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2005/03/31

逢える場所に

「何をしているのですか」
 いつものように背後から声を掛けられて、飛び上がりそうになる僕。
 悪いことはしていないのに。
 埋葬。
 昨日見つけた戸袋にいたムクドリを埋めていたのだ。
 昨日の経緯をジルに話した。
「そうですか。……ここだったら寂しくないかも知れませんね」
 埋め終わった僕は、立ち上がってえさ台を見た。
 えさ台が見える場所。
 連れ合いが、リンゴやパンを食べに来る様子を見ることが出来るだろう。

「私も、灰になったらここに撒いていただけませんか」
「ジルちゃん、先に死ぬのは僕の方だよ。人には順番というものがある」
「わかりませんよ。今の世の中は、いつ何が起こるかわからない」


 鳥や植物に人と同じ感情はないのかも知れません。
 でも、あるのかも知れないと思いながら日々を暮らしていきたいと思うのです。

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2005/03/30

戸袋にムクドリ

 去年は、雨戸の戸袋にムクドリに巣を作られてしまい、ヒナが孵ってしまったので巣立つまで我慢しました。
 なにを我慢したのかって?
 戸袋を伝って巣に発生したダニが部屋の中に侵入しだしたのです。サッシの窓枠に小さく蠢くダニ。ムクドリたちが巣立つのを待って大掃除をしました。大きなレジ袋いっぱいの枯れ草が出てきました。戸袋に殺虫剤をまいて、家中の部屋でバルサンを焚きましたっけ。
 
 今年は、巣を作られないように気を付けていたつもりでした。
 が、何だか窓の外がガサガサいっています。
 もう入られてしまいました。
 窓を開けると、ムクドリが戸袋の奥から息を潜めてこちらを見ています。まだ、巣作りをし始めたばかりのはず。可哀想ですが、出て行くのを待って出入り出来ないように塞いでしまうことにしました。
 数分後のぞいてみると、中には少しの枯れ草とムクドリの死骸がありました。死後そんなに日にちは経っていないようですが、堅く冷たくなっていたのでさっきの個体ではありません。

 彼(彼女)は死骸の傍らで何をしていたのでしょうか。
 去年のつがいの片割れだったのでしょうか。
 せっかく冬を乗り越えられたのに、諦めきれなかったのかも知れません。
 

「どうしたの?」
「恋の季節だね」
 〔月の光〕の庭のえさ台には、メジロ、シジュウカラのつがいが来ている。
 雄のキジバトは、つがいになりたくて、頭を上げたり下げたり、追いかけ回したり、必至の求愛ディスプレイ。
「面白い。彼女、全然その気無しじゃない?」
 キジバトの行動を面白がる妙ちゃん。

「ちわ~す」
 嬉しそうに出迎える妙ちゃんのディスプレイが、稲作に届く日は来るのか?

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2005/03/29

外に出たくありません

今日も強風が吹いています。
 日曜日の外出で、くしゃみ鼻水が止まらなくなってからどうもいけません。
 敏感になってしまったのか、飛散量がピークを迎えているせいなのか。洗濯物に付いている花粉にも反応してしまって、喉もかゆくてたまりません(ちょっとヒロシさん入ってます)。
 会社員時代は薬を飲んだりもしていましたが、どんな薬を飲んでみても喉の渇きと眠気の副作用が酷くて、結局は季節のせいだと言い聞かせてマスクやのど飴で自分を誤魔化すことにしていました。
 なぜなら……。


「ただの足し算なのに計算機を使っても、計算が合わなくなっちゃうんだよ。何回打っても間違えるっていうことは、違う数字を押しちゃうんだろうね」
「あんた、薬を飲まなくったってボーッとしているもんな」
「だから、なるべく飲みたくないんだけれど、ハックション、ハックション、ハックション……」
 僕は、くしゃみを5回した後鼻をかんだ。
「汚ねえな。……たしかに茶店のイメージダウンにはなる。食っている前で鼻をズルズルされたんじゃな」
 稲作は、ウスターソースをかけた大盛りのカレーライスを頬張っている。
 ジルは、隣でトマトジュースを飲んでいる。
「君たちが花粉を連れてきたんだ。さっきまで何ともなかったのに――」
 今度は、奥の部屋に鼻をかみに行く。

「稲作、絹さん喉が渇くって、誰かに血を吸われのではないですか?……私も時々渇くことがあるのです。気持ちを抑えることが辛いほどに」
 ジルは輝く青い瞳で稲作を見詰めたまま、トマトジュースを飲み干した。

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2005/03/28

スミレの季節

P32700391 昨日『祝!イーグルス初戦勝利』という題名で書いたら、昨日の試合は26失点。見ていなかったのが残念ですが、こんな思いも寄らない方法で驚かせてもらえるとは。
 期待されてないってことは、のびのびと出来るってこと。まだまだ先は長いのですから、選手の皆さん頑張って。

 昨日は、埼玉にカタクリに会いに行きました。写真はカタクリの花です。
 『カタクリ祭り』が開催されていて、込むことを覚悟で行ったら、群馬と違って群生地が広く、のんびりと見ることが出来ました。ここの所の寒さでまだ咲き始めたばかり。他には、アズマイチゲ・ニリンソウ・キバナノアマナ・ヤマネコノメソウなどが咲いていました。
 忘れてはいけないのがアオイスミレ。身近で一番早く咲くスミレです。目立たずにひっそりと咲いていました。スミレ観察の季節到来です。


「また今年も始めるんだな」
「何を始めるのですか?」
 今日は、稲作とジルが来ている。
「近所や公園をウロウロ歩き回って匂いを嗅ぐんだよな」
「犬みたいですね」
「稲さん、もう少し良い言い方出来ないかなぁ」
 事実だけど。
 どこにどんなスミレが咲くかわかっているから、散歩しながら観察するのだ。
「ジルちゃん、とっても良い香りのスミレもあるんだよ。今度一緒に散歩しようね」
「……」

