む扉を開けた先にいたのは、黒いドレスの女。喪服のようだ。
「あなたがあの子を元通りに?」
「出来るかどうかわかんねぇ――」
 レモンティーを持ってきたお民ちゃんが突いた。
「――判りませんが、しばらくお伺いしてよろしいでしょうか」
 稲作は、正式に仕事を受けることになった。 

 対面の後、お民ちゃんの個室に招かれた。彼女は住み込みの家政婦なのだ。
「なあ、何かあのお袋さん若いようだが」凄い美人だし。
 せんべいとほうじ茶をご馳走になりながら事情を探る。
「そうよ、後妻さんだから」
「親父さんは?」
「あんた、何も知らないの?」
「先入観ない方が良いかと思ったが、そういう話じゃなさそうだ」
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 驚きました。こんな事ってあるのですね。ワールドベースボールクラシックのお話です。
 完全に諦めていたのに、アメリカがメキシコに負けるなんて。世界の野球にあまり詳しくないものですから、アメリカはメキシコよりずっと強いのだと思っていました。
 18日が準決勝だそうですので、今度こそは韓国に勝ってもらいたいですね。

 今日の写真は「タネツケバナ」(2006.03.16群馬県で撮影)
 種漬花と書きます。種籾を水に漬ける頃に花が咲くからこの名前が付いたのだそうです。一見ナズナのようですが、全体に小さく葉の形も違います。
 塩もみにした若葉を頂いたことがあり、美味しかったことが思い出されます。

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2006/03/16

密室

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 やりすぎたか。
 花梨の目尻から涙がひとすじ流れた。
 この状況で声を上げないなんて、大した根性だ。
 稲作は彼女の手を放し、起き上がった。
 と、その次の瞬間、花梨の表情が変わった。
 これまで見たことがない恐怖に歪んだ顔。
 !?
 ガコーン!!
 目から火花が――。

 数分。いや、数秒の間のことだろう。
 稲作は床に寝ていた。
 最初に目に入ったのは花梨のひざ。彼女に揺すられて気が付いたのだ。
「痛ぇ、何なんだよ、これ」
 頭を探ると後頭部がぬるりとする。切れたか。
 起き上がると、床に血が滴る。
 椅子が、飛んでもない格好で床に転がっている。頭に当たったのはこれか。
「心配すんな、頭の怪我は大袈裟に血が流れるんだ。お前のせいじゃねぇから。……タオル、あるか?」
 芝居を忘れてタオルを取りに行く花梨。

「邪なことを考えるからです」
 またそれを言う。
「考えたんじゃねぇ、一芝居うってみたんだ」
「考えが浅いからそういうことになるのです」
 事務所に戻った稲作は、ソファ兼ベッドでうつぶせになっている。あの後、篠原医院に駆け込んで手当をしてもらったのだ。7針縫われた。
 ジルが、氷嚢を作って頭に乗せてくれた。
「すまん」
「もったいない。私も付いていけば良かった」
「あの場で血なんか飲んでみろ、花梨の心は本当にどっかに行っちまうぜ。……ちょっとだけ解った気がするぜ。あの部屋は密室だったんだ。俺が鍵を掛けたから」
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 今日の写真は「ノジスミレ」(2006.03.16群馬県で撮影)
 野路菫と書きます。スミレと比べると花も葉も美しさに欠け、野路という言葉が付くことが似合っているように思います。この写真は特に、寒さを絶えてやっと咲いた花ですか尚更貧弱です。身の回りで見付けた、今年最初のスミレです。
 スミレの季節になると、道路に這いつくばって匂いを嗅いだり、写真を撮ったり、妖しい行動をとってしまいます。

