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2006/01/31

馬鹿は風邪を

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「へーえ、泣くほど感動したんだ」
「するか」
「不思議です。なぜそんなに食欲があるのか」
「何だよ、みんなして人を馬鹿にして」
「妙ちゃん、稲作の額に触れてみて下さい」
「?――やだ、熱い!具合悪くないの?――絹さん、体温計ある?」
「気分はいかがですか、稲作」
「テンション上がってて、ちょっと疲れてるけど、コンサートのせいじゃねぇのか?初めて行ったから雰囲気にやられたんだと思う」

「40度越えてる。インフルエンザだよ、きっと」
 自分では使ったことがない体温計は、見たこともない数字を表している。
「よせよ、俺は風邪なんかひかねぇぞ。馬鹿は風邪をひかねぇんだ」
「この間ひいたじゃない」
「だってあれは……」
 彼がこの間罹ったのは、子供にうつされたおたふく風邪だ。
「稲作、帰りましょう」
「あ?」
「明日の朝まで暖かくして、安静にしていて下さい。そして、篠原先生の所に行きましょう。48時間以内なら効く特効薬があると聞きました」
「それがいい。早いうちならタミフルは効くらしいから」
「帰りましょう」
「ボクが看病する!」
「一緒に行こうか?」
「いいえ、私が付いています。妙ちゃんと絹さんは、うつらないように体調管理に気を付けて下さい」
「ちょっと待ってくれ。俺はピンピンしてるんだけど――」
「ダメです。大人しくしていて下さい」

「さあ、生姜味の葛湯が出来ました♪」
 なぜ、語尾に♪が付くんだ?
 ここは稲作の事務所兼住居。
 俺は大人しく自分のソファベッドで横になっている。ジルの厳しい監視は、目に見えない縄に縛られているみたいだ。
「美味い」
 それでも、美味いと言ってしまう俺の立場は、彼のペットか。
「水分はたくさん摂って下さい」
「あんまり大袈裟な事するなよ。俺はまだ死なねぇから。それ、まだ見えねぇから」
 ジルは俺の胸元から、俺には見えないペンダントを手繰り出し、揺らしながら言う。
「あなたが、これを持っていて良かった――」
 余命が短い者には青く輝いて見えるペンダント。生きていない彼にも同じように見えるらしい。
「昔、一緒に暮らしていた人が儚く死んでしまったのです。彼の大切な人たちもみんな。……1918年のことです」
【登場人物紹介】はこちらへ。 

 馬鹿は風邪をひかないとは僕のことです。


 琳さん。
 本当だったら、琳さんの掲示板に書きに行くことですが、長くなりそうなのでこちらに書いてみます。
 誰も傷つけないとか、誰も不快にならない文を書くことは不可能のような気がします。このサイトを例にすると「虫」という字を見るのも嫌な人もいるだろうし、ジルの存在が許せない人もいると思うのです。
 以前、伯父の葬儀の丁寧すぎる湯灌(ゆかん)の儀式に、違和感を覚えたことを書いたことがありました。検索でこちらの記事を見に来てくれた人がいて、足跡を辿ると、湯灌を仕事にするための勉強をしている方でした。他人の遺体を遺族に気を遣いながら清めることは大変な仕事だと思います。私の記事はその人を傷つけたと思いました。でも、あの時書いたことは、遺族の一人の正直な気持ちとして受け止めていただけたらと思っています。

 もう一つ。メールは、少し傷付いて(考えて)いただこうと思って書くこともあります。それは、レベルの高い所を目指している方に限ってのことなのですが。
 私程度の志だったら誤字があろうが脱字があろうが全く気になりません。でも、プロを目指しているのなら、私などにわかるようなそれらがあるということは、致命的だと思います。せっかく懸賞小説に応募したのに、誰にでもわかるようなミスのせいで評価してもらえないこともあるのではないかと思うからです。誤字脱字が無い状態で原稿を送るのが、審査して下さる方への最低限の礼儀だと思うのです。苦労して書かれたご自身の作品に対する礼儀だとも思います。


 今日の写真は「ハシビロガモ」(2006.01.29東京都で撮影)
 アンバランスなくちばしの持ち主、顔が恐い写真のカモはハシビロガモの雌です。
 彼女がなぜ、ここに登場かというと、珍しい特徴を持っているからです。ハシビロガモはくちばしの内側に歯ブラシのような道具を持っていて、水の中に漂う藻などの餌を濾しとって食べるのです。誰かに似ていませんか?アミを濾しとって食べるヒゲクジラみたいですね。

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2006/01/30

似合わない

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「にゃう~!!信じらんなーい!」
「んが?なにが?」
 大盛りカレーをかき込みながら聞く俺。
「何でボクも連れてってくれなかったの!大大大ファンなのに!チケット取れなかったんだから!」
 せっかくだから買ってきたパンフレットを、めくって見ながら怒る妙。
 ボーカルが行方不明になっていたことを、大勢のファン達に気付かれないまま、Dry Windのコンサートは無事に終わった。
 故郷のファンに力をもらった麻衣はまた頑張ってくれると思う。
「そうなのか?悪かった、今度は連れて行くから」
「も~う」
「稲さんにそういう趣味があるとは知らなかったね。ハードロックか演歌ならわかるけれど」
「そうだよ、そうだよ」
 ハードロックと演歌なんて、ずいぶんかけ離れていると思うが。
「風花(ふうか)のファンなんだ」
「いや~ん、ぜんぜん似合わない!」
「悪かったな」
「ほんと、似合わないね」
 さすがは極楽とんぼの絹さんだ。Dry Windの風花を知っているのに、さっき会った麻衣とはつながらないらしい。バレた時はしょうがないけれど、進んで言うつもりはない。
「絹さん、カレーお代わり。今度は普通盛りでいいや」
「稲作、食べ過ぎではありませんか」
 一緒にいたのに会話に入ってこないジルは、俺と自分自身のことにしか興味がないらしい。
「なんか、疲れちまって。コンサート見るのってエネルギー使うんだな」
「声がかれるほど声援するからだよ。似合わない事しないでよね、恥ずかしいんだから」
 一緒にいたわけではないのだから、妙が恥ずかしがることはないと思う。
「稲作、私を見て下さい。……目が潤んでいます」 
【登場人物紹介】はこちらへ。


 昨日、東京湾へバードウォッチングに行って来ました。今年は寒いせいでしょうか、北でしか見られない鳥たちが関東で見られています。
 目的のコオリガモには会えませんでしたが、ホオジロガモのディスプレー(求愛行動)を見る事が出来ました。これが可愛いのです。ホオジロガモの雄は身体が白く、頭は黒で三角のおむすびのような形をしていて、くちばしの付け根の頬の部分の真っ白な丸い模様が特徴的なカモです。その三角おむすび頭の雄が、雌をとり囲んで頭を背中にぶつけるほど、カクン、と後ろに反らせて上を向きます。
 それぞれが、
「どうか僕を選んで下さい」カクン
「いえいえ私を」カクン
 というダンスをみんなで踊るのです。
 その中からカップルが誕生するのですが、雌の選考基準はどういうものなんでしょうね。

 今日の写真は「オオゴマダラ」(2006.01.28群馬県で撮影)
 昨日はサナギでしたから、今日は成虫を。黄金のサナギはこんな蝶になります。大きくて、飛ぶ姿は優雅です。