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2005/03/27

祝!イーグルス初戦勝利

 去年は試合とは別のことでヤクルトの古田さんを応援しましたが、最近はプロ野球を見ていてワクワクすることがなくなってしまいました。
 昔は巨人が大好きだったのに、今は選手の顔と名前が一致しなくなってしまいました。
 今年は、イーグルスに頑張ってもらって、もう一度あのワクワク感を味わわせてもらいたいたいです。
 何せ、イヌワシは我々バードウォッチャーの憧れの鳥なのですから。

「判官びいきって訳か」
「NHKでもやってるしね」
「ってそりゃ違うだろ」
「それそれが思いを秘めて新球団に集まったのだから、きっと何かしてくれそうな気がするんだよ」
 昔は親子で野球を見ながら、こんな風に話したものだよね、稲さん。

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2005/03/26

黄色いおにぎり

「まいったな。今日は飯が余っていたからにぎりめしを持っていたんだけど――」
 カウンターに座った稲作の話によると、公園で食べていたら子供に欲しがられてあげてしまったのだそうだ。
「君が作ったおにぎりを欲しがるなんて、変わった子だね」
「悪かったな。子供が食ってるの見たお袋さんが、血相変えてやって来て‘うちに子に何食べさせてるんですか!!’なんて怒鳴られちまったぜ」
「失礼な話だね。気持ちはわからなくもないけれど」
「あんたも失礼だ。俺も一緒に食っていたんだから。子供が‘黄色いおにぎり、もっともっと’って泣くもんだから、残りの1個もやっちゃったんだ」
 だからここにランチを食べに来たのだと言った稲作は、ちょっと嬉しそうだ。
「黄色いおにぎり?」
「あのふきみそを塗ったにぎりめしだ。今の子供は、味噌を塗ったにぎりめしなんか食わねえのかなぁ。俺が子供の頃はおやつ代わりだったのに。……子供から少し取り上げて味見したお袋さんは、俺に作り方を聞きに来たぜ」
 稲作は、得意そうに言った。

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2005/03/25

〔月の光〕の守護神

「何やってんだ?」
 庭。
 後ろから声を掛けられて、僕はシャベルを持ったまま飛び上がりそうになった。
「脅かさないでよ、落としちゃうじゃないか」
 シャベルの上を見た稲作は、凄く嬉しそうな顔をした。
 まずい。
「へーえ、ここって、こんなのが居るんだ」
「駄目だからね」
「何が?」
「食べないでよ」
「食いたくても、ガマは食えねぇな。ウシガエルだったら食うけど」
 僕がシャベルに乗せて運んでいたのは、アズマヒキガエル。ガマガエルと呼ばれる、握り拳ほどある大きな土色のカエルだ。
「良かった。うちの守護神なんだ。越してきた時からここにいるの。たぶん僕が来るずっと前から」
 駐車場を歩いていたから、安全な場所に移そうとしていたのだ。
 庭木の足下に下ろしてやると、カエルはのそのそと歩いていく。
「駐車場には出てこないでね」
「カラスに食われるなよ!」
 彼までカエルに声を掛けている。


 毎年1,2回は庭で見かけるのです。
 この冬も無事に乗り越えてくれたんですね。

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2005/03/24

木蘭の涙

 町にハクモクレンが咲き始めました。


「これは、テンニンバナですね」
 ジルは、店に飾ってある大きな白い花を見て言った。
「テンニンバナ?」
「お店に来るお客様が教えてくれました。仕事が転任になる頃に咲く花だからテンニンバナ」
「なるほど、洒落ているね。本当はハクモクレンというんだ」
「今年もかけているのか。この曲……」
 珍しく、稲作は静に聞いている。
 スターダストレビューの『木蘭の涙』。
「止めようか?」
「いい、このままで」
 それぞれが、それぞれの思いで、店に掛けてある早世した智紘の肖像画を見た。
「ジルちゃんにもわかるの?」
「はい」
 若くて綺麗なジルも、辛い別れを経験しているのだろうか。
「こう見えても、こいつにも色々あるんだ。なぁ、ジル」
「また近いうちにこの歌のように――」
――あなたは嘘つきだね、私を置き去りに
「ならねえよ、心配するな」
「あなたは嘘つきだ」
 稲作の立場が、智紘の時と逆転していることを、僕が知るよしもない。

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2005/03/23

男の隠れ家

『メールくれましたよね?――あの、ここ最近アドレス帳に登録していないアドレスでメールが届くのですが、私のアドレスをご存知で送信されましたか?不思議に思いこのように返信してみたのですが…。』
 こんなメールが届きました。メルアドを間違えたのかと思って返信してしまいました。まだネットに慣れていなかった頃のことです。
 御察しの通り、変な業者に実在しているメルアドだと教えてしまいました。迷惑メールだったのです。
 それから来るわ来るわ。
 そんなうまい話があるか!という笑っちゃうような内容だったりします。理想のスリーサイズの若い女性が僕と遊んでくれた上、お小遣いまでくれるという。どう読んでも書いた人は男性だと思うような文章です。
 こちらが読めないのをいいことに、英語やハングル文字(おばさん狙いか?)のメールも来ませんか?