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2006/03/15

怯え

IMGP02461
「俺だ!広木だ!入るぜ、花梨(かりん)」
 昨日、本人から聞けなかった少女の名前は花梨。園田花梨という。
「――」
 昨日と同じ、パジャマ姿のボサボサ頭で振り返る。
「これ、来る途中で買ってきたんだ。好きかな?オバちゃんは大喜びしてくれたけど」
 新聞紙の包みから取りだしたのは石焼きいも。1本取りだして半分に割った。真っ黄色でホクホク、まだ熱々だ。
「ほら、甘いぞ」
 かじり付きながら半分差し出したが、花梨は手を出さない。
 ぼんやりとこちらを見ている。
 仕方ないから、包みに戻して机の上に置く。
「昨日は俺が恐かったんだろ?だから物投げたんだろ?自分で片付けたのか?違うだろ?片付けるオバちゃんの身になってみろ」
 花梨が時々こちらを見る目。俺を探っているのだ。彼女は正気だ。智紘が正気を失っていた時、こんな目で俺を見ることはなかった。
 稲作は、部屋の内鍵を掛けながら言った。
「おまえさぁ、その寝間着姿なんとかなんねぇのか?俺も一応男なんだぜ。ベッドもあるし」
 花梨は椅子から立ち上がると、後ろ手で投げられそうな物を探っている。
「おっと!」
 稲作は花梨に飛び掛かり、ベッドに押し倒した。暴れられないように両手を押さえつけ、彼女の脚に乗り上がった。スプリングが効いたベッドはふわふわと上下する。
 花梨は声を上げなかった。怯えは身体の震えで伝わってくる。
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 今日の写真は「コオニタビラコ」(2006.03.15群馬県で撮影)
 覚えていらっしゃるでしょうか。七草粥の時に、このコオニタビラコを育てたいために、毎年七草粥セットを買っていると書いたことを。
 咲きました。写真は春の七草「ホトケノザ」こと、コオニタビラコです。小鬼田平子と書きます。水田にロゼット状の根生葉を平たく広げる様子を表現したものだそうです。
 一見、タンポポのようですが、花の大きさは1㎝ほど。まるでミニチュアタンポポのようです。もう少したくさん咲いたら、また写真をUPします。

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2006/03/14

クッキーデー

IMGP02371
 3月14日、喫茶店〔月の光〕は クッキーデー。昨日のうちに焼いて置いた手作りクッキーをサービスするのが、ここ何年かの決まり事になっている。
「いらっしゃいませ、昌子さん」
 彼女の目当てはクッキーではなく、いつもの席で手を挙げている稲作。

「どうだった?」
「わかんねぇ。確かめてる暇がなかった」
「?」
「1分26秒、最短記録だと言われちまったからなぁ。もう一度、行かない訳にはいかねぇだろ」
「引き受けてくれるのか?」
「どっちにしても、あのままじゃ可哀想だ。あの娘に一番良いようにしてやりたい。……本当なら、友達とアイスでも舐めて笑い転げる年齢だ」
 家庭教師というのは、他に良い言い方が見つからなかったから。
 昌子からの依頼内容は、少女の精神状態を見極めて欲しいというものだった。
 あんたになら、あの娘が仮病なのかそうじゃないのか判るだろう。
 智紘と過ごしたあんただったら。

「ところで、夜は妙と焼き肉に行くんだが、おねえもどうだ?」
 妙は、去年のホワイトデーに連れて行った焼き肉と夜景が楽しかったらしい。リクエストされ、今年も行くことにしたのだ。
「しょうがないねぇ、どこの世界に2人の女を一緒にデートに誘う男がいる?殺されるぜ」
「それほどの仲じゃねぇだろ俺たちは」
「妙ちゃんの気持ちをもてあそぶな」
「そんなつもりはねぇ」
「あの娘は、ジルにだってやきもち焼いてるだろう」
「そんなことは――」
「あたしには先約がある」
「お?和哉か?」
「1000円の義理チョコで、Rホテルの最上階で豪華ディナーだ」
「殺されるのはおねえの方だぜ」
「あいつはそんなケチな男じゃないし、あたしはそんなに安くない」
「そうか。じゃ、俺は、いつものこれだ」
「なんだ、買ってあるんじゃないか」
 稲作は、お菓子の箱を手渡した。F堂のゴーフル。
 昌子は嬉しそうに受け取った。
 あれはいつのことだったか。稲作のアパートに智紘、昌子、昌子の取り巻きの不良少女連中が集まり、智紘が持ってきたもらい物のゴーフルをみんなで食べたのだ。はしゃいで食べる昌子たちがみょうに女の子らしく見えたっけ。
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 今日も寒かったですね。朝は氷点下でした。まだ、寒さに弱い植物は外に出せません。河川敷の川津桜もまだ開いていませんでした。