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2006/01/29

チャンスは必ず

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「戻せねぇか?あの時の気持ちに」
「何かさぁ、嫌んなっちゃったんだ。疲れたっていうか。……このまま行くと、どんどん本当の自分から離れて行っちゃいそうで」
「贅沢言うな」
「何もわかんないくせに」
「わかんねえな。お前は他の奴等がどんなに頑張ったって手に出来ねぇもんを手にしてるんだぜ。もう少し我慢して力を蓄えろ。チャンスは必ず来る。……俺たちファンはお前が行く所へ付いていくから」
 きっと麻衣は、HIPHOPじゃなく、歌唱力で勝負したいのだろう。〔月の光〕で披露した歌声は、価値がわからない俺にも訴えかけてくるものがあった。
「!?……ファンって?」
「ずっとお前を見ていた」
「知ってたの?」
「俺は、お前のバンドの元メンバーだぜ、トライアングル担当だったけど。応援するに決まってるじゃねえか。……それに、お前は智紘が見込んで夢を託した女だから、俺があいつの分も見届ける」
「稲作」
「まだ間に合うだろう?金、無えのにせっかく買ったんだから、無駄にさせるな」
 稲作は胸ポケットからしわになったチケットを取りだした。2時間後、グリーンドームで開催される人気 HIPHOPバンド「Dry Wind」の入手困難なコンサートチケットだ。
「買ってくれたんだ」
「当たり前だ。さあ、戻ろう、ボーカルの風花(ふうか)が居なきゃ始まんねぇだんべぇ」
「また、来てもいい?」
「もちろんだ。俺たちはいつでも、お前を歓迎する」
                *バンド名、人物名は架空のものです。
 
 タグふれんずでチャットをしました(間の悪さをお許し下さい。打ち込みが遅くて)。
 こんな風にお話を書いていても、読んで下さった方に、感想を伺う機会はほとんどありません。直接お話し出来たことが新鮮で嬉しかったです。
 ありがとう、朋さん。貴重なお昼休みの時間を使ってHPまで読んでくれて。
 おかげで、これからも続けていける元気をいただきました。
 皆さんの貴重な時間を割いて見ていただくのに、恥じない内容に出来るようにこれからも精進します。 


 昨日は午後から、群馬県立ぐんま昆虫の森に行ってきました。
 本館の昆虫観察館では、標本だけではなく生きた虫たちが展示されていることに驚きました。ナナフシ、バッタ、カメムシ、カブトムシ、クワガタ、水生昆虫と、は虫類、両生類など。特に、田園地帯に住んでいるのに見たことがなかったタガメとゲンゴロウを見られたことは、それだけで訪れたかいがありました。
 双眼鏡を下げるという妖しい風体をしていたせいでしょうか。大人二人連れだったのに、バックヤードツアーに誘っていただきました。子供達に混ざって飼育室に入れていただき、飼育の様子を見せてもらうことができました。真冬に夏の昆虫を展示するための裏の苦労を教えていただきました。
 生態温室では、西表島の自然が再現されています。南国の美しい蝶が飛び交ってタチアワユキセンダングサが咲く温室は、外界の寒さを忘れさせてくれますよ。虫好きの人は、群馬県では見ることが出来ない幼虫やサナギ、バッタなどを捜してみるのもいいでしょう。

 「ぐんま昆虫の森のHP」では、リュウキュウアサギマダラのサナギのライブ映像を配信しています。ここ1~2日で羽化するそうですから、興味がある方はのぞいて見て下さい。神秘の瞬間に立ち会えるかも知れませんよ。

 今日の写真は「オオゴマダラのサナギ」(2006.01.28群馬県で撮影)
 まるで黄金のブローチのように輝いていますね。
 オオゴマダラという大きな白黒マダラ模様の蝶のサナギです。

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2006/01/27

750と長髪

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「麻衣、時間は後どのくらいある?」
「時間?いくらでもあるよ」
「1時間、いや30分いいか?」
 今日の稲作はやけに時間を気にしている。
「いいよ。時間いくらでもあるって言っただろう」
「一緒に来てくれ」
 二人は〔月の光〕を出て行った。

 麻衣に大きすぎる革ジャンを着せ掛けると、バイクの後ろに乗せて走らせる。
「まだこんなの乗ってるんだ、オヤジなのに」
 一度は凝っても、大体のヤツはある程度の年齢になると自動車に乗り換えるからだろう。
「悪かったな、金がねぇんだ」
 とっくに卒業の歳だということはわかっている。
 だが、この750(ナナハン)と長髪が、他の奴等と同じ生き方をしないという俺の意思表示なのだ。

 着いた所は霊園。
 智紘の所に連れて来た。
「死んだのか。いつ?」
「あの一年後だ」
「そうなんだ……」
 麻衣は、智紘と彼の両親が眠る墓に手を合わせた。
「あの時」
「ん?」
「お前のバンドを手伝った時、こうなることを知ってた。智紘も、俺も」
「身体、悪かったのか」
「ああ」
 彼の死因は病死ではなかったが、あの時、あの事件に巻き込まれなくてもそんなに長くは生きられなかった。
「覚えてるだろ?智紘が楽しそうだったこと」
「覚えてる。楽しかった。ちゃんと演奏出来るかどうか、ぶっつけ本番だったよね」
 麻衣は、白い歯を見せて言った。両頬に出来たえくぼがチャーミング。あの頃の笑顔だ。
「戻せねぇか?あの時の気持ちに」
 麻衣ちゃん登場のお話はこちらへ。


 昨日書かなければいけませんでした。
 麻衣ちゃんが歌ってくれた♪おはよう、マルセリーノ♪という歌は「汚れなき悪戯」という1955年スペイン映画の主題歌です。僕より年上(1964生まれです)の方にとっては懐かしいのではないかと思います。
 こんなお話です。
 主人公は、捨て子だった悪戯好きな5歳の少年マルセリーノ。育てられた修道院2階の納屋で、パンとワインを差し入れながら、イエス・キリスト像と会話をするようになります。
 キリスト象に親切にした彼は、願いを叶えてもらえることになりました。
 彼の願いは「ママに会いたい」ということ。
 少年は、願いを聞き入れたキリスト像に、母親がいる天国に召されてしまいました。
 キリスト像の下で冷たくなっているマルセリーノの姿が涙を誘う白黒映画です。

 今日の写真は「マルバスミレ」(2003.04.27群馬県で撮影)
 丸葉菫の名前の通り、丸い葉と白い花が特徴の、可憐なスミレです。

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2006/01/26

夏の日

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「おい、30分経ったぜ」
 稲作は、毛布を掛けた彼女の肩を揺すった。
「ん?……ありがとぅ。――稲作!会えないかと思った。ぜんぜん変わってない!」
「そうか?年取ったぜ」
「それはお互い様さ」
 起きた彼女は稲作との再会を喜んでいる。二人の様子からするとずいぶん久しぶりのようだ。
「絹さん、ブレンド頂戴」
 やっぱり彼女に覚えがない。
「鈍いなぁ、ほんとにわかんねえのか?……麻衣、歌ってやれ。ここで歌った歌」
「――あぁ、いいよ」
 麻衣ちゃんはちょっとためらったように見えた。
「♪おはよう、マルセリーノ♪」
 澄んだ歌声。前に聞いた時よりも洗練されたみたい。
「あの時の……」
 あれは暑い夏の日。前に会った時の彼女はまだ女子高生だった。健康的な小麦色の肌が印象的で、付け慣れていないマスカラがひじきみたいになっていたっけ。
「思い出してくれた?」
「うん、あんまり大人っぽくなっちゃったから、わからなかった」 
「稲作、智紘はどうしてる?」
 麻衣ちゃんは、店に掛けてある智紘の肖像画を懐かしそうに見ながら聞いた。
「麻衣、時間は後どのくらいある?」
【登場人物紹介】はこちらへ。


