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2005/10/07

想い出の味

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「絹さん、いいもん持ってきたぜ」
 いつもの通りスーパーのレジ袋に入れて稲作が持って〔月の光〕にやってきた。
「ギンナンだね、それとクルミ」
 ギンナンはきちんと下処理してあり、クルミは中身が出してある。
「公園と河原で拾ってきたんだ。午後はオフだったから」
 オフというと聞こえがいいが、ただ仕事がなかっただけのような気もする。
 彼がギンナンやクルミをしゃがんで拾っている姿を想像してしまった。色黒、長髪、まるで原始人だ。
「何笑ってるんだ?ギンナン炒ろうぜ」
 炒ったギンナンを割ると、半透明に見える美しい緑色。
「綺麗だね」
「ああ、美味いな。……なあ、絹さん。頼みがあるんだけど」
「なあに?」
 
 2時間後。
「なになに?香ばしい匂い!」
 匂いに誘われて妙ちゃんがやってきた。
「いらっしゃいませ、妙ちゃん。クルミのケーキだよ」
「絹さん、一番良いところを一切れ皿に載せてくれ。好物だったんだよ、お袋さんが作ったクルミのケーキが」
 稲作は、店に飾られた智紘の肖像画にケーキを供えた。
「そうなんだ。……ボクは、キミのことをぜんぜん知らない。会っていれば、きっと仲良しになっていたのに」
 妙ちゃんは、自分とよく似た肖像画に話し掛けた。
「このケーキに入れてもらったオニグルミは、俺と智紘が友だちになった切っ掛けなんだ」


 今の季節、必ずニュースでスズメバチの話題が出ますね。
 彼らはクマが天敵なのだそうです。クマのような黒っぽい色の服装は避け、白い帽子をかぶり、香水に反応するので付けるのは止めましょう。
 植物観察を趣味にしていると、ちょっとした林を歩くだけでもスズメバチに遭遇することがあります。独特の低い羽音で近付かれると、思わず首をすくめてしまいます。羽音が聞こえたら、急な動きをせずにそっとその場を離れる事にしています。
 先日も、ヤマノイモのムカゴを見つけ、夢中で採っていたら、周りを飛び回られ、途中であきらめて帰りました。飛んでいたのは民家の近くに丸い巣を作る黄色スズメバチではなく、一回り大きくてオレンジと青のはっきりした色のコントラストのオオスズメバチでした。綺麗ですが恐いハチです。その時、少しだけ採れたムカゴは塩ゆでにしていただきました。 
 
 今日の写真は「チョウジタデ」(2005.09.19群馬県で撮影)
 丁字蓼と書きます。花が丁字に、葉が蓼に似ているからだそうです。
 田んぼにたくさん咲いていますが、花が小さいので目立ちません。

【登場人物を少しずつ紹介します】
森本智紘……店に飾られた肖像画の主。
      22歳で早世した〔月の光〕常連で、稲作の親友。
      彼の亡くなり方がみんなの心に影を落としている。

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