 今日の写真は「ハルジオン」(2006.03.13群馬県で撮影)
 春紫苑と書きます。他の場所ではつぼみも見えないのに、日当たりが良い田んぼの畦で咲いていました。まだ高さが低くて寒そうでした。
 ハルジオンとヒメジョオンの簡単な見分け方。
 茎を切って、中空だったらハルジオン、詰まっていたらヒメジョオンなのですって。

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2006/03/13

相性

IMGP02281
 稲作は、林を抜け、暖かくなったら美しい花々が咲き乱れるだろう西洋庭園風に手入れされた庭を通り抜けると、洋館の前に出た。 
 俺と古い洋館は相性が悪い。
 最初の洋館は、亡霊が潜む廃墟だった。その館は足を踏み入れてすぐ、俺が最後のとどめを刺したかのように崩壊してしまったのだ。
 2番目の洋館は、悪霊が憑いた麗華の実家。事が済んだ後、取り壊しの憂き目にあった。
 この館はどうだろう。
 今までの建物の中で一番大きい。年月もかなり経っているようだ。
 だから解るのだろう。
 拒否している。
 建物が俺を嫌がっている。
 知るか。
 館の扉の前に立つと、ノッカーを二度鳴らした。

「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
 出迎えてくれたのは、‘萌え~’のメイドではなく、‘家政婦は見た!’ふうの血色がよい小太りのオバちゃんだった。白い割烹着がよく似合っている。彼女は上から下まで俺を睨め付けた。
 一応、一番小綺麗で洗い立てのTシャツとジーンズを着てきたが、いつも通りの黒ずくめ。伸ばしっぱなしの長髪も輪ゴムで束ね、むさ苦しく見えないようにしたつもりだ。だが、でかすぎる身長と、痩せ過ぎと、人相の悪さはどうすることも出来ない。
「広木と申します。話は通っていると思いますが」
「あなたが赤木勇作様ご紹介の広木様」
 この話の大本は昌子の父親、勇作だったとは。
「ああ」
 オバちゃんはじろりと睨んだ。
「お嬢様にはお上品に接して下さいませね」

 主に会わされることなく、直接お嬢様の部屋の前に通された。
「いいのか?」
「今日はお嬢様にご挨拶して頂くだけですから。務まるようでしたら、改めて奥様にご挨拶をして頂きます。……どうぞ」

 心の準備をする暇もなく、娘の部屋に押し込まれた。
 え?
 勉強机に向かって座っていた少女が振り返った。
 パジャマ姿で髪はボサボサの小さな女の子だ。
「初めまして、俺は広木稲作だ。あんたの名前――」
 言い終わる前に、彼女は机の上に置いてあった広辞苑を投げつけてきた。力持ちだ。高そうな辞典、思わず受け取ったら、次から次へと机の上の物を投げつけ、今度は本棚から百科事典を取り出して投げ始めた。
 たまらずに一時退却。
 ドアの外に出ると、腕時計を見ていた家政婦が言った。
「あなたが最短記録です。1分26秒」
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 昨日は、長野県にハマヒバリに会いに行きました。ハマヒバリは、顔に黄色と黒の模様がある、日本にはあまり飛来して来ないヒバリの仲間です。
 広い農耕地にたったの1羽。強い風雨がみぞれに変わるような寒い中、見ることが出来ました。ダメで元々という気持ちで行ったのですが、幸運にも会うことが出来ました。
 この鳥も、オガワコマドリと同様話題になっていますので、姿に興味がある方は、検索してみて下さい。出没場所が都会ではなく、天候が悪いため、見に来ている人はあまりいませんでした。それでも車4,5台はいました。

 今日の写真は「ベビーキウイ」(2006.03.11群馬県で撮影)
 話に聞いて、いつか食べてみたいと思っていました。田舎ではなかなか店頭に並ばないのです。なぜ食べてみたかったのかというと、山になるサルナシとそっくりなので、味の違いを確かめてみたかったのです。
 歯触りも味もそっくりでした。
 今日の写真のベビーキウイはチリ産です。
 去年の9月に載せた「サルナシ」と見比べてみて下さい。