 毎日毎日新しい事件が報道されますね。
 今日のニュースはミナミゾウアザラシを思い出してしまいました。
 みなぞう君、死んでしまったんですよね。

 今日の写真は「ナガバノスミレサイシン」(2005.04.02東京都で撮影)
 長葉の菫細辛と書きます。こちらが群馬でも見られるナガバノスミレサイシンです。

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2006/01/25

空っ風と共に

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 ドアが開いた。
「いらっしゃいませ」
「30分寝かせて、絹さん」
 吹き荒ぶ空っ風と一緒に入ってきた彼女は、そう言って稲作達の指定席に座ると、テーブルに突っ伏して眠ってしまった。顔がよく見えなくて誰だか思い出せないけれど、彼女は僕の名前を知っている。
 酷く痩せた女の子だ。流行っているのか、自分でジョキジョキ切ったような短髪をして、破れたジーンズと大きすぎるようなクリーム色のセーターを着ている。この季節にしては薄着だ。毛布を掛けながら、そっと彼女の顔を見てみる。ノーメイクで幼く見えるけれど、妙ちゃんくらいの年頃か。やはり彼女に見覚えがない。
 他にお客様はいない、穏やかな午後。

「ちわ~す」
 いつものように賑やかにやってきた稲作を、僕は立てた人差し指で口を押さえて出迎えた「しーっ」
「なんだ?」つられて小さな声で聞く彼。
「誰だか思い出せないんだけど、僕を知っているんだ、彼女」
 僕は眠っている彼女を指さした。
「後10分経ったら起こす約束なの」
 稲作は、どれどれ、という風に彼女をのぞき込む。
「カトンボみてえになっちまったな」
「え?」
 それは子供の頃からの僕のあだ名。言われるのが恥ずかしかったあだ名、カトンボの正式名はガガンボ。夏に時々家の中に入ってくる、長い足がすぐに取れてしまう大きな蚊みたいな虫だ。
「呼ばれてたのか?あんたの事じゃねえぜ。ピッタリだけど。……今何時だ?」
「3時20分だけど」
「そうか……」
「知ってる人?」
「絹さんも知ってる娘だ」
 カウンター席に着いた稲作は言った。
「起きれば思い出すかも知れねぇぜ」
 稲作は彼女が目を覚ますまで僕に教えてくれないらしい。意地悪ではなく、その間に何か考えようというつもりのようだ。
 僕は大人しく待つことにした。
 彼は、彼女にとって一番の‘何か’を考えてくれるから。

【登場人物紹介】はこちらへ


 夕べ、山村美紗物語を見ました。
 2時間ドラマ好きには、山村美紗さんの狩谷警部、西村京太郎さんの十津川警部は欠かせない存在ですよね。両警部とも、TV局によって違う俳優さんが演じていて、それを見比べるのも楽しいし、特に山村さんの作品は事件が起こる世界が派手で、探偵役が美人、アッシー君が船越栄一郎さんと、とても親しみがあるお二人の作品ですが、不思議と小説は読んだことがありません。

 今日の写真は「スミレサイシン」(2003.05.10群馬県で撮影)
 菫細辛と書きます。なぜ、スミレの後ろにサイシンが付くのだろう。この疑問が植物観察に興味を持った最初でした。
 地下茎をとろろのように摺り下ろして食べる地方があるそうです。スミレサイシンの仲間は、距(花の後ろの部分)が丸いのも特徴の一つです。
 撮影地は三国峠。日本海側の植生も見られる所です。なぜこんな事を言うかというと、群馬県はどちらかというと太平洋側の植物が多く、見られるスミレサイシンはナガバノスミレサイシンが多いのです。

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2006/01/24

新しい仲間Ⅱ

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「ちわーす」
 やって来たのは稲作と妙ちゃん。
「いらっしゃいませ」
「稲作、妙ちゃん、お待ちしていました」
 奥の席からジルが声を掛け、半次と一緒にやって来た。
「妙ちゃん、この人は私の新しい友だちです」
「ニックネームを?」
 半次君は妙ちゃんを意識して言った。
「もちろんです」
 冷たく言い放つジル。
 半次ってニックネームだったのか。どうも時代がかった名前だと思った。
「半次ッス。本名は広瀬欧彦」
「判事?広瀬さん判事さんなんですか?」
「妙、そういうことは顔をよく見てから言え。そんなに利口そうに見えるか?」
 半次の顔をまじまじと見た妙ちゃんは、頬を赤くして言った。
「ハンサムだよ、稲作より」
「悪かったな。こいつはジルの友だちだから、俺たちと関わることもあると思う」
「稲作、何かその言い方冷たくない?」
「そうッスよ、ダンナ」
「誰がダンナだ。……足は洗ったんだろうな」
「はい!しばらくはフリーターを。必要な時は広木探偵事務所の技術指導をさせてもらいます」
「技術指導だと?」
「世の中にはプロじゃないとわからないこともあるんですよ、ダ・ン・ナ」
「へーえ、何かわかんないけど面白い。よろしくね、半次さん」
「ニックネームッスから呼び捨てでけっこうです。妙さん」
「じゃ半次、ボクのことも妙さんじゃなくて、みんなと同じ妙ちゃんって呼んで」
「はい、妙ちゃん」
 この二人、似合いの二人なのかも知れない。稲作とよりは……。


 昨日からライブドアのニュース一色ですね。
 あまりに話が大きすぎて、現実味なくニュースを見ています。

 今日の写真は「ニオイタチツボスミレ」(2005.05.22群馬県で撮影)
 匂立坪菫と書きます。このスミレの一番の特徴はその名の通り、芳香です。甘くない上品な香りがします。これも公園などで見られますから、見つけたら香りを楽しんでみて下さい。
 タチツボスミレより花色が濃く、紫と白のメリハリがハッキリしています。

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2006/01/23

新しい仲間

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「いらっしゃいませ」
 初めてのお客様。24,5歳のハンサムな若者だ。新品のハンチングを被っている。
 ここは喫茶店〔月の光〕。
 メニューを渡すと、
「待ち合わせなんです。連れが来てからでもいいですか?」
 と、彼。
「こんにちは」
「いらっしゃいませ、ジルちゃん」
 ジルは、一番奥の席に向かうと、言った。
「半次、ここがわかりましたか」
「はい、直ぐに」
「待ち合わせってジルちゃんだったの?」
 メニューを渡しながら聞く僕。
「まだ挨拶していませんか?」
 と、若者を見ながら言い、
「絹さん、私の新しい友だち、半次です」
「よろしくッス!」
 ジルが動物以外の友だちを紹介してくれたのは初めてだ。


 昨日は仲間達とバードウォッチングに行きました。東京、神奈川、群馬から、総勢18人が集まりました。面白いことに一番寒そうな群馬は雪が降らず、東京、神奈川に雪が降ったことはご承知の通り。それでもみんな、道が悪い中を集まりました。目的は、ミヤマガラス、コクマルガラス、シラコバト、アメリカコハクチョウ、ハイイロチュウヒでした。
 この中では、ミヤマガラスとハイイロチュウヒしか見られませんでしたが、暮れ始めた芦原の中を悠然と飛ぶハイイロチュウヒは美しく、みんな満足出来たことと思います。
 他にはミコアイサもよく見ることが出来ました。ミコアイサはバードウォッチャーの間でパンダガモ、ミコパンなどと呼ばれてい白黒の鳥です。ハイチューことハイイロチュウヒと共に、写真を載せているサイトさんは多いと思いますから、ぜひ、ご覧になってみて下さい。

 今日の写真は「ノジスミレ」(2001.04.14群馬県で撮影)
 野路菫と書きます。スミレはスッと定規で描いたようにスッキリしたイメージですが、ノジスミレは描き慣れない人が震える手で描いたようなイメージ。
 この写真はスミレを見始めた年に撮した物で、ノジスミレを初めてノジスミレとして見た1枚です。
 身近な道ばたや公園などで出会うスミレから名前を覚えると、違いがどんどんわかるようになりますよ。

