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2005/10/21

逃走

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 俺は途中自販機で買った温かいコーヒーを昌子に渡した。
「サンキュ」
「たまにはバイクもいいだろ?」
「あぁ、久しぶりだ。いつもこんな無茶な走りしてんのかい」
「今日は特別だ。族上がりのおねえを満足させるには、このぐれぇしねぇとな」
「族じゃねえ。ヘッドの女だっただけだ」
 だけ?昌子らしい。
 ここは赤城山の中腹。ちょっと開けていて見晴らしが良い場所にバイクを止めた。
 なるべく細い悪路を選んで突っ走ってきたのだ。妖しい車は付いてこないところを見ると完全にまいたようだ。ぴょん太も付いてきていないがバイクに発信器は付いたままだ。
「黙って見張らせてるのか?」
「普段は気にしやしないさ――」
 息抜きは必要なかったか。昌子はそんなことを気にするような女じゃなかった。
「けど、あんたといるところは見られたくないね。何するかわかんない。さっきみたいなことや、こんな事を平気でする」
 昌子にボディーガードを付けているのは石坂和哉。覚えているだろうか。〔月の光〕に時々息抜きにやってくる、地元のやくざ石坂組の若き組長だ(6/6サメと子犬)。
 5年前。智紘の最期を看取ったのは昌子。それを見届けたのは和哉だった。
 和哉はあの時から昌子に思いを寄せているが、彼女の気性をわかっているのか強引な手段をとらないでいる。
「このまま、どっかへ逃げようか……あんたとだったらどこででも生きていける」


 今日の写真は「ミヤマウメモドキ」(2005.10.15長野県で撮影)
 深山梅擬と書きます。別名・ホソバウメモドキ。東北地方、中部地方~近畿地方日本海側の湿地に生える木です。
 もっと秋が深まると枯れた葉が落ち、枯れ木に赤い実の花が咲いたように見えます。
 撮影場所の群生地、唐花見湿原ではこれからが見頃になるでしょう。 

【登場人物を少しずつ紹介します】
森本智紘……店に飾られた肖像画の主。
      22歳で早世した〔月の光〕常連で、稲作の親友。
      彼の亡くなり方がみんなの心に影を落としている。

☆お知らせ☆―明日明後日、喫茶店〔月の光〕は臨時休業させていただきます―

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