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2005/11/24

冷たく柔らかい頬

PICT01711
「ただいま……」
 部屋の中は静まりかえっている。
 まだ出迎えも返事もないか。
「ただいま」
 稲作は着替えもせずに、まずは彼の部屋に行く。
 麗華が飾った青い薔薇の位置、布団のしわ、眠りについた日のままで横たわっている。 あれから10日、ジルはまだ目を覚まさない。
 俺は寝相が悪いから、朝起きて布団が掛かっていたことがないのに。
 俺ほどでなくてもいいから、
「寝返りぐらい打ってくれればなぁ……」
 そっとドアを閉めて居間に行く。何だか飲みたい気分だ。この前麗華が持ってきた酒が残っていたはず。俺は、飲み残しのブランデーを見つけて、カップに満たした。

 もう一度、ジルの部屋に戻った。
 酔わない酒を飲み干して、眠っているジルを見る。
 もしもあの時、俺と出会っていなかったら、こんな安アパートの6畳間で眠る羽目にはならなかっただろうに……。
 あの頃のジルは、夜な夜な映画の中でしか見たことがないような、貴族の社交パーティーに呼ばれ、時々美女から食料を調達しては楽しくやっていたのだ。あのまま、ああいう社会から縁を切らずにいれば、今頃は彼に魅せられた金持ちの貴族の末裔か、彼のような種族に好意的な好事家に、城の一部屋も提供してもらって快適な眠りにつけているかも知れない。
 ここにジルが訪ねて来るまで、あの時のことは夢の中の出来事だと忘れていたのだ。
「こうなっちまったもんは、仕方ねぇよなぁ」
 稲作は、ジルの冷たく柔らかい頬に、そっと触れてみた。


 昨日はサボってしまってすみませんでした。どうしてもお話が浮かばない事ってあるのです。その上今日はココログのメンテで15時まで使えないということで、こんな時間になってしまいました。
 
 今日の写真は「アカネスミレ」(2005.11.23群馬県で撮影)
 この寒さの中咲いていました。茜菫です。名前の由来は花の色からです。
 スミレが咲く季節が待ち遠しいですね。
 明日からは春を待ちながら少しずつ春の花を紹介していきましょう。自分の復習も兼ねて。

【登場人物(人物以外も)を少しずつ紹介します】
ジル……自称22歳、本当は1300歳の吸血鬼。
    金髪碧眼で、見た人の理想の姿に見える。
    仲間にする約束を、稲作と交わしている。

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コメント

この季節でもスミレが咲くんですねぇ。
たしかに、春が待ち遠しいです。
年末は2年続けて南の島に行ったんですが、今年はむずかしそう。

投稿: mido | 2005/11/25 01:26

いらっしゃいませ、midoさん。

2年続けて南の島、いいですねぇ。
海外ですか?
今年は南じゃないところへお出かけでしょうか。

投稿: | 2005/11/25 20:31

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