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2005/10/03

本音

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「いらっしゃいませ、妙ちゃん、ついさっきまでジルちゃんがいたのだけれど、稲さんを迎えに行くって帰ったんだ。追い掛ければまだ間に合うかも知れない」
「いいよ、夕飯食べに来ただけだから。稲作とはさっきまで仕事で一緒だったし」
 ふと、思い出した。この三人、昔の稲作、智紘、春菜の関係に似ている。稲作の恋人だった春菜は、いつも智紘の次に自分を置いていた。だから二人の仲は破綻してしまったのだ。
「ねえ、妙ちゃん。稲さんのこと、好きなんだよね?」
「いやだなぁ、何言ってるの?あらためて言われると恥ずかしいよ」
「ごめんね。ジルちゃんに遠慮しているのかな、って思ったものだから」
「遠慮なんかしてないよ。……でもね、何か割り込めない所があるんだよね、あの二人の間って……」

 目覚めたら、幻覚に襲われるのだろうか。
 本当に、しょうがない人だ。
 だからこそ、私はこうして稲作の傍にいる。彼は、この私にさえ何の躊躇いもなく与えてくれ、渇きを癒してくれたのだ。
「ん?」
 事務所。ソファ兼ベッドの上で彼は目を開けた。
「目が覚めましたか」
「智紘?」
「私は智紘ではありません。まだ戻りませんか。何か飲みますか」
 目が据わっている。酒に酔わない彼の、泥酔状態を初めて見た。
「ジル!!」
 飛び起きた稲作は、私を突き飛ばした。普段のような抑制がきいていない。私は壁まで飛ばされた。大きな手が私の首を掴んで壁に押さえつける。震えが伝わってくるのはキノコの作用。身体が痙攣している。
 ベニテングタケは幻覚を見たり精神が錯乱する。その昔シャーマンが儀式に使ったりもした。
「一度やってみたかった!やっぱり死なねぇのか!」
 大きく見開かれた目が私を見詰める。尋常ではない。彼の本音を訊きだしてみようか。
 今度は私が彼を突き飛ばした。しりもちを付いている彼に問う。
「私を消したいのですか」
「わかんねぇ!」
「仲間になりたくないのでしょう」
 私は彼の傍に座り、彼の髪を撫でながら言った。
「違う!」
「それでは、妙ちゃんのことはどうするのですか」
「――妙は、そのうち俺を卒業する。してくんなきゃ困る!」
「田舎のご家族やこの町の皆さんを悲しませることになりますよ」
「――俺は、誰よりも長生きする!そうすれば誰も俺を知らなくなる――」
「試してみませんか」
 私は、銀の短剣を差しだした。
「何をする気だ」
「これで胸を貫けば、私は消えて無くなるはずです」
「はずだと?」 
「試したことがありません。さあ」
「いやだ」
「なぜです」
「わかんねぇ。……今のままがいいんだ、ずっと、今のままが」
 先のことを考えられない可哀想な人。愛おしい人。
 唇をいただこうか。
「うっぷ!」
 稲作は、私を払い退けると、トイレに駆け込んだ後、昏倒した。


 中毒の話を書きながら、きのこ狩りときのこ汁を堪能してきました。入れたキノコはハナイグチ、ナラタケとたくさんの野菜。食べる時間には辺りは真っ暗。正に闇鍋状態でした。口に入った感触で、このにゅるにゅる感はハナイグチ、なんて考えながら食べるのもまた一興でした。
 今回はナラタケの見分けを教えていただきました。聞いている時はわかるのですが、自分たちだけで鑑定して食べる勇気がなかなか湧かないキノコの一つです。

 一昨日、昼メロのお話の中で「デザイナー」の話が出ました。新聞を見てびっくり。今日から始まりましたね。これだったら舞台は日本、流行の韓流ドラマみたいですからいいかも知れません。一条ゆかりさん物は視聴率がいいのでしょうか。
 主人公はマンガから抜け出してきたような瞳の大きな女の子ですね。朱鷺さんの真っ白なスーツと教育係の長髪が笑えました。
 こちらは原作を読んでいるので違った楽しみ方が出来そうです。
 
 今日の写真は「ツリバナ」(2005.10.01群馬県で撮影)
 くす玉を割ったような、吊花の実です。花は小さくて目立ちませんが秋の実は可愛くて綺麗ですね。

【登場人物(人物以外も)を少しずつ紹介します】
喫茶店〔月の光〕……どこかにあるかも知れない
          大きな川の畔に建つログハウス風の喫茶店。
          僕らをもっと知りたい方はHPをご覧下さい。

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» ベニテングタケ−1 [アヴァンギャルド精神世界]
秋は、きのこの季節。ベニテングタケは、白樺、カラマツ、もみの根もとに生え、ユーラシア大陸と本米大陸に分布している。 シベリアでは小さくて強力なベニテングタケは、きつい肉体労働の時の興奮剤として用いられ、あるチュクチ族によると、老婆が30キロ走っても死なないほどであるという。 またロシアの人類学者ウラジミール・ボゴラスと共に旅をしていたシベリア人男性は、このきのこを食べると、喜々としてスノ�... [続きを読む]

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