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2006/03/11

家庭教師

IMGP02291
「大丈夫なのですか」
 と、ジル。
「何が?」
 稲作は、大盛りのライスと生卵2個を注文し、卵かけご飯を掻き込んでいる。
「カレーライスと、そんなのばかりじゃ栄養が偏っちゃうよ」
 稲作は、注文以外のものを出すとちゃんとした理由がない限り機嫌を悪くする。
「いつもじゃねぇだろ。今日は金がねぇんだ」
「私に言ってくれれば食べさせてあげるのに」
「他人に恵んでもらうほど落ちぶれちゃいねぇぜ。だから仕事を引き受けてきたんだ」
「他人だなんて、一緒に住んでいるのに」
 ジルにも同じ態度をとっているようだ。

「あなたに子供の勉強を教えられるとは思えません」
「悪かったな」
 ああ見えて県内ではトップクラスの高校を卒業している稲作だが、ジルの言う通り、家庭教師に向いているとは思えない。家庭教師なら、現役大学生に頼んだ方がいいだろう。
 やはり何か訳ありなのだろうか。
「心配だね」
「私も付いていきましょうか」
「何だよ!二人して。保護者が付いてくる家庭教師なんて聞いたことねぇぞ」

 翌朝。
 稲作が訪ねた先は林に囲まれた古い洋館。
「こんなデカイお屋敷のわがまま娘か……」
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☆お知らせ―明日 喫茶店〔月の光〕はお休みさせていただきます☆


 5度目の正直なるか?と、今日はまたヤドリギがたくさんあるレンジャク・ポイントに出掛けてきました。
 なりました。
 遠くですが止まる姿を見ることが出来、9羽が飛び回る所を見られました。尾の先が赤いヒレンジャクでした。

 今日の写真は「ミスミソウ」(2006.03.11群馬県で撮影)
 写真は我が家の三角草です。まだ、自生の物を見たことがありません。いつか見に行きたいと思っています。三角草の由来は葉の形です。
 白、ピンク、青紫など色の変化が多く、園芸店では「雪割草」という名前で売られています。

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2006/03/10

依頼

IMGP02171
【はじめに】
 9日10時から15時までだったココログのメンテナンスが21時までに延び、その後も全く繋がらず、10日になってもログイン画面は下のようになったままでした。
『メンテナンス中です。
現在、メンテナンスを行っております。
ココログをご利用のみなさまには大変ご迷惑をおかけしまして
誠に申し訳ございません。
もうしばらくお待ち下さい。』
 それで更新が今頃になってしまいました。
 コメントも出来なかったようです。
 ここのところ無かった迷惑トラックバックも6件も来ていましたが、メンテナンス中で消すことが出来ませんでした。
 不快な思いをされた方には申し訳ありませんでした。

 それでは、続きをどうぞ。

 昌子さんは目で合図する。
「ちょっと出掛けてくる」
 言い残して、二人は出ていった。
 黙って二人を見送るジル。仲間はずれの彼が可哀想になる。
「ジルちゃん、ハイビスカスティー飲む?」
「はい、頂きます」
 ジルは、いつもの席に戻らず、二人を見送ったままカウンター席に座った。
「すぐ帰ってくるよ」
「そんな心配はしていません」
 稲作に恋愛感情は持っていないのだろうか、やきもちを焼いている訳ではなさそうだ。
 また、ネズミにでも後を付けさせているのだろう。

「格好を付けて無理なことを引き受けなければいいのですが」
 ジルは、ティーカップを両手の平で包んで、赤いお茶をうっとり眺めながら言った。
 稲作の弱点を見抜いているのだ。頼まれたことは断れないだろう。男気があるといえば格好良いが、稲作はいつも無茶をする。

「腹減った、メシ、メシ」
 紅茶が冷めないうちに稲作は戻って来た。
「稲作」
 ジルは心の奥まで探るように、稲作の目を見詰める。――僕だったら失神しそうだ。
 真っ直ぐに見返した稲作は言った。
「家庭教師を頼まれた。中学2年の女の子だ。……早熟ギャルだと良いなぁ」
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 昨日の夕方、TVを見ていたら「ミドリガメに注意」というニュースが流れていました。ミドリガメはサルモネラ菌を持っているそうで、触ったら手を綺麗に洗いましょうということでした。
 どんな動物でも菌を持っているそうですから、過剰なスキンシップは避けて、触れ合ったら手洗いをきちんとした方がいいですね。
 「このニュースを見て池に逃がしたりしないで」とも言っていましたが、すでに池は逃がされたミドリガメだらけですよね。先日、石神井公園の池で甲羅干ししているカメをたくさん見ましたが、見たカメは全てミドリガメが大きく成長した、本名・ミシシッピーアカミミガメでした。見分けは、名前の通り耳の部分に赤い模様があることですから、池でカメを見かけたら観察してみてください。