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2006/01/22

友だち

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「友だちだと?お前、この間のこそ泥じゃねぇか」
「オレは、この御方に付いていくことに決めたんだ」
「欧彦、稲作は私の大切な人です。あなたにとっても大切な人です」
「何がオーヒコだ。半次の間違いだろ!」
 !?
 自分で言って気が付いた。
「そうだ!お前、半次だ!その前髪上げて顔を全部出してみろ!」
 ちょんまげじゃないから、印象が違って見えたのだ。
 ジルがここに存在しているのだ。江戸時代に出会った半次は実在していて、彼の子孫がここに現れたとしても、俺は驚かない。この間だって、何か憎めなくて警察に突き出せなかったのだ。
 やはり、前髪を上げた欧彦は半次にそっくり。
「俺が止めろと言っても、友だちなんだろう?」
「はい」
 とジル。
「欧彦、俺の周りをうろつくなら2つ約束しろ。1つはこそ泥を止めること……」
「わかりました。もう1つは?」
「半次と呼ばせろ。ニックネームと思ってくれ」
「ハンジ?何ですかい?そりゃ」
「頼む」

 欧彦を返した後の事務所の応接。
 いつものようにビールとトマトジュースでくつろぐ二人。
「なあ、ジル。俺はお前にとって何なんだ?」
「あなたは、私の大切な人です」
「絹さんや妙は?」
「あなたの大切な人たちだから、私にとっても大切な人」
「欧彦は?」
「友だちです」
 やっぱりだ。
 ジルにとって、友だち=僕(しもべ)なのだ。俺が知っているだけで、ネズミ、コウモリ、オナガ、ワカケホンセイインコがいる。
「なぜだ?ヤツは人間だぞ」
「彼が望んだのです。私も人間の友だちは初めてです」
「頼むから、粗末な扱いはするな。俺のためにヤツを利用するようなことはするな」
「私は、誰に対しても強要はしていません。粗末な扱いなどしていません。みんな、私が好きなあなたを好きなのです」
 考えるだけで、頭痛がしてくる……。

 半次、初登場のお話はこちらへ


 昨日のうちにUPしようと思ったら、日を跨いでしまいました。
 こちら、前橋は風が強いですが、雪は全く降っていません。ニュースを見ると、東京は降ったようですね。

 今日の写真は「コスミレ」(2003.04.17群馬県で撮影)
 小菫と書きます。コスミレというのに、昨日のヒメスミレよりずっと大きくて、スミレやノジスミレと同じくらいです。

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2006/01/20

低体温?

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「ヒィッ!」
 男は飛び上がって尻餅を付いた。
「お前、何なんだ!」
「私はお嬢ちゃんではありません。男の子です」
「にんげん?」
「……はい」
 ここで正体を明かす事もない。
「頭冷たかったぞ」
「低体温なのです。それに低血圧。朝はボーッとしてしまうのです」
「ボーッとし過ぎだぜ。おかしいな、あの時のあんたはたしかに人形だった」
「あの時?」
「前にも一度忍び込んだ」
「忍び込んだ?」
「いちいちオウム返しするな、ロボットかお前。あの男はお前をフィギュアと認めたぜ」
 私が眠っている間の事か。
「あなたはお客様ではない。彼はあなたに何をしましたか?」
「見逃してもらった」
「何もされずに?」
「ちょっと殴られたけど――」

「ジル、まだいるのか?」
 玄関の鍵が開いていた。
 来客か。見慣れない靴がある。
「お帰りなさい、稲作。紹介します、私の新しい友だちです」
「ってことになりました。俺、広瀬欧彦ッス。ヨロシク!」


 先日、スーパーで大量のエリンギを買いました。
 普通、大きい物2本と小さめの物が1本で¥158くらいで売られていますよね。
 量は5倍以上なのに値段は¥198。
 なのにあまり買われていません。形がとても悪いからでしょうか。
 でもね、形のいいエリンギって育てるのは大変のようです。栽培している所を見せていただいたことがあるのですが、頭の部分が欠けていたり、短すぎたり、形の良い物がなかなかありません。
 今回手に入れたようなエリンギは別ルートで工場に運ばれて、キノコソースの缶詰なんかになるのでしょうか。
 ここ3日間、みそ汁、炒めもの、シチューに使いました。残りは何にしましょうか。

 今日の写真は「ヒメスミレ」(2004.04.06群馬県で撮影)
 姫菫と書きます。写真のような所に生えている事が多いのです。スミレよりずっと小さいから、見つけたらきっとヒメスミレだとわかりますよ。

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2006/01/19

こそ泥再び

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 まさか、あんな目に遭わされた部屋にもう一度来るとは思わないだろう。
 あいつが出掛けたのを見届けてから、ここに忍び込んだのだ。
 どうしても、手に入れたかった。
 もう一度見るだけでもいい。
 金髪、等身大の精巧なフィギュア。
午前6時半。まだ夜は明けていない。
 ここは、広木稲作探偵事務所。
「不用心だな」
 今日も簡単にピッキングに成功した。空き巣に入られたというのに、鍵を掛け替えていないじゃないか。
 ごめんなさいよっと――!!
「うわっ!」
 思わず声を上げてしまった。
 あの人形が、薄暗い事務所のソファに座らされている。
 あの男、こんな所に人形置いて、来客を脅す趣味でもあるのか。
 電気を点けて、久しぶりのご対面。あの時と同じく目を閉じている。
「朝はちゃんとお着替えさせてもらって、お留守番かい?お嬢ちゃん」
 それにしても、どうしてもっと萌える服を着せないんだろう。この前のパジャマも量販店で買ったような地味なものだった。今日の服も普通の白いTシャツとブルージーンズだ。
 どこかに、目を開けさせる装置が付いているはずだ。頭の後ろか?
 頭の後ろを探ってみる。髪も、申し分のない質感だ。
 スイッチがない。
「お目目パッチリのお前さんを見たかったんだけどな」
 何もしていないのに、人形の目が開いた。
 思った通り、青い瞳。
 「いらっしゃいませ、ただいまこの家の主人は外出しています……。私はお嬢ちゃんではありません。服も自分で着替えています」


 どうしても思い浮かばない状態が続いています。UPが遅くなってすみません。
 昨日、「神はサイコロを振らない」というドラマを見ました。
 10年前、自分は何をしていたか。
 中小企業で普通のOLをしていました(筆者は女性です)。
 10年後、主婦になってブログを開設するなんて思ってもいませんでした。
 
 今日の写真は「イソスミレ」(2002.04.20新潟県で撮影)
 磯菫と書きます。別名・セナミスミレ。別名は新潟県の瀬波海岸に大群落があったため。残念ながら、今は見る事が出来なくなってしまったそうです。
 日本海側の砂浜に咲きます。タチツボスミレの仲間にしては華やかなスミレですね。

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2006/01/18

物忘れ

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「いらっしゃいませ、沼田さん」
「今日は若い連中は来てないのかい?――ランチと飲み物はいつもの」
「ありがとうございます。みんな仕事なんですよ。稲さんと妙ちゃんは久しぶりに依頼があったみたい。ジルちゃんは麗華さんの店」
「そうかそうか」
「沼田さんも珍しくひとりですね」
「二人は演歌歌手のコンサートに行ったんだ」
 二人とは近所のおばあちゃんの、お千代ちゃん、お梅ちゃん。
「コンサートですか。誘われなかったのですか?」
「クラシックなら行ったんだがな」
 仲良しの3人も、音楽の趣味は合わないようだ。
 午後1時30分。
 ランチタイムを目掛けてきてくれるOLや会社員は仕事に戻り、ほっと息が付ける時だ。今は沼田さん一人。
「あれ?」
「どうした?」
「いいえ、何でも……」
 今日のランチは何だったっけ?さっきまで作っていたのに、洗い物もしていたのに、思い出せない。
 えーと。
 さりげなく、自分で書いた手書きのランチメニューを玄関に見に行く。

「お待たせしました」
 忘れた事を気付かれないように、作ったランチをテーブルに並べる。
「心配いらないよ、誰だってちょっとした物忘れはするものだ」
 ばれていた。