「気をつけろよ。あんたはカモがネギを背負って歩いているみたいなんだから」
 やったことを考えると否定出来ない。
 が。
「大丈夫だよ。変なサイトには絶対行かないから」
「言い切れるのか?」
「言い切れる」
「そんなに枯れちまってるのか。――しようがねえなぁ、出掛けるぜ。店閉めろ」
「え?」

 バイクの後ろに乗せられて連れて行かれた先は、伊勢崎市の幹線道路沿い。
「さあ、どこにする?」
 イメージクラブ〇〇〇、スーパー〇〇・男の隠れ家……。
「何て目立つ隠れ家なんだ……」
 僕はぽかんと口を開け、建ち並ぶ店を見回した。どこも派手なネオンや看板で飾られている。
「2時間したら迎えに来る。俺はこんなところに用はない。成功を祈る、アディオース!」
「待ってくれ~!!」
 ボーッと辺りを見回しているうちに、稲作は轟音と共に帰ってしまった。
 2時間、どうしたらいいんだ?
 映画館でも行ってみようか。

 今日は地元民にしかわからないローカルネタでした。
 僕が変なサイトやイメクラに行かないと言い切れる理由、お気付きですよね?
 判らない方はホームページのプロフィールをご覧下さい(笑)。

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2005/03/22

早春の味

「大猟、大猟!」
 パンパンに膨らんだスーパーの袋を下げた、稲作がやってきた。
「これなんだと思う?……台所貸してくれ」
 中身は生えたばかりの草の芽、といった感じ。黄緑色の綺麗な草だ。
 彼は大鍋に湯を沸かし、草をきれいに洗っている。
「これも、あるんだぜ」
 草の山から、10個ほどの緑の玉を探り出した。これは僕でも知っている。
 ふきのとう。
「味噌と砂糖と油を貸してくれ」
 
 さて、出来上がったものは、新鮮な緑色、山盛りの温野菜のサラダとふきみそ。
「食ってみな」
 恐る恐る口に入れてみると、マヨネーズをかけたサラダは甘くて美味しい。
「これ、何?」
「うめえだろ、ヤブカンゾウの若葉だよ」
 ヤブカンゾウは夏、川の土手などでオレンジ色の八重咲きの花を咲かせるユリ科の植物。
「こっちは言わなくてもわかるだろ?」
「美味しい!」
 刻んだふきのとうを味噌で炒めたふきみそは、苦みが利いた早春の味だ。
「半分置いていくから、晩酌にでも使いな」
 もちろん、稲作の注文は大盛りのライス。
 隣で一緒にご飯を掻き込みたくなってしまう。

 昨日は妙義山に行って来ました。ここ数年、イヌワシには会えなくなっていますが、湖ではオシドリ・ヤマセミを、妙義神社ではカヤクグリ見ることが出来ました。
 花は、キブシ・ダンコウバイは黄色に、フサザクラは濃い赤につぼみが色付き始めていました。

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2005/03/21

昨日はハイチュウ

 昨日はピンクの花、カタクリの自生地に行ってみました。つぼみは見られましたが、咲いている株はなく、1週間後くらいが見頃のようです。白い花のアズマイチゲは咲いていましたが、曇っていたために花は開いていませんでした。

 カタクリの後は、葦焼き前の渡良瀬遊水池へ。
 葦焼きは、今日予定されているようです。
 鷹見台からはコチョウゲンボウ、ノスリが見られました。チュウヒ、ハイチュウこと、ハイイロチュウヒには帰り際に葦原の上を飛ぶ姿を見ることが出来ました。グレーと黒のコントラストが美しく、見間違いようがないハイイロチュウヒはバードウォッチャーにとって憧れの鷹です。

 葦焼きが終わると、渡良瀬遊水池には一気に春が訪れます。
 広大な葦原(3300ha)の何処かで、タチスミレ、ミズアオイ、チョウジソウなどの今では見られなくなってしまった花たちがひっそりと咲きます。
 砂漠の何処かで眠っている井戸のように……。
 だから僕らは、何時か彼らに出会いたいと、遊水池に足を運んでしまうのです。


「わざわざ出掛けて行って、ただ見るだけっていうのがどうもな。何が楽しいんだかわかんねぇ」
 いつもの通り、稲作はコーヒーに大量のミルクと砂糖を入れてかき回しながら言った。
「それって、よく言われることだよ。バードウォッチングは記憶の趣味なんだ。車で道路を走っていて‘10年前、ここを走っていて○○○が前を横切った’何て事を覚えている人もいる。その近くで車を止めて辺りを観察すると、本当に○○○が側に止まっていて‘ほらね’なんて」
「やっぱりわかんねぇなぁ。釣りや山菜取りだったら、楽しいんだけどなぁ」
 趣味は人それぞれだから仕方ない。

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2005/03/20

続編あり?『ごくせん』

 終わってしまいましたね。もう毎週彼らに会えないと思うと寂しいです。前作同様、若者達には、今後の活躍を楽しみにさせていただきましょう。
 最後に教頭先生が味方に付いてくれたところが感動的でした。仲間さんと生瀬さんは『トリック』からの迷コンビですものね。
 前回『ごくせん』の事について書いた‘『ごくせん』は青田買い?’に付けていただいたトラックバックによると、仲間さんは続編にも意欲ありのようです。そう遠くないうちに、ヤンクミに再会出来る日が来るかも知れません。

「現実もドラマのように上手く行けばな……。俺達にはヤンクミは居なかった」
「君は立派に生活しているじゃないか」
「あいつは、あんな死に方をせずに済んだだろう」
 稲作は、店内に飾られている絵を見ながら言った。
 長めの巻き毛に繊細な横顔。肖像画は、色も褪せずに歳もとらずに年月を重ねている。

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2005/03/19

いちご苗と棚からぼた餅

 いちごの苗を植えました。花が咲いている苗もあったから、赤い実に会えるのもそう遠いことではないでしょう。
 一昨年、木イチゴの苗木も植えましたが、去年も一昨年も花が咲かず、新しい枝ばかり増えています。今年は咲いてくれるでしょうか。