 今日の写真は「ヒメオドリコソウ」(2006.03.08群馬県で撮影)
 姫踊り子草です。春、日当たりの良い野原で、オオイヌノフグリと一緒にお花畑を作っているのを見たことがありませんか。
 この花も、ヨーロッパ原産の帰化植物です。
 写真は、やっと見付けた1輪なので、まだ寂しい感じですね。

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2006/03/08

あなた次第

inu1
「……あんた、この先どうするつもりだい?」
「それは、あなた次第」
「どういうことだ」
「お解りのはずです」
「――」
 もしも、昌子さんと稲作が一緒に暮らすようなことになれば、ジルは稲作の元を出て行かざるをえないだろう。

「ちわ~す」
「稲作!」
 いつものように、嬉しそうに出迎えるジル。
 稲作は、昌子を見付けて言った。
「どした?」
「仕事がある。受けるか受けないかは、あんたに決めてもらおうと思ってね」
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 今日は、川津桜の様子を見に、敷島公園に行って来ました。
 やはり去年より開花が遅いようです。ほとんどつぼみで、高い所にたった1輪開いているのを見つけました。来週の今頃は見頃を迎えているでしょう。

 今日の写真は「イヌノフグリ」(2006.03.04栃木県で撮影)
 今年もイヌノフグリに会えました。外来種のオオイヌノフグリ、タチイヌノフグリに居場所を追われて、なかなか見付けることが出来ません。
 花の色はピンク色、大きさはタチイヌノフグリの花くらいで、気を付けて見なければ咲いていることに気付かないかも知れません。

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2006/03/07

対決?

IMGP01561
「いらっしゃいませ、昌子さん!」
 ずっと来てもらえなかった赤木昌子さんが、時々来てくれるようになった。
 美少女だった彼女は、憂えを帯びた美しい人になった。
「こんにちは」
 カウンター席に座った昌子に気付いたジルが、いつもの席からやって来た。
「あんた――」
「稲作は、もうすぐ帰って来ます」
「しばらく待つさ」
「伝言しましょうか?」
「直接話したい。仕事の話だ」
「そうですか」
「待ちな」
 戻ろうとするジルを呼び止める昌子さん。
「何か」
「あんたと話してみたかったんだ。いいかい?」
「私は構いません」
「昌子さん、何にしますか?」
 僕は、思いきって割り込んだ。
 ピリピリした空気が張りつめていたから。二人は稲作を巡ってライバル関係にある(?)。
「そうだね、マンデリンを」
「智紘が好きだったコーヒーですね」
「ああ。……あんた、この先どうするつもりだい?」
 昌子を見詰めるジルの青い瞳が、輝きを増したように見えた。
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 いよいよ、花粉症の症状が出始めました。薬に頼らなければならないほど酷い症状ではありません。今年は始まりが遅いのですが、終わりも遅いのでしょうか。

 今日の写真は「セツブンソウ」(2006.03.04栃木県で撮影)
 今日もまた、セツブンソウです。
 よく見ていると、時々見つかる八重咲きの他に、ほのかに色が付いている花があります。うっすらと黄色に見えるのがわかりますか。

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2006/03/06

やさしいきもち

IMGP01421
「いらっしゃいませ、ジルちゃん」
「どうしましたか」
「?」
「元気がないように見えます」
 昨日の出来事を、どのようにブログに書こうか、無い知恵を絞っていたのだ。
 僕は、彼に詳細を話した。
「絹さん、彼は籠の鳥ではありません。嫌気が差したら羽根を使ってどこかへ飛び立ってしまうでしょう」
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 読売新聞までもが居場所を明らかにしたオガワコマドリの人気は凄く、一目見ただけでどこに現れるのかわかるほど、人集りが出来ていました。
 昨日も200人くらい居たでしょうか。大きなレンズを1カ所に集中させた集団は、普通に散歩に訪れている人たちにとって異様に映ることでしょう。最前列の人などは普通の観察だったら考えられないくらい、現れる場所と接近しています。

