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2005/12/09

クラムボン

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「何なのよ。……私が入り込む隙間なんて無いじゃない」
 稲作は上の空で送ってくれた。けど、部屋に一人でいる事が寂しくなって、結局ここに来てしまった。

 喫茶店〔月の光〕。
「いらっしゃいませ、妙ちゃん。どうしたの?」
「お腹空いちゃったから、また来ちゃった。なんか暖かいのちょうだい」
「遅いから、軽いものにしようね。シフォンケーキとカフェオレでどう?用意が出来るまでこれ食べてて」
「梨?」
「大きいでしょ、新高梨だよ。熟し過ぎてアルコール臭がし始めちゃった」
「美味しいよ」
「よかった」
 妙ちゃんは大きな1欠けをサクサク音をさせて食べている。
「……さっきねぇ、稲作の家に行ったんだ。そしたらジルが帰って来てて」
「帰って来たんだ。稲さん嬉しそうだったでしょ」
「だから居場所が無くて、帰って来ちゃった」
 僕は、そんなに遠慮しなくても、という言葉をなぜか飲み込んでしまった。 


 インターネットは便利ですね。
 調べたいことが打ち込むだけで直ぐにわかりますから。
 僕は、熟し過ぎて発酵しだした果物を食べるとこの言葉を思い出すのです。
 クラムボンはわらつたよ。
 小学校の時、教科書に載っていた宮沢賢治の短編です。
 カニの親子が出てくることと、最後の方の流れてきた梨が沈んでお酒になるというくだりしか覚えていないのですが、何故かこの言葉を思い出してしまうのです。
 調べてみたら、題名は「やまなし」でした。何十年ぶりに読みました。
 クラムボンという言葉には諸説あるそうです。
 僕は謎のままがいいなぁ。
 
 今日の写真は「ケンポナシ」(2005.12.04宮城県で撮影)
 玄圃梨と書きます。写真は今までと同じ宮城県、田んぼのあぜ道を歩いている時でした。前の晩に降った雪の上に落ちている実を見つけた仲間が教えてくれました。一度味わってみたかった木の実でした。見上げてみると、大きな大きな木です。葉は全て落ちて、写真のような実が枝に付いていました。
 落ちている実を言われた通りにかじってみると、甘くて少し発酵臭がしていました。一人の仲間が側に落ちていた棒で、届く所の枝を叩いて実を落としてくれました。かじってみると、発酵臭はなく、強い甘みと少しの渋みを感じました。梨の香りは判りませんでした。
 さっきから、実といっていますが、実際にかじったところは実ではありません。写真の丸い部分が実で、食べられるところは、折ってある緑色の部分。花の軸のところです。
 梨という名前が付いていますが、ケンポナシはクロウメモドキ科ケンポナシ属。梨はバラ科ナシ属です。

 今日の、私の幻燈はこれでおしまひであります。
 
【登場人物を少しずつ紹介します】
僕(絹)……喫茶店〔月の光〕のマスター。年齢40代半ば。
      何度会っても思い出せないような無個性な人。
      気弱で自然観察好き。筆者の分身で、筆者よりお人好し。

☆お知らせ☆―明日、喫茶店〔月の光〕は臨時休業させていただきます―

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コメント

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投稿: Addison | 2014/01/22 16:23

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