「腹減った。けど、金無えんだ。ツケで食わせてくれ」
 稲作は、入ってくるなりそう言った。彼がツケで何て珍しい。余程せっぱ詰まっているのだろう。
「しょうがないねぇ、これをお食べ。また家に帰って詰め直してくるから、あげるよ」
 今日は、お千代ちゃんお梅ちゃんとジルが来店している。
 風呂敷で包まれた重箱をお梅ちゃんが開けると、中からは、ぎっしりと詰められた、美味しそうなおはぎ。
「いいのか?」
「ああ、いいよ。ジルちゃんも絹さんもどうぞ。これは、沼田さんに持ってってあげようと思ったんだけど、うちに帰ればまだたくさんあるから」
「うめえな、このぼた餅。手作りなんてなかなか食えねえもんな」
 手づかみで頬張っている稲作は、甘い物は苦手なのに、あんこ物だけは別なのだそうだ。
「稲作、私はこの食べ物を‘おはぎ’と教わりました」
 と、ジル。
「そうだよ、おはぎだ」
「夏は‘夜船’冬は‘北窓’と言うんだよ」
「そうなんですか?それは知りませんでした」
 さすがは、年の功のお千代ちゃん。春と秋のお彼岸でしか食べないから、夏と冬の名前は聞いたことがなかった。
「今は春だから、牡丹餅(ぼたもち)なんだよ、ジルちゃん。秋はお萩(おはぎ)。でも、今は一年中おはぎって言うねぇ」
「?」よくわからない様子のジル。
「そして、今の俺を‘棚からぼた餅’っていうんだぜ」
 ……小さな思いがけない幸運。

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2005/03/18

謎の転校生

 昨日の『富豪刑事』は喜久右衛門さんが大活躍でしたね。瀬崎様の純な恨みの理由が可愛らしかった。ラストのお札が舞飛ぶシーンは、最近の非現実的なマネーゲームを映像で見せてもらったみたいでしたね。

 子供の頃、NHKで「少年ドラマシリーズ」というのを放映していました。
 当時流行のSF小説のドラマ化です。
 『謎の転校生』『未来からの挑戦』『幕末未来人』等々。
 去年、アーカイブズ(だったかな?)で『謎の転校生』を放映しました。不安感をかき立てるようなオープニングテーマ曲が印象的な作品でした。
 次元ジプシーと呼ばれる人たちが、戦争のない平和な世界を求めて、地球にやってきます。彼らが、主人公の住むアパートの隣に引っ越してきて、転校してきます。転校生全員が、頭が良くて、異常な平和主義。彼らは、地球が自分たちが描いていた理想の世界と違うと考え、再び去っていきます。が、行った先は地球よりも酷く、命辛々戻ってきます。
 地域の人々も、学校も、彼らを受け入れ、主人公とお友達になったヤマザワノリオ君は仲間と共に地球に住む事に決め、大阪に引っ越して行きました。ロボットのようにしゃべるノリオ君の演技が記憶に残るドラマでした。
 異質な人々と知りながら、彼らを受け入れた日本の人たち。昔って良かったなぁ。
 なぜ、そんな事を思い出したのかというと、昨日から『富豪刑事』の話をしているからです。『謎の転校生』は眉村卓さんの作品ですが、筒井康隆さんの作品もあのシリーズでドラマ化されています。『タイムトラベラー』『七瀬ふたたび』などです。

 そして、ノリオ君と似ているから。
「誰が、ですか?」
「ジルちゃん、いらっしゃい」
 君がです。

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2005/03/17

焼畑暑の面々

 昨日の疑惑を更に晴らすためではありませんが、僕は深田恭子さんも好きです。彼女主演の『富豪刑事』が最終回を迎えますね。深田さん見たさに見始めたドラマでしたが、以前にも話したように、おじいさま喜久右衛門さんの魅力にはまりました。
 そして、焼畑暑の刑事達。ほとんどの人たちが性格俳優、強い個性の集まりです。1作品に一人いると、スパイスが利くところですが全員が濃い。濃い人たちがぶつかり合う、ドタバタを見ているのが楽しかったですね。ぜひ、パートⅡか同じメンバーが教師の学園ドラマを見てみたいです。
 今日は、新旧『愛のメモリー』対決。むかしむかし、初めて松崎しげるさんの愛のメモリーを聞いた時は衝撃的でした。

「いらっしゃいませ」
「ライス大盛り!!と生卵」
「またそんなの食べるの?」
「安くて早くて美味い」
「少しは栄養バランスを考えた方がいいよ」
「14日に焼き肉食ったから、当分保つ」
 稲作はいつもの通り、いかにも美味しそうに卵掛けご飯を食べている。

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2005/03/16

『ごくせん』は青田買い?

 今朝の朝日新聞によると2000年以降歴代4位の高視聴率なのだそうです。
 仲間由紀恵さんが好きな僕は、前作も『トリック』も『東京湾景』も彼女見たさに見ていました。
 新聞には、『爽快!現代の水戸黄門』なんて見だしが書かれていました。たしかに、彼女が眼鏡を外し、髪を解いて敵地に向かうシーン、絶対に負けない安心感は水戸黄門を見ているみたいですね。

「へーえ、てっきり俺は青田買いの方かと思ってた」
 コーヒーに大量のミルクと砂糖を入れ、かき回しながら、稲作は言った。
 たしかに、前作に出演していた若者達がいろいろなドラマで活躍しているのを見ると、知り合いの子が立派に更生してくれたみたいで嬉しいけれど。
「どういうこと?」
「前に沼田のじいさんに言われたんだろ?稚児趣味かって」
「違うってば!」
「そうだよな、俺は身に危険を感じないもん」
「……」
 たとえ僕が本当に稚児趣味だとしても、僕にも選ぶ権利はある。

 昨日、『人気日記ブログ』さんというところからコメントが付いていました。
 せっかくのお誘いなのでリンクを貼らせていただきました。初めてのリンクです。
 簡単に出来ることが売りのブログなのに、なかなかリンクが貼れなくて、良い練習をさせてもらいました。見に行くと面白いブログが登録されていましたから、興味がある方は行ってみて下さい。