 1時間に1回くらい出て来ると聞き、コンビニで買ったお昼を食べながらじっくり待とうと思っているうちに現れてくれて、拍子抜けするほど簡単に見ることが出来ました。

 現地で待ち合わせした友人と合流し、本当に1時間ほどで2度目の出現です。
 大きさはスズメとほとんど同じで、全体の色はオリーブ褐色。眉斑という眉毛のような模様はクッキリと白く、飛ぶたびに尾の付け根のオレンジ色が見えます。脚はスズメより細くて長くスラリとして見えました。羽根は下に下げるツグミの仲間独特の格好。襟の模様で若い雄だとわかります。彼が前を向いて、青とオレンジの襟飾りを見せると、いっせいのシャッター音。そんなことは全く気にせず、2,3分間餌を食べると芦原の中に消えていきました。

 余韻に浸っている間に、今までオガワコマドリが居た場所に3人の男性が乱入してきました。葦の枯れ草の積もった地面を踏みつぶし、枯れ草をかぶせて、また踏みつぶしています。3人の仲間と思われる人が一番前にいた人に何か話しています。
 ???
 一同唖然。――というのがその時の雰囲気でした。小鳥が怯えなかったかどうかが、その時の一番の心配でした。
 場所が遠かったために会話の内容は全く解りません。
 一番良い場所にいた人(たち?)が、エサをまき、写真を撮りやすい舞台を作っていたのではないか。そうだとしたら、そのおかげで私たちは見ることが出来たのです。
 後から来た人たちが、自分たちの場所からでは良いアングルの写真が撮れないことに腹を立てたのではないか。
 と、いうのがその時、周りにいた人たちの憶測です。
 憶測通りだとしたら、なんて悲しい自分勝手な行為でしょう。50,60代のいい歳をした男性だったのです。憶測が間違いであることを祈りたいです。
 自分自身を含む異様な集団のために、バードウォッチャー以外の人たちがせっかく見に来たのに、見られなかったのではないかということも気になりました。
 何だか複雑な気持ちになった都会のバードウォッチングでした。

以下、日本野鳥の会で提唱しているフィールドマナー「やさしいきもち」です。

や…野外活動、無理なく楽しく
さ…採集は控えて、自然はそのままに
し…静かに、そーっと
い…一本道、道からはずれないで
き…気をつけよう、写真、給餌、人への迷惑
も…持って帰ろう、思い出とゴミ
ち…近づかないで、野鳥の巣

詳しくは、会HPの「バードウォッチングの楽しみ方」をご覧になってみて下さい。
 上記は、自分は会員じゃないから、とか、会への賛否とは関係なく最低限のマナーだと思います。
 これは、もう一つの趣味である植物観察にも当てはまるところがあります。
 植物観察の場合は採取はNGです。
 バードウォッチングの採取も、落ちていた綺麗な羽根程度のことだと思います。カケスの羽根などは子供達の宝物になるほど綺麗ですから。

 今日の写真は「セツブンソウ」(2006.03.04栃木県で撮影)
 前回に続き、セツブンソウです。
 写真がちょっと華やかな感じがしませんか。よく見ていると、時々このような八重咲きがあることがあります。

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2006/03/04

始動!

IMGP01601
「いらっしゃいませ、○○さん」
「すみません、今日は時々使う手を使っています」
「毎年恒例、栃木県の石灰岩地に春の妖精に逢いに行ってきました」
「今日の写真が、その妖精、節分草です」

「なに独り言いってんだ?」
 背後から突然、稲作の声。
「うわっ!脅かさないでよ、いつから居たんだ」
「さっきから」
「独り言じゃない。〔月の光〕に来てくれるお客様は、君たちだけじゃないんだから」
「そうなのか?」
「そうだよ、みんなシャイだから、お喋りしていかないけれど」
「悪かったな、お喋りで。――今日は何飲んでんだ?」
「バーボン。君も飲む?」
「付き合うよ」
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 今日の写真は「セツブンソウ」(2006.03.04栃木県で撮影)
 石灰岩地の樹林内に群生します。
 前に紹介したスプリング・エフェメラル=早春季植物の1つです。