 大型電気店のレジで小物を買い、精算を済ませていたら張り紙が。
「任天堂DSの販売は終了しました。予約も受け付けていません」
 そんなに品薄なんですか?
 たしかにCMで、「一昨日の晩ご飯何を食べましたか?」と聞かれると、真剣に思い出している自分がいます。食べるだけの人ではなく、自分で作って食卓に並べているのにも関わらず、思い出せないのはかなりの重傷か?つい、任天堂DSを試してみたくなってしまいます。ブログを回っていると、「動物の森」の話題も多いし。
 若い人だけではなく主婦や中年男性の心もつかんだのが勝因ですね。

 今日の写真は「ナガハシスミレ」(2005.05.20新潟県で撮影)
 長嘴菫と書きます。別名・テングスミレ。
 名前や別名の通り、わかりやすいスミレです。長く伸びている所は、嘴や鼻ではなく、距(きょ)と呼ばれる花の後ろの部分です。
 このスミレも、日本海側に咲くため、前橋で見る事はできません。

【登場人物紹介】はこちらへ

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2006/01/17

粉雪

p524012211
「おかしいな、誰もいない」
「はい」
「お前が気付いたんだ、間違いはねぇだろ」
 〔月の光〕のドアを開けて辺りを見回してみたが、何の気配もない。
「すみません、こんな時に限って僕(しもべ)が近くにいなくて」
 冬、コウモリが飛んでいるのを見た事がないし、ネズミだって寒いのは嫌いだろう。彼が頼れるのはオナガのぴょん太くらいだろう。
「ぴょん子も仲間になってくれました」
「メスのオナガか?」
「インコです。あそこに」
 総社神社から付いてきたのか……。
 エサ台に尻尾が長い緑色のインコが止まっている。
 〔月の光〕の裏庭。とりあえず食べ物には不自由はないだろう。ここにはどんな鳥が来てもいいように色々な餌が置いてある。タダで食えるなんて、俺が鳥になりたいくらいだ。 
「どうしたの?」
 妙と絹さんも外に出てきた。
「――わっ、ワカケホンセイインコだ!何でこんな所まで来たんだろう。ヒマワリの種、足りるかなぁ。足しに行ったら逃げちゃうかなぁ」
 餌台の管理人、絹さんは興奮状態だ。このオヤジの考えている事はどうも良くわからない。鳥が餌を食べに来るのが何で嬉しいんだ?
「ぴょん子!こっちへ来なさい」
 ぴょん子は、俺にはキューッと聞こえる声で鳴いてジルの肩に止まった。目が横に付いているから、首を傾げるような仕草でこちらを見る。
「飼ってるの?ジルちゃんのインコ?」
 と、絹さん。何で鳥相手に‘萌え~’っていう顔ができるんだ?
「友だちです」

 ちらちらと白いものが落ちてきた。
「あれっ、雪?」
 妙は手のひらで受け止める。 
「♪こなーゆきー、ねぇ心まで白く染められたなら♪……この歌好き」
 妙が歌った。
「ここは降るなら牡丹雪だぜ」
 空は青空。山で降った雪が飛んできたのだ。
「風花だね」
 と、絹さん。
「♪粉雪、ねぇ永遠を前にあまりに脆く♪……私は1億人よりも多くの中からあなたを見つけました。種を越えて、時を越えて」
 ジルは目を青く輝かせて俺を見る。


 予告もなく1日サボってしまいました。長く続けていると、どうしても書けない日というのがあるものですね。待っていて下さった方ごめんなさい。(いるかな?)

 「粉雪」という歌が、TVから流れて来るのが気になり、CDを買ってしまいました。
 ドラマ「1リットルの涙」の挿入歌だったのだそうです。ドラマ好きのくせに見ていませんでした。絶対泣いてしまうから避けたのです。
 歌っているアーティストは「レミオロメン」。ロミオメロン?と読み違いました。意味のない言葉らしいです。でも、優しい語感が良いですね。プロフィールを見ると、群馬・前橋を拠点としてライブ活動をスタートしたとありました(出身は違うみたいです)。
 前橋人としては嬉しいです。
 ライブといえば高崎に移転前のclub FLEEZというライブハウスに、一度だけ行った事があります。会社の後輩が出演するからと誘われて、10代の子に混ざって大幅に平均年齢を上げに行ったのでした。至近距離での大音量とファンの熱気は、それまで体験した事がないもので、夢を持った若者達のステージは力強く、元気をもらった事を思い出しました。レミオロメンさんもあの若者達のように頑張っていたのでしょうね。
 カップリング曲3/9With Quartetも素敵な曲です。

 今日からまた、春に備えてスミレのお話をしていきましょう。
 今日の写真は「オオバキスミレ」(2004.05.24新潟県で撮影)
 大葉黄菫と書きます。日本海側の多雪地帯に、雪解けと共に咲き始める黄色いスミレです。
 日本海側の多雪地帯。今年の雪多さと被害の甚大さに、お見舞いの言葉が見つかりません。皆さん、お身体と雪の事故に気を付けて乗り越えて下さい。
 
【登場人物を少しずつ紹介します】
ジル……自称22歳、本当は1300歳の吸血鬼。
    金髪碧眼で、見た人の理想の姿に見える。
    仲間にする約束を、稲作と交わしている。

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2006/01/14

誰が?

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「お帰りなさい。みんなとってもいい顔になったね。特に稲さん、色が白くなったみたい」
 ここは喫茶店〔月の光〕。
「汚いなぁ、稲作あまりお風呂はいらないの?」
「失礼な、ちゃんと入ってるぜ。たまに忘れるけど」
「やぁねぇ。ジル、ちゃんと毎日入るように言ってよ」
「わかりました」
 みんなさっぱりした顔をして温泉から戻ってきた。いいお湯だったようだ。
「絹さん、お腹空いた。何か食べさせて」
「何にしますか?妙ちゃん」
「お前さっきラーメン食ったって言ってなかったっけ?」
「フルーツ牛乳も飲みました」
 ジルはぼそりと言う。
「あれだけじゃ、なおお腹が空いちゃうんだよね。何食べようかな」

「ジル、気付いているか?」
「はい」
 温泉からずっと、誰かに付けられているようなのだ。
 ジルが引いたおみくじの結果が、稲作の脳裏を過ぎった。


《お知らせ》
 よかったら左枠のリンクをのぞいてみてください。
『〔月の光〕だより 日々のエピソード』
 ブログで書いてきた続き物のお話を読みやすいように並べ直してみました。
『みけのみちくさ 〔月の光〕だより本館』
 ブログを始める以前の僕らの物語があります。


 今日は久しぶりに雨がぱらついています。雨ということは気温が高い証拠。少し寒さが和らいでいます。
 夕べ「夜王」という新ドラマを見ました。
 目的は一つ、トップをはる「聖也さん」を見るためです。
 ここでも時々お話ししていますが、僕はアクの強い性格俳優が好きです。彼、北村一輝さんもその一人。どう考えてもホスト姿が似合いそうもありません。恐る恐る見てみると、その登場シーンの濃いこと濃いこと(彼自身も濃い)。№1ホストが客を喜ばせる演出を見せてもらいました。
 でもなぁ、彼が№1。妖しすぎるオーラを放っていたことは間違いありません。北斗の拳のラオウのような存在感。マンガが原作だからアリですよね。
 北村一輝さん、どんな役でもこなすあなたをこれからも応援します。 

 今日の写真は「ソリハシセイタカシギ」(2006.01.01沖縄県で撮影)
 反嘴丈高鷸と書きます。沖縄写真の最後は、この偶然の出会いを。この鳥に会えることは予想していませんでした。セイタカシギと一緒に行動していました。一目でわかる模様と長い足、嘴の反りはバードウオッチャー憧れの鳥。コンパクトデジカメではこれが精一杯ですが、見られたという証拠写真にはなりそうです。