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2005/03/15

道しるべ 

「夕べは楽しかった?」
「なんであんな所に連れて行ってくれたんだろう。夜景を見ているカップルでいっぱいだった。夜景は綺麗だったけど――」
 県庁の32階に連れて行かれた妙ちゃんは、目のやり場に困ったらしい。
「――その上、一緒に焼き肉食べたんだ」
「稲さんにしては大奮発だったんじゃない?」
 なぜか、前橋は焼き肉のチェーン店が多い。店の前にかがり火を焚いてお客を引き寄せているようだ。
「誤解しちゃいそうだよ。ふつう焼き肉ってラブラブの恋人同士が食べるんだ」
「そうなの?」
「稲作、ボクのこと女だと思っていないみたい」
 難しい問題だった。
 妙ちゃんは、白のTシャツ、ブルーのジーンズ、ふわふわにパーマをかけた茶色のショートヘアをしている。この姿をしている以上、稲作は彼女を女の子として見るつもりはないだろう。彼女もそれを承知しているはずだ。
 〔月の光〕に掛けられている肖像画とそっくりな姿。妙ちゃんの従兄で稲作の親友だった、智紘。彼と同じ姿をしている限りは。

 ドアが開いて、稲作とジルが入ってきた。
「いらっしゃいませ」
「おう、妙、昨日焼き肉うまかったな」
「……うん」
「ジルちゃん、昨日のお返し全部配り終えたの?」
「はい」
「凄いね、あれ全部なんて」
「わからなかった人は、ネズミが調べてくれましたから」
 一瞬、青い瞳が輝いたように見えた。前にも言ったけれど、僕はアンティーク・ビスクドールが恐い。ジルの、ゴージャスな金髪、年頃なのにニキビ1つ無い白い肌、赤い唇、青い瞳は作り物のような美しさだ。
 そう、僕は、彼が吸血鬼だという事を知らない。
「ネズミ?面白いあだ名のお友達がいるんだね」
「はい。彼女の学校に訪ねていったら、大騒ぎになってしまいました」
 そうだろうと思う。彼は全ての人の理想の姿に見えるのだから。

 そうそう、なぜ題名が『道しるべ』なのか言い忘れてしまいました。高い建物がない前橋では、どこからでも見える県庁は巨大な道しるべなのです。

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2005/03/14

ホワイトデーの風景

 昨日は千葉県の三番瀬に行って来ました。
 着いた時間は午前11時。車を止めたのは『ふなばし三番瀬海浜公園』。園内の駐車場も路上駐車も凄い数です。何があるのかと行ってみると、潮の引き具合がよかったのですね、大勢の人が熊手を持って潮干狩りをしていました。
 アオヤギ、アサリ、小さなカキ、捕れた貝を見せていただきましたが、内陸育ちの僕には見分けがつきません。アオヤギなんて、オレンジ色のむき身しか見たことがないのですから。
 大勢の人に驚いた鳥たちは、別の場所に集まっていました。バードウォッチャーの僕たちは、鳥たちの集まる所へ移動しました。そこで見られたのは無数のシギとカモ。
 お目当ては、オレンジ色の口ばしと脚を持つ白黒羽のミヤコドリ、派手なリーゼントのアメリカヒドリ、ビロードキンクロです。ミヤコドリはなんと90羽もいました。
 お勧めはいじわる模様のビロードキンクロです。気になる方は画像を載せているサイト様があるので検索してみてください。笑えますよ。
 三番瀬は、人にも野鳥にも豊かな干潟です。

 今日の〔月の光〕は『クッキーデー』。
 ヨーロッパでホワイトデーは、ポピーデー、フラワーデー、クッキーデー、マシュマロデーとも呼ばれているそうです。それにならった訳ではありませんが、3月14日はお客様にクッキーをサービスしています。初めての方は驚かれますが、クッキーを楽しみに来て下さるお客様で、いつもより少し忙しくなります。

「いらっしゃいませ」
 今日の沼田さんは、お千代ちゃんお梅ちゃんとご来店。
「今日は、わしのおごりだよ。バレンタインデーのお返しだから、好きなものを注文していいよ」
「妙ちゃんが食べているのと同じのが食べてみたい」
と、お千代ちゃん。お梅ちゃんも肯いている。
 二人は、いつも妙ちゃんが食べているのを見て、食べてみたかったと、フルーツパフェのご注文。
「いらっしゃいませ」
 ジルが大きな紙袋を幾つも抱えてやって来た。
「妙ちゃん、これは私からのお返しです」
「ありがとう!ジル」
「ジルちゃん、これから出勤でしょう?凄いお返しの量だね、誰にもらったのか覚えているの?」
 金髪碧眼の美青年、ジルはこれから東京へ出掛けて行く。
「はい。稲作がきちんとお返しをするようにと教えてくれたので」

「稲さん遅いね」
「きっと忘れちゃったんだ。ボクのことなんか」
 夕暮れになっていた。妙ちゃんは、ずっと待っていたのだ。
「妙、待たせたな。あったかい格好をしろ。バイクで連れて行くから」
 稲作が入ってきた。彼のバイクは大型二輪。彼自身も身長190㎝の大型なので、単車と本人の大きさのバランスがとれていて格好良い。後ろに乗せてもらったことがあるけれど心躍るものがある。
「どこへ?」嬉しそうな妙ちゃん。
「県庁の最上階。その後、どっかで飯食わしてやるから」
 ???という表情で妙ちゃんは、稲作に付いて行った。
 県外者の妙ちゃんは知らないのだろう。前橋で一番高い建物の県庁は、恋人達の夜景スポットであることを。