 *スプリング・エフェメラル=落葉樹林の林床に樹木がまだ十分に葉を広げない早春季に芽を出し開花・結実する植物。

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2006/03/03

お内裏様

IMGP01091
「いらっしゃいませ、ジルちゃん。今日は稲さん遅くなるって言っていなかった?」
「はい。聞いています」
 それでも、誰かを待っている様子だ。
「こんにちは、絹さん」
「いらっしゃいませ、お梅さん」
 ジルの顔がパッと輝く。彼が待っていたのはお梅さん?
「ジルちゃん居たね。ちょうど良かった。……絹さん、これはあんたと沼田さんと稲作の分だよ」
 彼女は、大きな風呂敷包みをカウンターに置いた。
 今日はひな祭り。
 店にも妙ちゃんのために、2月の後半に小さなお雛様を飾っている。
「さあ、ジルちゃん一緒においで。女の子だけも良いんだけど、ことしはジルちゃんがお内裏様だよ」

「で、ジルだけ良い思いをしてるのか。あの子だけお内裏様なんて納得できんな」
 お梅さんに頂いた重箱の太巻き寿司をつまみながら、沼田さんは言った。
 お梅さん手作りの太巻き寿司は年季が入った芸術品だ。紅ショウガの赤、炊いたニンジンの橙、でんぷの桃色、卵焼きの黄色、三つ葉の緑、炊いたかんぴょうとシイタケの茶色の具が入った断面が美しい。
「何でわしじゃないんだ」
 沼田さんは拗ねているのだ。お内裏様に選んでもらえなかったことが納得いかない様子。
「たまには良いじゃないですか」
 いつも、お千代さんお梅さんと一緒なのだから。去年も開かれた‘女の子だけのひな祭り’は、二人に妙ちゃんが混ざっただけなのだ。
 呼ばないお詫びだと、僕らはこうしてひな祭りのおこぼれを頂いている。

「今日はご招待ありがとうございます」
「ジル、何堅苦しいこと言ってるの。早く食べようよ!」
「はい」
「さあ、白酒をお飲み」
「美しいですね」
「え?私?」
 と、3人。
「このお料理は本当に美しい」
 ジルが待っていたのは、1年ぶりの太巻き寿司との対面。
   

 今日の写真は「ウメ」(2006.02.28群馬県で撮影)
 2月28日は、1本の木に1,2輪の開花状態でした。今日当たりは満開に近い状態になっているかも知れませんね。
 桃の開花はまだまだなので、今日の写真は桃色の八重咲きの梅です。

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2006/03/02

天使か悪魔か

IMGP00961
「止めろ!ジル!!約束が違うじゃねぇか!仲間にするのは俺だと言っただろ」
「一人目は稲作。二人目はあなた。……もったいないじゃないですか、ただ血を流すだけなんて。彼のように、私にください」
「稲作、あんたの傷は、こいつに飲ませるために付けたの?」
「そうだよ!」
 どうにでもなれ。
「二度と戻れないって?」
「私の仲間になるのです」
 ジルの手が、夢魔の手首をつかんだ。振り解こうとしても無駄だ。夜のジルには俺もかなわない。
「冷たいですか?その代わり、変わらぬ姿でいられます。周りの人たちがみんな年老いて死んでいっても」
「嫌!」
「なぜです?あなたには資格がある」
「……バケモノには……なりたくない」
 俺にも言えないセリフだ。
「約束出来ますか。二度と自分を傷つけないと」
 うなずく夢魔。
「返事は?」
「はい。二度としません」
「約束を破ったら、どこにいてもあなたを迎えに行くことを忘れないように」
 夢魔の目を見詰めたジルの瞳が青い光を放つと、そのまま彼女はジルの腕に崩れ落ちた。

「今起こった出来事は全て悪い夢。それでも、約束は守ってくれるでしょう。これまでそうでしたから」
 これがジルの別れ方なのか。
「ごめんな、こんな事に巻き込んで」
「平気です。私は本当にバケモノなのですから。稲作、あなたはカウンセラーや精神科医ではないのです。かかわると傷付くのはあなたです」
「気を付ける」
 それでも俺は放っておけず、ジルやみんなの手をわずらわせてしまうのだ。
「そういうあなたが私は好きです。――さっきは、痛く噛んですみませんでした。先に帰っています」