【登場人物(人物以外も)を少しずつ紹介します】
喫茶店〔月の光〕……どこかにあるかも知れない
          大きな川の畔に建つログハウス風の喫茶店。

☆お知らせ―明日 喫茶店〔月の光〕は臨時休業させていただきます☆

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2006/01/13

湯上がりの楽しみ

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「遅いよ、いつまで入ってんの!もうラーメン食べ終わっちゃんだから」
 日帰り温泉施設の館内は暖かく、食堂あり、休憩出来る座敷あり、マッサージチェアあり、と至れり尽くせり。少しくらい待たせたからと言って、♪小さな石けんカタカタ鳴った♪などと言うことはない。妙にヘソを曲げられずにすんだ。
「ごめんなさい妙ちゃん」
 源泉掛け流しの温泉あり、ジェットバスあり、と10種類の風呂があり、せっかく来たのだからと試しに全部入ってみたのだ。
「大丈夫か?ジル。凄く熱くなってるぞ」
「大丈夫です」
 ジルは熱いサウナにいくら入っていても平気な顔をしていた。どのくらいの熱さまで耐えられるのだろう。
「本当だ。冷やさないと熱中症になっちゃうよ。何か冷たいものを飲まなくちゃね」
 と、ジルの腕をつかむ妙。
「あっ、あれだ!」
 稲作が駆け寄った場所は牛乳の自販機。
「瓶のコーヒー牛乳!湯上がりにはこれしかねえぜ!」
「ボク、フルーツ牛乳!」
「私は、稲作と同じにします」
 稲作が、腰に左手を置いて牛乳を一気飲みしたことは言うまでもない。

☆お知らせ☆
 よかったら左枠のリンクをのぞいてみてください。
『〔月の光〕だより 日々のエピソード』
 ブログで書いてきた続き物のお話を読みやすいように並べ直してみました。
『みけのみちくさ 〔月の光〕だより本館』
 ブログを始める以前の僕らの物語があります。


 今日は日が差さないせいか、前橋は日中でもとっても寒いです。
 インフルエンザが流行っているそうですから、皆さんもお気をつけ下さい。

 今日の写真は「ナンゴクデンジソウ」(2006.01.01沖縄県で撮影)
 南国田字草と書きます。葉の形がたんぼの田の字に似ているからです。現在の私たちには四つ葉のクローバーに似ているといった方がしっくり来ますよね。
 全部が四つ葉のため、田字草を押し葉にして幸せを呼ぶキーホルダーとして売っていることがあるといいます。田字草でも効果があるのでしょうか。
 なぜそんなことを思うのかというと、田字草はシダ植物、ワラビやゼンマイの仲間なのです。

【登場人物を少しずつ紹介します】
広木稲作……当店のワイルド系担当。便利屋のような私立探偵。
      年齢20代半ば。190㎝の長身、色黒で猛犬顔。
      義理人情に厚い上州男児。
      誰にも言えない2つの秘密を、ジルと共有している。

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2006/01/12

温泉好き

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「なんじゃこりゃー!」
 Gパン刑事の真似ではない。
 たくさんある洗い場が全部ふさがっている。混んでいるのだ。
 沼田のじいさん達のお勧めの、日帰り温泉施設に妙とジルを連れてきた。連れて行け連れて行けと二人がうるさいからだ。妙は女湯に直行。
「今日は平日なのにな」
「ご年輩の方が多いようです」
「おい、じいさん達みんなお前を見てるぞ」
「いつものことです」
「隣にいる俺の方が恥ずかしいぜ」
 クルクル巻き毛の金髪で青い目の白い肌を持つ若者の裸など見たことがないのだろう。みんな、ついでにこっちも見る。
「席が空きましたよ。背中を流しっこしましょう」
「なんだと?」
「そうするものでしょう?絹さんや耕助さんに教えていただきました」
 耕助とは稲作の父親。子供の頃、嫌だというのに背中を流されたものだ。
 絹さんと親父、ジルの体温の低さを不審に思わなかったのか。肩を掴んで背中を流すと冷たさが伝わってくる。彼には体温がないのだ。気温と同じ。

「気持ち良いのか?」
 温泉に浸かるジルは幸せそうに見える。
「はい。……あなたと同じ温かさになれますから」
「また来ような」


 昨日の鏡開き。スーパーで買った真空パック入りの鏡餅を切って、ちょっと柔らかくしようと電子レンジへ。チンといったので見てみると、スライム化したお餅が。80度の設定でもダメなのですね。安いものでしたから品質も悪かったのかも知れません。
 そんな風に作ったお汁粉はあまり美味しくありませんでした。

 今日の写真は「ミズキンバイ」(2006.01.01沖縄県で撮影)
 水金梅と書きます。前橋の水田で見られるチョウジタデの仲間。本州でも見られるが、見たのは初めてでした。

【登場人物(人物以外も)を少しずつ紹介します】
ジル……自称22歳、本当は1300歳の吸血鬼。
    金髪碧眼で、見た人の理想の姿に見える。
    仲間にする約束を、稲作と交わしている。

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2006/01/11

鏡開き

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「いらっしゃいませ、沼田さん、お千代ちゃん、お梅ちゃん」
 いつもの気功教室3人組がやってきた。
「のどが渇いたからコーラでももらおうと思って」
 と、お梅ちゃん。
「湯冷めしちゃうよ、あたしはブレンド」
「わしはウインナコーヒー」
「湯冷め?」
「みんなで温泉に行ってきたんだよ」

「温泉!」
「おお、ジルちゃん来てたんだね」
 お千代ちゃんはジルのファンだ。
「俺もいるけど」
「ボクも!」
 いつもの3人もいつもの席に着いている。
「ジル君、珍しい物を食べているな」
「甘くて美味しいです」
 普段、店のメニューにないお汁粉。
「あれ?沼田さん食べてないんですか?今日は鏡開きですよ」
「そうだったかな」
「皆さんも如何ですか」
 店に飾ってあった大きい鏡餅を割ったのだ。細かく割れたものは、乾燥させて揚げてみよう。
「いっぱい食べてきたんだけどねぇ。でも美味しそうだねぇ」
 と、お梅ちゃん。
 〔月の光〕は甘味処と化した。

「温泉……」
「どした?」
「私も行きたいです」
「お前が?……目立ってしょうがねぇだろ」
「そういえば、ジルがここに来たばっかりの時、3人で温泉行ったね」
「行ってねぇぞ」
「絹さんと、ジルと、ボク」
「温泉は素敵です。あなたと同じ温かさになれるから」


 群馬県は掘ればどこでも出るんじゃないかと思うほど、温泉の多いところです。歩いていけるほど近所にも温泉施設ができ、行こう行こうと思っている間に1年以上経ってしまいました。先日そこに行ってみました。平日というのに混んでいる理由は、清潔感があり、10種類もの浴槽があり、100%源泉掛け流しの露天風呂もあるからでしょう。

 今日の写真は「シリケンイモリ」(2006.01.01沖縄県で撮影)
 手裏剣ではなく尻剣井守です。奄美大島、徳之島、沖縄島、渡嘉敷島に分布。
 ニホンイモリと比べると尾が長く尖っています。肝心の尾が写っていない写真ですが一番器量好しに写っていたので。チャームポイントは赤いお腹。
 雨上がりの林道でたくさん出会いました。こういう生き物が普通に道路を歩いているっていいですね。
 林道には、ヤンバルクイナ、リュウキュウヤマガメ、イボイモリの横断に注意の看板が立っていましたが、この三種には会えませんでした。 

【登場人物(人物以外も)を少しずつ紹介します】
沼田さん……〔月の光〕の常連で、稲作の拳法の師匠。
お千代ちゃん……知恵袋的存在の細身のおばあちゃん。沼田さんの気功の生徒。
お梅ちゃん……料理上手なふくよかなおばあちゃん。沼田さんの気功の生徒。