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2005/03/13

ホワイトデー前夜

 簡単手作りクッキー。このレシピに出会った時、目からウロコが落ちる思いがしました。
 材料は18個分で、薄力粉80g・バター60g・砂糖45g・卵1/2個・ベーキングパウダー小さじ1/4・お好みでチョコチップ・くるみ・すり下ろしたレモンの皮などを混ぜてください。
 材料の合わせ方は、普通のクッキーと同じですので省略します。
 普通のレシピは、生地が出来た後30~40分冷蔵庫で寝かせ麺棒で伸ばして型で抜く(型抜きクッキー)か、細長く伸ばして冷蔵庫で寝かせ包丁で切り分けて(アイスボックスクッキー)オーブンで焼きます。
 出会ったレシピは、生地をそのままテキトーにスプーンですくって、オーブンシートを敷いた天板に間を空けてぽとりと落とします。水でぬらした指でちょっと押さえてそのまま焼いてしまいます。心配しなくても、いかにも手作りカントリー風の丸い形に焼き上がりますよ。
 焼きは、オーブンでしたら中火で10~15分。
 オーブントースターでは3~4分、余熱で2~3分。
 どちらを使うにしても、焼き色を見ながら時間を調節してくださいね。

「いいにおいだね」
「妙ちゃん、いらっしゃいませ。焼きたて、熱々のをどうぞ」
 1つ、キッチンペーパに乗せて、妙ちゃんに渡す。
「わぁ、柔らかい、ケーキみたい!おいしいね」
「冷めるとサクサクになるんだよ」
「随分たくさん作るんだね」
「明日の、お客様へのサービスなんだ。妙ちゃんには1袋あげるからね。美味しいチョコレートをもらったから」
「ラッキー!」
 ドアが開いて、稲作が入って来た。
「いらっしゃいませ、稲さん」
「頼みがあるんだけど……」
「わかってる。僕もお返しがあるから、預かるよ」
 去年も言付かったのだ。彼にしては精一杯選んだのだと思う小さな包み。昌子宛のお返しなのだ。郵送などを考えない所が彼らしい。近所にある昌子の勤務先、赤木建設は稲作にとっては遠いのだ。
「妙のは、明日な」
 いつもより無口な稲作に、僕はそっとコーヒーを差し出した。

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2005/03/12

ヒロキです……

 〔月の光〕だよりには、どれだけのお客様が来店してくれているのでしょう。
 無い頭をひねって、カウンターを設置してみました。設置といっても本館と併用なので、今までより来店してくださるお客様が多くなるかどうかを比べてみるだけですが。
 多くの方がいらしてくださっていることに驚いています。
 あんまり馬鹿なことは言っていられないと思いつつ……。

 テレビをつけていた。
「珍しいな。お笑い番組見ているなんて」
「ヒロキです……」
 僕は、ポケットに手を入れて斜に構えて言ってみた。稲作限定の親父ギャグだ。
「ひとの名字で遊ぶな」
 稲作の名字は、広木という。
「なんか好きなんだ、お笑い芸人のヒロシさん。演じていない時のおどおどした様子には、ひとの良さと田舎臭さがにじみ出ているし、時々語られる詩的なフレーズがいい」
「あんたと同じ、自虐ネタだからだろう」
「そうとも言える」
 僕の場合はちょっと複雑な自虐ネタだ。おじさんである自分自身を稲作に虐めてもらっているし、本編では稲作をかなり酷く虐めている。

「ヒロキです。幼稚園の時、憧れの由紀ちゃんにおままごとに誘われました。‘稲ちゃん、ジョンの役ね’外人かと思って喜んで付いていったら、俺の役は彼女の愛犬でした。ヒロキです、ヒロキです、ヒロキです……」(BGMはヒロシさん使用曲『ガラスの部屋』で)

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2005/03/11

気になるおじいさん

 今、TVで気になっているおじいさんがいます。「ごくせん」のおじいさんと「富豪刑事」のおじいさん。何がいいって、楽しそうに演じているところが好きなのです。宇津井さんの人情派なところもいいですが、夏八木さんの悪かった昔を思い出す表情がいい。
 あのお二人がおじいさんの役なんて、僕も一緒に歳をとったんだなぁと思います。僕にとっては助さんの里見光太郎さんも、今では水戸黄門だもの。
 昨日、昔懐かしいジャッキー・チェンの「酔拳」を放映していました。あの映画の赤鼻のお師匠さん、ユアン・シャオ・ティエンさんって〔月の光〕の常連さんのモデルなのです。

「いらっしゃいませ、沼田さん」
「ウインナ・コーヒーを」
 彼の注文は、必ずウインナ・コーヒー。濃緑色の作務衣を上品に着こなし綺麗な白髪をきちんと撫で付け白い顎髭を蓄えた小柄だが姿勢のいいご老人だ。
「今日はお二人は一緒じゃないんですか」
 いつもは両手に花の、お千代ちゃんとお梅ちゃんがいない。
「ふたりは老人会のカラオケ大会に行ったんだ」
「沼田さんは行かれないんですか」
「歌は苦手でのぉ」
「へーえ、じいさんに苦手なもんがあったのか?」
 ランチを食べ終えた、稲作が訊ねた。
「わしは演歌は歌わん。ポップスじゃ場が白けるだろう」
 沼田さんは、ちょっと寂しそう。
「しょうがねぇなあ、付き合ってやるよ」
「本当か?」

 外へ出た二人は、河川敷で格闘を始めた。
「わははは、まだまだ修行が足りないようだな!」
「うるせえ!キョンシーじじい」
 二人は中国拳法の師弟なのだ。

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2005/03/10

ミルクココア

 ブログのデザインを変えてみました。
『女の子向けの、全体的にベージュや茶色のデザイン。
差し色の落ち着いたグリーンと茶色が古いカフェをイメージさせます。落ち着た印象の、かわいいデザインです。』という紹介文が書かれています。

「女の子向けかぁ」
「女々しいんだから、ピッタリじゃねぇか」 
「もう意地悪だな、古いカフェをイメージって所はいいよね」
「ボクは悪くないと思うよ」
 やっぱり女の子好みなんだ。
 今日は稲作と妙ちゃんが来ている。
「ってことで今日はふたりにこれを飲んでもらおう」
「わぁ、美味しい!」
「げ、甘すぎて飲めねぇ」
 特製ココアはバンホーテンココアを練り上げて、牛乳で溶かし、コンデンスミルクで甘みを加えたものだ。仕上げに1かけのバターを落とす。
 このブログのデザインは『ミルクココア』。前に使っていたのは『カフェオレ』。
 我ながらわかりやすい。