「あいつは?」
 夢魔は、俺の腕のなかで目を開けた。
「あいつ?」
「バケモノがあんたを噛んだ」
 その言葉に、胸がチクリとする。
「おかしな夢を見たんだな」
「だってその手」
 噛まれた痕には絆創膏を貼ってある。
「倒れる時、お前が引っ掻いた。そんなことばっかりしてるから貧血起こすんだ」
「もうしないと思う」 
「そうか。……店に戻ってホットミルクでももらおう」
 
「絹さん、ホットミルクとコーヒーくれ」
「ありがとうございます。これ、ジルちゃんから君にプレゼントだって」
 何も訊かないのは、ジルが口止めしていったのだろう。
「スノードロップだ。花言葉は‘希望・慰め’」
「へーえ、女らしいところあるんじゃねぇ、お前」
「わるかったね」
 何だか、さっきまでと違って明るくなったような感じがする。本当に、もう馬鹿な真似はしないでくれそうだ。
「でもね、プレゼントとなると意味が違ってくる。あんた、その人によっぽど酷いことをしたんだね」
「?」
「プレゼントになるとこういう花言葉になる‘あなたの死を望みます’」
 一瞬の沈黙。
「可哀想に。そんなのは人間が勝手に付けた花言葉だぜ。こいつには何の罪もないさ」
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 今日の写真は「スノードロップ」(2006.02.27群馬県で撮影)
 去年のブログでも同じ事を書いた記憶があります。
 このスノードロップ、一昨年まで全く別の場所に植えてありました。去年生えてこなくて枯れてしまったのだと思っていたら、思いがけない場所で花を咲かせていました。目立たない日影の駐車スペースでひっそりと。
 見つけた時の嬉しかったこと。
 移動の理由はむしった草に紛れて、落ちたとしか考えられません。
 今年もまた1輪、咲いてくれました。

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2006/03/01

誘惑

IMGP01061
「絹さん、見て下さい。また見つけました」
 ジルが、小さな鉢植えを大切そうに持ってきた。
 白い小さな花を付けている。
「スノードロップだね」
「素敵な名前ですね。稲作にプレゼントします」
「稲さん、来てるよ」
 嬉しそうな顔をして店内を見回すジル。いつも、稲作一筋なのだから。
「奥の部屋。ちょっと頼み事しちゃって――」
 僕は、事情を話した。

「なぜ、本当のことを言えないのです?」
 入って来たジルは、ドアを閉め鍵を掛けてから言った。
「うわっ!」
 怒っている。
 瞳が青く燃え、金の髪が輝いている。
 夢魔は、ジルから目が離せないでいる。彼女にどのように見えているのかわからないが、ジルは金髪碧眼はそのままで、容姿は見る者の理想に見えるのだ。
「ください」
「へ?」
「早くしなさい」
 俺は、言われるままに左手を差し出した。
「ギャオ~ン!」
 俺は噛まれた手首を押さえて飛び跳ねた。
 痛~ぇ!
 脳天からつま先まで電流が走ったようだ。
 ドンドンドンドン。
 ドアを叩く音。さっきジルが鍵掛けたんだ。
「どうした!!何があったの!」
 と、絹さん。
「何でもありません!――稲作が足を踏まれた犬のように大袈裟なだけです。……さあ、手を出しなさい」
 夢魔はジルに魅入られている。
 この世の者とは思えない美しい青年が、血まみれの口を拭った手を差し出している。
「二度とは戻れない、快楽の世界にあなたをお連れします」
【登場人物紹介】はこちらへ。


 タグふれんずのおかげで、今まで出会うことがなかったブログにお邪魔させていただく機会が増えました。
 時々、可愛いご本人の写真付きで、「チャットガールしてます」というブログにお邪魔することがあり、どんなことをするのだろうと思っていた疑問が、昨日解けました。
 昨日一昨日と見ていたドラマ「翼の折れた天使たち」の、昨日の主人公のアルバイトでした。進んだアルバイトがあるものですね。びっくりです。
 このドラマ、今日、明日もあるんですよね。可愛い女の子たちの主演だから、ついつい、見てしまいそうです。

 今日の写真は「ウメ」(2006.02.28群馬県で撮影)
 昨日の公園で撮した1輪です。梅の花らしい開き方をしていたものですから。

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