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2006/01/10

初市

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「どうだ?」
 ジルは山積みのだるまに、妙は出店の食べ物に目を奪われている。
 1月9日。稲作は、このだるま売りと様々な物が売られている露天の続く初市を、二人に見せてやりたくて連れてきた。子供達には、だるま市として親しまれている。
「凄い凄い、何食べようかな」
「この人形を買うのですか」
「だるまって言うんだ。うちも一応客商売だからな。一つ飾ろうかと思って。……見て見ろ、高崎のだるまは眉が鶴、髭は亀になってるんだぜ。‘縁起達磨の少林山’って言ってな」
 前橋市の初市で売られているのは隣の高崎市の名産‘高崎達磨’だ。つい、上毛かるたの‘え=縁起達磨の少林山’が口をついて出てしまうのは、群馬県民の証。
「あまり大きすぎない方がいいな」
「そんなに値段が変わりませんが」
 素朴な疑問を持つジル。たしかにその通りだ。店や値切り方によって同じ値段でも大きさが変わる。
「毎年少しずつ大きいだるまに買い換えなきゃ何ねぇからな。……うん、これにしよう」
「なぜ?毎年」
「わかんねぇ。そう言う決まりなんだ」
 1年飾り終えただるまは、目を入れて近所の神社で焚いてもらうのだ。
「これ、いくらで売る?」
 売り手との値段交渉も、普段そういった習慣がない群馬県民にとっては楽しい。
「4000円」
「もう少し安くなんねぇか?」
「じゃ、3500円」
「もうひとこえ」
「初めて買うのです。もう少し安くしていただけませんか?」
 と、ジル。
「しょうがない!そんな目で見られちゃなぁ。3000円でいいよ!」
 露天商は、ジルの微笑みに赤くなっている。

「おい、ジル、だるまは縁起物なんだぜ。おかしな手を使ったんじゃ――」
「そんなことはしませんよ。あのご主人は絹さんと同じ、私の目の色が気になってしまったようです」
「あぁよかった。はぐれちゃったかと思ったけど、稲作の頭が見えたから」
 たこ焼きとみかん飴を持った妙が追い付いてきた。

 
 一昨日は県民探鳥会の後、軽井沢へ。
 この寒さでもアウトレットの駐車場は混んでいるようでした。アウトレットに行ったのではなく、前を通って自然観察の森へ行ったのです。オオマシコに会えたらと。今年はオオマシコどころかベニマシコ、アトリも見られませんでした。
 オオマシコ(大猿子)は全身が赤く、銀色の髭を蓄えた美しい小鳥です。興味がある方はネットで検索して見て下さい。
 昨日は埼玉県の北本自然観察公園へ。
 デジスコ写真を撮る人の多さにビックリ。みんなベニマシコ狙いのようでした。
 僕たちのお目当てはアリスイ。小さな茶色いキツツキの仲間です。
 アリスイは運良く見られ、遠くながらもベニマシコも見ることが出来ました。この公園の鳥は人を恐れず、シジュウカラ、ヤマガラ、コゲラをすぐ近くで見ることが出来ました。
 
 今日の写真は「ノスリ」(2006.01.09埼玉県で撮影)
 近くにノスリがいました。カラスくらいの大きさの猛禽類です。脅かさないように通ったつもりが飛び立ってしまい、ごめんね~っと思ったら、目の前の木に止まり、写真を撮っても逃げませんでした。

【登場人物(人物以外も)を少しずつ紹介します】
ジル……自称22歳、本当は1300歳の吸血鬼。
    金髪碧眼で、見た人の理想の姿に見える。
    仲間にする約束を、稲作と交わしている。

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2006/01/07

七草粥

PICT00841
「いらっしゃいませ」
 いつもの3人がやってきた。
 喫茶店〔月の光〕。
「妙ちゃん、七草粥食べる?」
 返事は決まっているけれど一応聞いてみる。
「食べる!!」
「今日のモーニングサービスに出した残りなんだけど」
「何ですか?ナナクサガユ」
「あれ?稲さんジルちゃんに食べさせてあげなかったの?」
「忘れてた。今日だったっけ」
 若い世代の割に、そう言うことにうるさい稲作が忘れるなんて珍しい。〔月の光〕で季節の行事をするようになったのは彼の影響だ。
「二人もどうぞ」

 稲作は出されたお粥をかき回して、材料を確認している。
「餅が入っている」
「僕の家のは入ってたから」
「ホトケノザは大丈夫だろうな」
「もちろんだ」
「どこで摘んだ」
「河原の土手」
「!?」
「……って言うのはウソ。心配ないはずだ。スーパーで買った七草粥セットの野菜を入れたんだから」
 以前、七草のホトケノザを、早春に土手でピンクの絨毯を敷くホトケノザと思い込んでいて、彼に笑われたことがあるのだ。
「へーえ、つまんねぇなぁ、そんなもんまで売ってんのか」

 
 昨日の続きです。観光で訪れたのは首里城とひめゆりの塔でした。
 首里城はこちらでは見られない朱赤のお城で、城内は金ぴかで漆の匂いで満ちていました。
 ひめゆりの塔と資料館を訪れました。戦争を知らない僕らは、しっかりと見て、二度と同じ過ちを繰り返さないことを誓わなければなりません。

 さて、今日に戻って「七草粥セット」。3年連続でスーパーのパックを買っています。
 お目当てはホトケノザことコオニタビラコです。
 3年前、根が付いていたので植えてみたら花が咲きました。
 去年も成功。
 今年は?
 それにしても、スーパーで根が元気そうなコオニタビラコを求めてパックをひっくり返して調べるなんて、妖しい行動ですね。

 今日の写真は「ルリハコベ」(2006.01.01沖縄県で撮影)
 瑠璃繁縷と書きます。群馬に住む僕にとって憧れの青いハコベです。
 伊豆諸島、紀伊半島、四国、九州、沖縄と暖かい地方でしか見られないからです。本来はハコベと同じく早春に咲くのですが、ほんの数輪咲いていてくれました。

【登場人物を少しずつ紹介します】
広木稲作……当店のワイルド系担当。便利屋のような私立探偵。
      年齢20代半ば。190㎝の長身、色黒で猛犬顔。
      義理人情に厚い上州男児。
      誰にも言えない2つの秘密を、ジルと共有している。

☆お知らせ―明日・明後日 喫茶店〔月の光〕は臨時休業させていただきます☆

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2006/01/06

おみくじ

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「正しい拝み方はわかんねぇけど、お賽銭を投げて、鈴を鳴らして拝め。十字を切るんじゃねえぞ、前のヤツのを良く見てろ」
「何を拝めばいいのでしょう」
「願いを叶えたいことで良いと思うぜ」
「私の願いは――」
「口に出していうな。心の中で唱えろ」
「変な二人」
 稲作とジルのやり取りを見ていた妙が言った。すっかり機嫌が直っている。
 三が日の総社神社は初詣客で長蛇の列だ。
 頭上で聞き慣れない鳴き声がする。
「あれが絹さんが言っていたインコだね。可愛いじゃない。順番を待つ間の暇つぶしになるね」
 ワカケホンセイインコはケヤキの木に止まって枝をかじっている。冬芽でも食べているのだろうか。
「あれはいい、空いている時に訪れて友だちになりたい」
 今年はオナガだけじゃなく、インコに追い回されることになるのか……。

「何食べようかな」
 妙は出店の方を見ながら言う。
「後だ。おみくじ引いてから」
「何仕切ってるの。稲作とおみくじって似合わないよ」
「悪かったな」
 俺は縁起を担ぐのが好きなのだ。

「やったー!大吉!良縁あり、失せ物は見つかる、家を建てるのも良いって」
「俺は末吉。運気は後半が良いようだ」
 毎年ドキドキするこの瞬間。末吉でも一安心。
「私は……漢字が読めません」
「どれどれ――気にするな。確率の問題だ」
「何です?」
 ジルが引いたおみくじは凶。ま、そう言うこともある。
「次は八幡様にするか?それとも東照宮?」
「ハシゴする気?」
 出店の何かを食べる気満々だった妙は不満そうだ。
「だって――」
 ジルはおみくじの結果を気にしているようなのだ。