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2005/03/09

川津桜

P30800061 新聞のローカル版に載ってから、毎年ギャラリーを集めています。
 川津桜は、ソメイヨシノより1ヶ月ほど早く咲く、桜色が濃い華やかな桜です。〔月の光〕の近くの河川敷に数本植えられています。

「私は、日本の桜を見たことがありません」
「そうなのか?後1月したら咲くから、咲いたら花見をしようぜ。その時は絹さん、弁当を頼む」
「君は花より団子なんでしょう?今年は妙ちゃんもいるし、沼田さん達も誘って盛大にやろうか」
「何をやるのですか?」
「桜の木の下にムシロを敷いて、弁当食って騒ぐのさ」
「?」
「桜を見るんでしょう、稲さん」
「混ざってみれば、楽しさが解る」
「そうだ、川津桜はもう咲いているよ」

 行ってみると、やはり何人か先客がいる。
 青い空の下のピンク色の桜。
「美しいですね」
「ジル、1月後には周りの木にも全部花が咲くんだぜ」
 国体道路と呼ばれている河岸道路は、ずっと桜並木になっている。

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2005/03/08

微笑みの貴公子

 近所のドラッグストアに買い出しに行きました。
 帰り際、出入り口でぼんやりしていると、
「あっ、ヨン様だ。綺麗だねぇ」
 と、同意を求められました。とっても元気がいい50代の女性です。僕の隣に微笑みをたたえた等身大のヨン様のパネルがありました。
 えっ?まぁ、と曖昧に微笑み返す僕。
 テレビなどで知っていたけれど、ホントにほんとなんですねぇ。パネルを綺麗と言わせてしまうなんて、魅力的な人なんだなぁ。

「負けずに微笑み返せば良かったのに」
「そうしたつもりなんだけど……」
 僕は、妙ちゃんに笑って見せた。
「良かったんじゃない?変な人だと思われなかっただけ」
「……」

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2005/03/07

探鳥

 昨日探鳥会に行ってきました。赤城の中腹の探鳥地は、まだうっすらと雪が残っていました。それでも、マンサクは花盛り。春ですね。
 あまり珍しい種類は出ませんでしたが、最後にミヤマホオジロが現れてくれました。黄色と黒の頭をした可愛いミヤマホオジロに会えてみんな大満足。気温は低かったのですが、風が無く穏やかな時を過ごすことが出来ました。
 集まった人数は12人。いつまで経っても僕達の年齢層が最年少だという、年齢の高さが気になります。谷津干潟では、大学のサークル活動か何かでしょうか、若い人たちが熱心に鳥を見ている姿を見ますが、田舎では若い人達の興味を引かないのでしょうか。

「それで、居るのか?」
「何が?」
「お目当て」
「トラツグミには会えなかった」
「女」
「女性?2人参加していたよ。2人共ご年輩だったけれど」
「だから、いつまで経っても独り身なんだよ」
 稲さん、僕は探鳥会に男女の出会いを求めている訳じゃない。
 でも、僕がいつまでも若手なのは寂しいなぁ。若い仲間が増えないかしら。

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2005/03/06

ビスクドール

 時々、恐怖の対象として、アンティークのビスクドールが出てきます。
 それには、ちょっとした訳があるのです。
 まだ会社員だった頃のお話。
 年末になると、いろいろな業者さんにいただいたカレンダーがたくさん余ります。毎年、希望者に分けてくれるというのを楽しみにしていました。
 その年は、縦長の等身大に近いアンティーク・ドールのカレンダーをもらいました。ジュモーとかブリュとか、有名な工房の傑作の人形達の写真です。
 とても綺麗で、特に青澄んだ瞳が美しく、早速飾ったのはよかったのですが……。
 見られている、という気がしてしようがありません。
 夜中、トイレに起きて目が合ってしまいました。
 ドッキン!!
 それ以来、飾るのを止めてしまったという思い出があるのです。
 でも、何時か本物と対面してみたいですね。

 ドッキン!!
「何か?」
 気付かぬ間に入ってきたジルが、薄暗がりでボーッと立っていた。
 今でも、あの青い瞳に弱いのです。

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2005/03/05

超立体マスク

 杉花粉が飛び始めましたね。くしゃみと鼻水が止まらなくなることがあります。
 僕が初めて罹った頃は花粉症用ののど飴もありませんでしたが、ここのところは花粉症グッズが多くなって助かります。スプレーや飲み物までありますものね。
 先日、使い捨てマスクとノーズスティックというのを買ってみました。
 ノーズスティックは、口紅型のスティックの中にユーカリオイル、メントールなどが入っています。それを、片方ずつの鼻で吸い込むのです。間抜けそうで妖しそうですが、気休めにはなります。
 お勧めは超立体マスク。人からどう見えるかを気にしなければ、息苦しくなく、女性は口紅がマスクの内側に付かないのでは?