 3カ所回って全部凶と言うのもなかなかどうして、掛ける言葉が見つからない。
 そんなことは気にならない妙は、我慢出来ずに出店に綿菓子を買いに行ってしまった。
「気にするな」
「いいえ、日本の神様は素晴らしい。正体を見抜かれたようで恐いです。やはり人にとっての私は災いの元ですから」
 ジルは、目を青く輝かせて言った。
 そうじゃない、おみくじに書かれているのは引いた本人が注意することなのだ。
 3回とも恋愛らんに女難(男難)あり、と書かれていたことが気になる。


 沖縄の旅はほとんどが探鳥目的でしたが、初日だけは観光をしました。
 お昼にはソーキそば。大¥650、小¥550、ジューシー付き、とありました。
 お腹があまり空いていないから、小でいいや、ジューシーって何だろう?と注文すると、始めに炊き込みご飯が。ジューシーって肉や野菜が入った炊き込みご飯のことだったのです。初めてのジューシーとっても美味しかったです。もちろんおそばも。
 それにしても、どうぞって出されたヨモギの生葉は、どのような食べ方をするものだったのでしょうか。

 今日の写真は「シラタマカズラ」(2005.12.31沖縄県で撮影)
 和歌山県南部・四国南部・九州南部以南。
 白い花が咲いている!と思って車を止めると、白い実をつける植物でした。名前がわからないので写真を撮って後で調べました。
 方言名はワラベナカセ。外見は強そうな蔓ですが、もろくて、子供がこれで薪をくくると、直ぐに切れて泣いたことに由来するのだそうです。

【登場人物(人物以外も)を少しずつ紹介します】
ジル……自称22歳、本当は1300歳の吸血鬼。
    金髪碧眼で、見た人の理想の姿に見える。
    仲間にする約束を、稲作と交わしている。

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2006/01/05

猫にまたたび、妙ちゃんに――

PICT00101
「ところで、妙ちゃんは?」
「後から来る」

 ……1時間後。
「妙ちゃんどうしたんだろうねぇ」
「みんなで初詣行こうって誘ったんだ。ジルは行ったことねえから」
「どこ行くの?」
「総社神社」
「いいねぇ。あそこにはワカケホンセイインコが繁殖しているんだ。行ったら木の上も見てみるといいよ」
「なんだ?そりゃ」
「緑色の大きいインコだよ。南国の鳥だから寒い群馬で繁殖しているのは珍しいんだ」
「お待たせ!!」
 と、妙ちゃん登場。艶やかな紅の振り袖、髪も美しくセットされている。
「おお、妙ちゃん、美しいですね、その着物」
「いつ着られなくなるかわからないからね」
「なぜ、着られなくなるのですか?」
「ジルちゃん、振り袖は独身女性が着る物なんだ」
「電撃結婚したら着られなくなっちゃうでしょ」
「そんな相手がいるのか?それにしても馬子にも衣装とはこのことだな」
「何よ」
 僕らはこの時点で妙ちゃんの頬がピクピクしていることに気付かなかった。
「本当に綺麗な着物だね」
 僕のこの一言がとどめを刺してしまった。
「にゃう~!!何よ!みんなして着物着物って!」
 え!?
「何時間かかったと思ってるのよ!メイクしてヘアセットして着付けして!!」
「うわ~ぁ、ごめんごめん、た、妙ちゃんが綺麗なのは当たり前なことだから、あえて言わなかったんだよ。ねえ、みんな」
「そうだぜ」
「もちろんです」
「も~う、今更遅い!!」

「どうしよう、どうしよう、怒ってる」
「私がなだめましょうか?」
「お前じゃ後がごちゃごちゃするぜ。……そうだ、朝早くから床屋に行ってたんだろ?」
 3人の男達は、額を寄せ合って対策を練る。
「美容室だ」
「腹減ってんじゃねぇのか?」
「それだ!」

「ねえ、妙ちゃん、お年玉代わりと言ってはなんなんだけど、食べてくれる?」
 そっと差し出したそれを見た妙ちゃん、ぷうっと膨らんでいたほっぺが一瞬にして笑顔に変わった。
 イチゴたっぷりの特製フルーツパフェ。


 昨日は妙義山(みょうぎさん)にある妙義湖に行って来ました。
 近年では珍しく、オシドリがたくさん来ていました。雄の羽根の美しさはご存じの通りで堪能してきました。他には遠かったのですが、クマタカを見ることが出来、ごま塩頭をハードに立てたヤマセミにも会うことが出来ました。
 そうそう、妙ちゃんの妙の字はこの山からいただきました。

 今日の写真は「タチアワユキセンダングサ」(2005.12.30沖縄県で撮影)
 立泡雪栴檀草と書きます。この季節だというのに、道ばた、空き地、至る所で白い花を咲かせていました。四国、薩南諸島、沖縄など暖かい地方で見られるコセンダングサの変種です。白い舌状花があるだけでとても派手ですね。これだったら綺麗で道ばたに生えていても良いなぁと思いますが、種はあの迷惑なひっつき虫です。

【登場人物を少しずつ紹介します】
僕(絹)……喫茶店〔月の光〕のマスター。年齢40代半ば。
      何度会っても思い出せないような無個性な人。
      気弱で自然観察好き。筆者の分身で、筆者よりお人好し。

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2006/01/03

明けましておめでとうございます

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「いらっしゃいませ、稲さん、ジルちゃん。明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「無事帰ったな。どうだった?」
「相変わらずだよ。ひたすら鳥見の旅さ。……それ、お土産。食べてて、コーヒー淹れるから」
 店を開けても正月3日に来る客は少ない。彼ら常連くらいだ。

「あっ、ジル、食べろと言ったのはそれじゃねぇと思うぜ」
「?」
「美味いか?」
「甘いお菓子の味がしますが……」
 テーブルの上に丸めた団子が置いてある。ジルは止める間もなく口に入れてしまった。
「そうなんだ、焼く前の生の味がするはずだ。バードケーキだっけな」
「鶏肉が入ってるのですか?」

「!!――ごめんなさい、ジルちゃん。えさ台に置くつもりだったのに忘れてた」
「新年早々ぼけてるなよ」
「お腹、壊さないかな」
「俺には、大丈夫だと言ったくせに」
「君とジルちゃんは違うもの」
「ところで、バードケーキとは何ですか?」
「鳥のエサだ」
「以外です。あなたがそんなこと知ってるなんて」
「俺も去年間違えて食ったんだ」
 こんなふうに喫茶店〔月の光〕の新しい1年はのんびりと始まる。

 
 新年明けましておめでとうございます。
 皆さんは、どんなお正月をお過ごしですか。
 今年も喫茶店〔月の光〕をよろしくお願いします。

 沖縄本島4日間の旅で確認出来た鳥は68種。初見は4種でした。
 初見の4種は、ノグチゲラ、アカヒゲ、ヤマシギ、ソリハシセイタカシギです。
 この旅の最大の目的、ヤンバルクイナには会うことが出来ませんでした。またおいで、ということなのだと思います。

 *バードケーキとは。
 小麦粉5:ラード2:砂糖1をよく混ぜてこね、お団子型に丸めた物。松ぼっくりにくっつけて、木の枝に吊してもいいのです。
 動物系の餌を好む小鳥たちには、人気のメニューです。

 今日の写真は「ヤンバルの森」(2006.01.01沖縄県で撮影)
 ヒカゲヘゴなど巨大シダが混ざる森は、いかにも南国の森です。この深い森のどこかに、ヤンバルクイナが暮らしているのです。
 今日からしばらく春の花の復習を中断して、沖縄で出会った動植物を紹介します。

【登場人物(人物以外も)を少しずつ紹介します】
喫茶店〔月の光〕……どこかにあるかも知れない
          大きな川の畔に建つログハウス風の喫茶店。
          僕らをもっと知りたい方はHPをご覧下さい。

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