「やあ、絹さん。おっさんライダーか?おっさんキャシャーン?マイケルジャクソン?」
「月光仮面のおじさんだ」

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2005/03/04

雪合戦

 ここ〔月の光〕は、関東地方太平洋側にあります。冬、乾いた冷たい風は吹きますが、雪は滅多に降りません。
 今朝、起きてみると一面の銀世界。
 雪掻きをしている間に溶けてしまいそうではありますが、溶け残って凍ると始末に負えなくなってしまいます。雪の降らない地方に住む僕らは、情けないほど雪に弱いのです。歩道に積もると滑って転んでしまいます。車道に積もれば慣れないドライバーはハンドルさばきを誤ってくるくる回り、あちこちで立ち往生してしまうのです。会社も学校も1時間遅れになってしまうことも……。

わーっ!何だ!!
 頭に雪玉が当たった。
 振り返ると今度は顔に。
 こんな事をするのは一人。稲作は山沿い出身だから雪に慣れている。
「何するんだ!」
「ヒッヒッヒッ、似合うぜ、その雪掻きをする格好」
「もーっ、そんな事しないで手伝って」
「いやだね、すぐに溶けちまうよ。するだけ無駄さ」
 こんな時、珍しい降雪に無意識のうちに喜びを感じてしまう前橋人。
「コノーッ!」
 思わず雪玉を投げ返す僕。
 しばらくの雪合戦の後、〔月の光〕の玄関脇にちょっと汚れた雪だるまが作られた。積雪が少ないから泥混じりの雪だるまになってしまうのだ。
「ねえ、おじさん達、何やってるの?」
 雪など珍しくない北海道から来た妙ちゃんに、あきれたように声を掛けられた所で我に返った。
 明日は筋肉痛になりそう。

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2005/03/03

今日は楽しいひな祭り

「絹さん、これ可愛いね。毎年飾ってるの?」
 ドアの側。花瓶を少しずらしてお内裏様とおひな様だけの小さなひな人形を飾っている。
「この間商店街を歩いていたら、何とはなしに目が合っちゃってね。お店の人に、娘さんにですか?なんて言われて、つい買っちゃたんだよ。僕は男兄弟だし、ここにはあまり女の子来ないから考えたこと無かったんだけど、今年は君が居るから」
「え?ボクのために?」
「そんなに大袈裟なことじゃない。でも、迷惑じゃなかったらお嫁さんに行く時に連れて行ってあげてね」
「いいの?」
 妙ちゃんは嬉しそうな顔をしてくれた。北海道の家に帰れば、高価な段飾りのおひな様があるだろうに。
「妙ちゃん居るかい?」
 やって来たのは、お千代ちゃんとお梅ちゃんのおばあちゃんコンビと沼田さん。
「いらっしゃいませ」
「今日は、せっかく妙ちゃんが居るんだから、女の子だけでおひな様をしようと思って誘いに来たんだよ」

「で、妙はお千代ちゃんと一緒にお梅ちゃんの家に行って、寂しいじいさんと中年男は残されたってか?」
 稲作とジルがやって来た。稲作は、抜け者にされた沼田のおじいさんと僕をからかっている。
「悪かったな。お前たちだって混ぜてもらえなかったじゃないか」
「沼田さん、拗ねない拗ねない。お梅ちゃんがみんなで食べなって、置いていってくれたから。いただきましょうか」
 風呂敷包みの中身は、かんぴょう・椎茸の茶色、にんじん・紅ショウガの赤、三つ葉・キュウリの緑、卵焼きの黄色、でんぷの桃色が綺麗な手作りの太巻き寿司と桜餅。
「美しいお料理ですね」
「やっぱり、お梅ちゃんは料理が上手だのぅ」
「稲さん、甘い物は苦手なんじゃなかったっけ?」
「あんこは例外なんだ。子供の頃から食い慣れてるから」
 男だけのひな祭り……。

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2005/03/02

卒業

「S君、卒業おめでとうございます」
「なに、なに?」
 今日は、卒業式を無事終えた常連客のS君と妙ちゃんが来店している。
「S君昨日高校の卒業式だったのですよね。君の楽しそうな高校生活の日記を読めなくなるのは、ちょっと寂しいけれど、新しい学生生活の日記と創作、楽しみにしていますからね」
「はい、頑張ります。期待していてください」
 と、S君。

 店のドアが開いた。
 大量の赤い薔薇の花束が入ってきた……ように見えたのは、花束を抱えた稲作だった。
「どうしたの?稲さん」
「Sは居るか?」
「はい」
「これ、マダムからだ。――これって、従業員の勧誘か?」
 花束に添えられたメッセージカードには、こう書かれていた。
『S君、御卒業おめでとうございます。これからも〔月の光〕のみんなと遊んであげてくださいね。
ps. 困った時はうちの店にいらしてね。あなただったら……うふっ(^_-)』

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2005/03/01

練炭自殺

 当たり前のニュースになってしまって「またか」としか思えなくなりつつあります。
 何となく消えて無くなりたい気持ち。確かに、中学・高校時代には持っていたように思います。本を読んだり友達と語り合ったりしているうちに熱が薄れていったのかなぁ、気付かない間に考えることもなくなって今に至っています。
 去年の秋、ある山村にキノコ狩りに行きました。
 宿泊施設は山の中腹にあってそこまでは舗装道路、少し先まで林道のような悪路がありました。その林道を植物観察をするために歩きました。途中、不自然に材木が積んである所がありました。
「ここで、練炭自殺があったんです。もう少し先でも」
 その林道では、短い間をおいて2カ所で自殺をした人たちがいると伺いました。
 テレビ画面で見るのと、実際の場所で見るのとは違います。
 あんな寂しい場所で、行き止まりの場所で……。亡くなった人たちはどんな思いであの場所に行ったのでしょう。何人もの人が亡くなった所は恐いのかと思ったら、寂しく悲しい場所でした。
 積まれていた材木には、キノコが生えかけていました。

「悪いけど、俺は認めることは出来ねえ。死にたいなら、死ぬ時ぐらい独りで考えて、独りで死ねばいいんだ」
「気持ちは解るよ。ボクも死んでしまいたかったから。盛り上がれる仲間がいたら、一緒に逝ってしまったかも知れない」
 今日は、稲作と妙ちゃんが来ている。
「自分の命をそんなに簡単に扱うなよ。……死にたいヤツに言ってもしようがねえけど、世界には貧しいっていうだけで、生きていたくたって生きられないヤツが大勢いるんだぜ」
「今は、盛り上がれる仲間に出会わなくて良かったと思ってるよ。稲作や絹さんに会えて良かった」

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